衆議院と参議院議長および自民、公明、維新の会 国会議員も知らない日本政府が批准済みの人権条約

 日本政府は1979年に、市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)と、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)を批准し、「自由権規約第一選択議定書(個人通報制度)も早期に批准する」と衆参両外務委員会で全会派一致で決議している。。
 

日本国憲法

第98条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。


第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。



市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約) 条約本文: 第17条,第18条,第19,第20条




第17条

1 何人も、その私生活、家族、住居若しくは通信に対して恣意的に若しくは不法に干渉され又は名誉及び信用を不法に攻撃されない。

2 すべての者は、1の干渉又は攻撃に対する法律の保護を受ける権利を有する。


第18条

1 すべての者は、思想、良心及び宗教の自由についての権利を有する。この権利には、自ら選択する宗教又は信念を受け入れ又は有する自由並びに、単独で又は他の者と共同して及び公に又は私的に、礼拝、儀式、行事及び教導によってその宗教又は信念を表明する自由を含む。

2 何人も、自ら選択する宗教又は信念を受け入れ又は有する自由を侵害するおそれのある強制を受けない。

3 宗教又は信念を表明する自由については、法律で定める制限であって公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由を保護するために必要なもののみを課することができる。

4 この規約の締約国は父母及び場合により法定保護者が、自己の信念に従って児童の宗教的及び道徳的教育を確保する自由を有することを尊重することを約束する。

第19条

1 すべての者は、干渉されることなく意見を持つ権利を有する。

2 すべての者は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。

3 2の権利の行使には、特別の義務及び責任を伴う。したがって、この権利の行使については、一定の制限を課すことができる。ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のために必要とされるものに限る。

(a) 他の者の権利又は信用の尊重

(b) 国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護

第20条

1 戦争のためのいかなる宣伝も、法律で禁止する。

2 差別、敵意又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪の唱道は、法律で禁止する。




一般的意見16 (32) (17条・私生活、 家族、 通信等の保護) 1988.3.23採択

1 第17条の規定は全ての人に対して各人のプライバシー、 家族、 住居及び通信に対し不法に又は恣意的な干渉から保護される権利を定めるものである。また、各人の名誉及び信用に対する不法な干渉に対して、 保護される権利を全ての人に与える規定である。本委員会の見解によると、 上記の干渉及び攻撃が国家権力によって為されるか、または自然人あるいは法人によって為されるかにかかわらず、この各人の権利は保護されることが認められるものである。本条項によって各締約国に課せられた義務は、 各締約国が上記の干渉及び攻撃を禁止する効果を与えるような立法的な及びその他の手段を採用することを要請するものであり、かつまた、各国が本権利を保護するために、 立法的及びその他の手段を採用することをも要求するものである。

2 この点に関して、 本規約に関する締約各国政府の報告書の中では、 立法機関、行政機関、 司法機関及び、 一般的に国家によって設立された適切な機関によって、本権利がどのような方法で保障されているかについての情報に対して充分な注意が払われていないという事を、本委員会は指摘したい。特に、 本規約第17条は不法な干渉及び恣意的な干渉の両方に対して、保護を与えているという事実に対して、 充分な注意が払われていない。 このことは、正確にいうと、この第17条の規定に述べられている権利を保護するためにその国の法律上に必要な条項が設けられねばならないことを意味するものである。現在のところ、各国の提出した報告書には、 そのような立法について何も書いていないか、又はその問題について不充分な情報を提供するにすぎない。

3 "不法に” (unlawful) という言葉の定義は、 法によって認められた場合を除いては、その干渉が発生してはならないという意味である。国家によって認められる本権利に対する干渉というものは、法に基づいてのみなし得るものであり、 その法はそれ自体、 この国際規約の規定、その目的及び目標に合致していなければならない。

4 "恣意的な干渉” (arbitrary interference) という語句も又第17条により保護される権利に関連するものである。本委員会の見解によると"恣意的干渉" という語句は、 法に規定された干渉をも含むものである。法によって規定された干渉であってさえも、 本規約の規定、 目的及び目標に合致しなければならないし、かつまた、どんな事があろうとも、 特定の状況の下で、 合理的な干渉でなければならないということを保障しようとして、 "恣意的" という概念を導入したものである。

