◆ 教育原場に浸透する自衛隊の状況
Ⅰ、はじめに
1、安倍内閣は、「戦争法」や「共謀罪法」の強行採決を行い、海外派遣・治安維持のために自衛隊の強化・増員が必要となってきている。
これを機に、自衛隊の教育現場へのリクルート活動が急速に強化されている。他方、教育行政の側も、安全保障意識を醸成するために、東京をはじめとして教育現場と自衛隊との連携が強められてきている。
2、防衛省(自衛隊)側からは、「適質・適齢」の隊員確保のためのリクルート活動が安倍政権から要請されている(防衛省文書では、18歳から26歳までが対象とされている)。しかし、少子化と辞退者が多くなって来ている状況のために、隊員確保が大きな課題となってきている。
(1)「平和の仕事」と「自衛隊の役割の大きさ」を子ども達に広報している。
(2)「国防意識」や「愛国心」「道徳」意識を醸成する教育を推進する必要がある。「道徳」の教科化やオリンピック教育、そして学習指導要領の改訂等
(3)「職場体験」や「防災訓練」の名目で自衛隊は子どもに接近し、教育行政や学校も積極的にこれに協力している実態がある。
(4)様々な契機を利用して子どもたちを自衛隊に対して親近感を醸成する。
①「中期及び長期的な計画」に係る的確かつ積極的な情報の発信、学校説明会の充実、リクルートの活用等、あらゆる手段で学校に接近し募集基盤を拡大
Ⅱ、東京の高校の状況
1、「防災教育」と「宿泊防災訓練」の教育施策
(1)東京都では、2012年度より全都立高校で、宿泊を伴う防災訓練が始まり自衛隊との連携が始まっている。
①2013年度では5つの推進校が設定され、新たな「改革」の方向を示されたが、その中に「防災教育推進校」(15校)を指定
②東京における、自衛隊との連携の教育政策の第一は、この防災教育を名目として推進されている。
③2013年の自衛隊連携校は8校、14年度は7校、15年度は9校、2016年度は14校であった。
④2013年、都立田無工業高校が自衛隊朝霞駐屯地で2泊3日の訓練を実施。生徒・保護者には「宿泊防災訓練」と通知し、防衛省へは「生活隊内体験」の申請をしていた。
⑤2014年に都立大島高校が自衛隊武山駐屯地で2泊3日の訓練実施。同校の場合も、生徒・保護者への文書と実際とが異なっていた。
⑥市民団体からの抗議やマスコミ報道もあり、自衛隊駐屯地での訓練は15年より中止された。防災訓練の「ガイドライン」では「原則として自校で実施」と明記されており、元々ガイドラインに反している。
⑦都教委は「ガイドライン」を改訂して、総合防災訓練への参加を加筆している
(2)その他、「柔剣道」の部活動(閣議決定)、ビッグレスキュー、音楽会、等々、様々な状況で、教育と自衛隊との相互連携が進められている。
Ⅲ、東京都でのその他の自衛隊との連携
1、キャリア教育の一環として自衛隊へのインターンシップの実施
(1)日比谷高校生が自衛隊中央病院を訪問(2015年)、山崎高校のインターンシップ(2015年10月21日から3日間、深沢高校(三宿駐屯地、朝霞駐屯地、千葉県の海上自衛隊)、車で送迎している。
(2)教科「奉仕」で練馬工業高校が練馬駐屯地で「奉仕」体験
①しかし防衛省では、「青少年防衛講座」の文書を出している。ここでは練馬工業高校を特定して「自衛隊に対する親近感を醸成するとともに防衛を理解するため」と明記。
(3)2016年、武蔵村山五中の米軍のミニブートキャンプ(新兵訓練)
①横田基地の米軍が武蔵村山五中の行事でほふく前進などの訓練
横田基地のHPでは、中学生の顔が認識できる写真を掲載(資料2)
(4)総合防災訓練
①立川総合防災訓練(2015年)では、小学校2年生を100人(自衛隊機動車に乗車させる)、中学生100人、高校生・特別支援学校生も動員
②葛飾・墨田総合防災訓練(2016年度)では463人/葛飾高、葛飾総合、本所工業、農産高校、等の生徒が動員された。
③2015年実施の立川総合募債訓練では、約1万人ほどが動員され、自衛隊も動員され、戦争動員体制と紙一重であるといえる。「ガイドライン」の変更で地域の防災訓練への参加が強調されている。(今年は調布市で実施)
Ⅳ、自衛隊駐屯地での職場体験
1、キャリア教育として、中学生を中心に全国で実施されてれている。
(1)2000年頃より始まっており、駐屯地への職場体験者は、全国で2013年度59、705人、14年度67,292人、15年49,811人、16年87,202人に達している。
①職場体験では、中学生に武器を触らせたり、軍用機に搭乗させており、自衛隊地方本部’(地本)のHPに掲載している。
②子どもの権利条約38条違反の疑い(子どもの戦闘行為への誘導禁止)
Ⅴ、その他全国の状況
1、大阪の高校では「国防教育」が教育目標となっている学校
2、高知中央高校(私立)では「自衛隊コース」が新設された。
3、滋賀県の中学校ではトイレットペーパーに自衛隊募集広告
4、神奈川県のN中学校の「総合火力演習」見学会>
5、漫画・アニメによる子どもへの自衛隊への広報・宣伝
(1)『少年サンデー』「あおざくら―防衛大学校物語」の連載(経済的徴兵制であり防衛大学での瀬尾俊物語)
