早稲田大学の水島です。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
「直言ニュース」は隔週送信のため、今回は更新のお知らせのみお送りします。
さきほど直言更新しました。
■ 今回から「憲法研究者に対する執拗な論難に答える」という連載を開始しま
す。これは、国際政治学が専門の篠田英朗氏(東京外大教授)が、『集団的自衛権
の思想史』や『ほんとうの憲法』といった著作、自身のブログで、憲法学や憲法
研究者に対して執拗な論難を加えていることに対応するものです。その目的を本
文から引用します。
「・・・篠田氏の憲法研究者に対する論難の内容は、その学問的なレヴェルからす
れば通常は「完無視」なのであるが、それが一般の方の憲法と憲法研究者、憲法学界に対するイメージダウンにも貢献していると判断して、この「直言」におい
て、篠田氏に対する必要な批判を行うことにしたものである。『ほんとうの憲
法』というタイトルで、ひたすら「憲法学者はガラパゴス」というレッテルを貼
ることに膨大なエネルギーを費消しているので、こちらも、基本的な概念をめ
ぐってかなり立ち入って批判せざるを得ない。『ほんとうの憲法』を通じて、一
般の方々に憲法や憲法学界(学会)、憲法研究者に対する間違った情報や歪んだ
イメージが伝播することは黙過できない。二つの憲法の学会の代表を経験したこ
とからも、さまざまな大学の出身者によって自由な研究が行われており、「東大
法学部出身者たちを頂点とする」といった篠田氏の物言いは篠田氏の頭のなかの
妄想でしかない。『ほんとうの憲法』によって憲法学の基本概念や憲法研究者へ
の間違った情報が広まることを防ぐために、網羅的ではないが、いくつかの重要
な憲法上の概念や問題にしぼって、篠田氏の論難がいかに根拠のないものである
かを明らかにしていきたい。・・・」
■ 4回にわたる連載は、最終回で、憲法9条についての篠田氏の議論の徹底批判
になるので、この連載に限り、金曜日までにすべてアップします。
目次は下記の通りです。
連載第1回(今回):「9条加憲」と立憲主義
連載第2回:「国家の三要素」は「謎の和製ドイツ語概念」なのか
連載第3回:憲法前文とその意義
連載第4回(完):憲法9条をめぐって
外国語の引用もあり、大変読みにくいとは思いますが、相手があることなので
ご理解をいただきたいと思います。
■ 総選挙の投票日が近づいています。自民党300議席の予測すら出ています。政
権与党を経験した政党が、たった1日で消滅するという不可思議が起きて2週間あ
まり。まるで大政翼賛会前夜の選挙の空気です。直近では憲法53条後段の臨時国
会召集義務違反や違憲の集団的自衛権行使をごり押しするなど、憲法を守らない
人々が憲法改正を説くことへの圧倒的違和感。もし国民がこれを見過ごせば、日
本はまともな民主主義国家とはみなされなくなります。
そういう問題を含めて、『神奈川新聞』10月14日付インタビュー「時代の正
体:安倍改憲を問う--権力者ファーストを正せ」をご覧ください。
■ 今週もどうぞお元気でお過ごしください。水島朝穂