5 "家族”(family) という語句に関しては、 第17条の目的にとって、 関係する各締約国内の社会通念として、 "家族" として含まれるすべての者を含むように、この語句は広く解釈されるべきであるということが、本規約の諸目標に合致する。 英語でいう "home” (住居又は家庭) という語句は、アラビヤ語で"manzel”語であり、 中国語で "zhuzhai”でありフランスで "domicile”、 ロシア語では "zhilishche”であるが、本規約第17条で使用されているように、人の住んでいる所又は各人の通常占有する所を示すと理解されるべきである。 これに関連して、本委員会は、各国に対して、 自国の社会において "家族”(family) 及び "住居又は家庭”(home) の持つ意味を報告書で指摘するように求めるものである。

6 締約各国が本委員会に対して提出する報告書には、 法によって、 本規約第17条に保障される権利を正当に干渉することが許容されている各国の法制度内に組み込まれた各種の権力機関及び各種の組織についての情報が書かれているべきであると本委員会は思考するものである。厳しい法の制約の下で、本規約第17条の権利に対する、 このような干渉を管理する権限のある各種権力機関に関する情報も、前記報告書にとって、 必要不可欠である。 かつまた、本規約第17条に規定する個人の権利の干渉に対して、どのような組織に対して、 どのような方法によって、 不服を申立てることができるかということを知るための情報もまた、各国の提出する前記の報告書にとって必要不可欠である。 締約各国は、 その各自の報告書の中で、 各国の現実の実務行為がどの程度法に従っているかということを明白にしなければならない。関係各国の報告書には、恣意的干渉及び不法な干渉に関して提出された不服申立に関する情報が含まれていなければならない。かつまた、 認定された干渉の数、 及びそのような場合に与えられる救済についても、報告書に書かれねばならない。

7 社会的に生きる全ての人にとって、 プライバシーの保護は必然的に相対的なものである。しかしながら、 権限のある公共機関は、 そのような情報を知っていることがその社会にとって、必要不可欠であると本規約の下で考えられる場合に限り、ある個人のプライベートな生活に関する情報を要求することができる。従って、 各国は自己の提出する報告書の中で、 個人のプライバシーの干渉を正当化する法律及び規則を指摘することを推奨するものである。

8 本規約に合致する干渉の場合であっても、 関連法規は、 そのような干渉が許される条件を正確に、細部に渡って明記しておかねばならない。 法によって定められた機関によってのみ、かつケース・バイ・ケースで、上述のような干渉を行うという決定が為されるべきである。本規約第17条に従えば、 通信が秘密でありかつ妨害されないということは法律上も事実上も、保障されるべきである。通信というものは、 途中で妨害されることなくして個人の住所に配送されるべきであり、かつまた、 開封されたり、 または、 その他の方法で読まれたりすることがあってはならない。電気的な方法によったり、またはその他の方法によって監視したり、 電話を妨害したり、電報その他の形式の通信を妨害したり、 会話を盗聴したり、 会話をテープレコーディングしたりすることは、禁止されねばならない。個人の住宅を捜索することは、 必要な証拠のための捜索に限定されるべきであり、かつ個人を困惑させる程度にまで捜索することは許されるべきではない。個人の身体捜索に関しては、捜索される個人の尊厳を尊重した方法で捜索が行われることが保障されるような効果的な手段がとられるものとする。国家公務員によって、身体捜索を受ける個人又は、 国家の要請によって医学検査を受ける個人は、同性によってのみ検査を受けるべきである。

9 締約各国は、 本規約第17条に反するような干渉を行わない義務を負い、 かつ自然人又は法人が、上述の干渉行為を為すことを禁止するような法制度を整える義務を負うものである。

10 コンピュータの上で、 データバンクとか、 その他の手段によって個人情報を収集し、保有することは、 公共機関によるものであれ、 指摘な個人又は団体によるものであれ、法によって規制されなければならない。個人のプライベートな生活に関する情報は、それを受領し、 処理し、 使用することについて、 法によって正当と認められない人々の手にその情報が届かないように保障するための有効な手段を各国はとらなければならない。かつまた、その情報は、 本規約に反する目的のために、 決して使用されないように保障するために、各国は有効な手段を取らなければならない。 各人の私的生活をもっとも効果的に保護するためには、各個人は、どんな個人データがデータファイルに保存されているか、 またどんな目的であるかということを理解できる形で確かめる権利を持たなければならない。各個人は、どのような公共機関、 私的個人又は団体が、 それらのデータファイルを管理したり、管理することができるのかということを確認することができるものとする。もしも、そのようなデータファイルの中に、 誤りのある個人データが含まれていたり、 データファイルが法の規定に反して集められていたり、処理されていた場合には、各個人は修正を求めたり、 削除を求める権利を持つものとする。