2017年7月23日 永井栄俊
Ⅰ、はじめに
1、安倍内閣は、「戦争法」や「共謀罪法」の強行採決を行い、海外派遣・治安維持のために自衛隊の強化・増員が必要となってきている。
これを機に、自衛隊の教育現場へのリクルート活動が急速に強化されている。他方、教育行政の側も、安全保障意識を醸成するために、東京をはじめとして教育現場と自衛隊との連携が強められてきている。
2、防衛省(自衛隊)側からは、「適質・適齢」の隊員確保のためのリクルート活動が安倍政権から要請されている(防衛省文書では、18歳から26歳までが対象とされている)。しかし、少子化と辞退者が多くなって来ている状況のために、隊員確保が大きな課題となってきている。
(1)「平和の仕事」と「自衛隊の役割の大きさ」を子ども達に広報している。
(2)「国防意識」や「愛国心」「道徳」意識を醸成する教育を推進する必要がある。「道徳」の教科化やオリンピック教育、そして学習指導要領の改訂等
(3)「職場体験」や「防災訓練」の名目で自衛隊は子どもに接近し、教育行政や学校も積極的にこれに協力している実態がある。
(4)様々な契機を利用して子どもたちを自衛隊に対して親近感を醸成する。
①「中期及び長期的な計画」に係る的確かつ積極的な情報の発信、学校説明会の充実、リクルートの活用等、あらゆる手段で学校に接近し募集基盤を拡大
Ⅱ、東京の高校の状況
1、「防災教育」と「宿泊防災訓練」の教育施策
(1)東京都では、2012年度より全都立高校で、宿泊を伴う防災訓練が始まり自衛隊との連携が始まっている。
①2013年度では5つの推進校が設定され、新たな「改革」の方向を示されたが、その中に「防災教育推進校」(15校)を指定
②東京における、自衛隊との連携の教育政策の第一は、この防災教育を名目として推進されている。
③2013年の自衛隊連携校は8校、14年度は7校、15年度は9校、2016年度は14校であった。
④2013年、都立田無工業高校が自衛隊朝霞駐屯地で2泊3日の訓練を実施。生徒・保護者には「宿泊防災訓練」と通知し、防衛省へは「生活隊内体験」の申請をしていた。
⑤2014年に都立大島高校が自衛隊武山駐屯地で2泊3日の訓練実施。同校の場合も、生徒・保護者への文書と実際とが異なっていた。
⑥市民団体からの抗議やマスコミ報道もあり、自衛隊駐屯地での訓練は15年より中止された。防災訓練の「ガイドライン」では「原則として自校で実施」と明記されており、元々ガイドラインに反している。
⑦都教委は「ガイドライン」を改訂して、総合防災訓練への参加を加筆している
(2)その他、「柔剣道」の部活動(閣議決定)、ビッグレスキュー、音楽会、等々、様々な状況で、教育と自衛隊との相互連携が進められている。
Ⅲ、東京都でのその他の自衛隊との連携
1、キャリア教育の一環として自衛隊へのインターンシップの実施
(1)日比谷高校生が自衛隊中央病院を訪問(2015年)、山崎高校のインターンシップ(2015年10月21日から3日間、深沢高校(三宿駐屯地、朝霞駐屯地、千葉県の海上自衛隊)、車で送迎している。
(2)教科「奉仕」で練馬工業高校が練馬駐屯地で「奉仕」体験
①しかし防衛省では、「青少年防衛講座」の文書を出している。ここでは練馬工業高校を特定して「自衛隊に対する親近感を醸成するとともに防衛を理解するため」と明記。
(3)2016年、武蔵村山五中の米軍のミニブートキャンプ(新兵訓練)
①横田基地の米軍が武蔵村山五中の行事でほふく前進などの訓練
横田基地のHPでは、中学生の顔が認識できる写真を掲載(資料2)
(4)総合防災訓練
①立川総合防災訓練(2015年)では、小学校2年生を100人(自衛隊機動車に乗車させる)、中学生100人、高校生・特別支援学校生も動員
②葛飾・墨田総合防災訓練(2016年度)では463人/葛飾高、葛飾総合、本所工業、農産高校、等の生徒が動員された。
③2015年実施の立川総合募債訓練では、約1万人ほどが動員され、自衛隊も動員され、戦争動員体制と紙一重であるといえる。「ガイドライン」の変更で地域の防災訓練への参加が強調されている。(今年は調布市で実施)
Ⅳ、自衛隊駐屯地での職場体験
1、キャリア教育として、中学生を中心に全国で実施されてれている。
(1)2000年頃より始まっており、駐屯地への職場体験者は、全国で2013年度59、705人、14年度67,292人、15年49,811人、16年87,202人に達している。
①職場体験では、中学生に武器を触らせたり、軍用機に搭乗させており、自衛隊地方本部’(地本)のHPに掲載している。
②子どもの権利条約38条違反の疑い(子どもの戦闘行為への誘導禁止)
Ⅴ、その他全国の状況
1、大阪の高校では「国防教育」が教育目標となっている学校
2、高知中央高校(私立)では「自衛隊コース」が新設された。
3、滋賀県の中学校ではトイレットペーパーに自衛隊募集広告
4、神奈川県のN中学校の「総合火力演習」見学会>
5、漫画・アニメによる子どもへの自衛隊への広報・宣伝
(1)『少年サンデー』「あおざくら―防衛大学校物語」の連載(経済的徴兵制であり防衛大学での瀬尾俊物語)