9/3(日) 西日本新聞
「痛い出費」250キロの不発弾処理 住民1400人に避難勧告 急きょ3000万円予算確保 長崎県大村市
安全対策で不発弾の周囲に設置された防護壁や土のう。奥に写る市立大村市民病院は撤去作業に伴い入院患者の避難を迫られる
不発の250キロ爆弾が見つかった大村市で3日、住民約1400人に避難勧告を出す処理作業が計画されている。不発弾には信管が残り爆発の可能性はゼロではない。8月3日の発見後、市は現場を防護壁や土のうで覆う安全対策に万全を期し、24時間体制の警備も迫られ、急きょ3千万円の予算を確保。「住民の安全第一の必要経費」(市担当者)とはいえ、特別交付税での穴埋め分を除き2分の1は市の“持ち出し”となる見込み。市は「痛い出費」に頭を抱えつつ自衛隊による無事な撤去を待つ。
不発弾が見つかった松並2丁目の宅地造成地は、不発弾を重さ1トンの土のう約千個で囲む物々しさ。付近には戦時中、軍用機の部品工場があり、不発弾は米軍が投下したとみられる。
住民避難を伴う不発弾処理は21年ぶり
市によると衝撃を与えなければ爆発しないが、国の不発弾に関する試算を参考に避難区域をおおむね半径283メートルと設定。約600世帯とスーパーなどを含む約35事業所が区域内にあり、近くを通る国道34号は通行止めに。このうち市立大村市民病院は外泊可能な入院患者を一時帰宅させ、避難が難しい患者は、院内の現場から遠い場所に移す。
3日は午前8時半に避難勧告が発令され、同10時に不発弾処理に着手する予定。作業時間は2~8時間を想定している。
今回、市が確保した予算の内訳は、防護壁や土のうの設置・撤去に2500万円、警備員人件費300万円、避難の広報経費など200万円。総務省によると「戦後処理は国が担い、住民の安全確保の責務は自治体にある」との考えから、不発弾発見が多い沖縄を除き、原則、自治体が処理経費の半額を負担する仕組みになっているという。
大村市内で住民避難を伴う不発弾処理は21年ぶり。暮らしを制限、重い財政負担も強いる処理作業を巡っては「米国が金を出すべきだ」と市議が憤りの声を市にぶつける場面もあった。
終戦から72年。近年、国内での不発弾処理は年間約1500件。県警によると県内の発見数は昨年が26発、今年は7月末までに13発だという。