11 本規約第17条の規定は、 個人の名誉及び信用に対して、 保護を与えるものであるし、かつまた締約各国は、 その目的のために適切な立法を行う義務を負うものである。また、発生するどのような不法な攻撃に対しても、 何人も自分自身を守ることができるよう、また、 何人も、 発生したどのような不法な攻撃に対しても、効果的な救済措置を受けられるよう、効果的な規定が作られるべきである。 法によって、 個人の名誉及び信用がどの程度保護されているかということを各国は、自己の報告書の中で指摘しなければならない。かつまた、 各国の法体制の下で、この個人の名誉及び信用がどのように保護されているかということをも、 各国は自己の報告書の中で指摘すべきである。


一般的意見22 (48) (18条・思想・良心・宗教の自由) 1993.7.20採択

1 第18条第1項で定められた、 思想、 良心及び宗教の自由 (信念を有する自由を含む) についての権利は、 広大で深遠な権利である。 この権利は、単独で表現されると他の者と共同で表現されるとを問わず、あらゆる事柄についての思想、 個人的確信及び宗教又は信念への関与の自由を包含する。委員会は、思想の自由及び良心の自由が宗教及び信念の自由と同等に保護されるという事実に締約国の注意を喚起する。かかる自由の基本的性格は、 本規定が規約第4条第2項に定められる公の緊急事態(public emergency) の場合でさえ停止されないという事実にも反映されている。

2 第18条は、 有神論的、 非有神論的及び無神論的信念、 さらには宗教又は信念を告白しない権利をも保護している。 信念及び宗教という語は広く解釈されなければならない。第18条の適用は、伝統的な宗教又は伝統的な宗教のそれと類似する制度的に確立された性格又は慣行を有する宗教及び信念に限定されない。従って委員会は、 あらゆる理由に基づく宗教又は信念に対する差別の傾向を懸念している。あらゆる理由の中には、それらが新興宗教であるという事実又は支配的な宗教集団の側からの敵意の対象となりうる宗教的少数者であるという場合も含まれる。

3 第18条は、 思想、 良心、 宗教又は信念の自由を、 宗教又は信念を表明する自由とは区別している。 本条は、 思想及び良心の自由、 又は自己の選択による宗教又は信念を受け入れ又は有する自由に対していかなる制限も許容しない。かかる自由は、第19条第1項で定められる誰もが干渉されることなく意見を持つ権利と同様に、無条件で保護される。 第18条第2項及び第17条に従い、 いかなる者も自己の思想又はいかなる宗教もしくは信念を有しているかを明かにすることを強制されない。

4 宗教又は信念を表明する自由は 「単独で又は他の者と共同して及び公に又は私的に」行使することが できる。 礼拝、 儀式、 行事及び教導において宗教又は信念を表明する自由は、広範な行動を包含している。礼拝の概念は、 信念を直接的に表現する儀式的及び祭儀的行為ばかりでなく、かかる行為に必要な多様な行為まで包含され、 礼拝のための場所の建設、儀式的式文及び器具の使用、象徴の展示、 及び祭日及び安息日の遵守等も含まれる。 宗教又は信念の儀式及び行事には、祭儀的行為だけではなく、 食事に関する規制、特有の衣服又は頭部覆いの着用、人生のある段階における儀式への参加及びある集団によって習慣的に用いられる特殊な言語の使用も含む。さらに、 宗教及び信念の行事及び教導には、とりわけ宗教的指導者、 司祭及び教師を選ぶ自由、神学校又は宗教的な学校を設立する自由及び宗教的教本又は刊行物を作成及び配布する自由など、宗教集団の基本的事柄にかかわる活動に必要な行為が含まれる。

5 委員会は、 宗教又は信念を 「受け入れ又は有する」 自由は必然的に宗教又は信念を選択する自由を伴うと考える。かかる選択の自由には、 現在の宗教又は信念を保持する権利に加えて、現在の宗教又は信仰を別のものに転向する権利又は無神論的見解を受け入れる権利も含まれる。第18条第2項は宗教又は信念を受け入れ又は有する権利を侵害する強制を禁じている。かかる強制には、信者又は無信仰者にその宗教的信仰及び宗派にとどまること、自己の宗教又は信念を撤回すること又は改宗することを強要する暴力の行使又は刑事罰の使用もしくはそれによる脅迫が含まれる。教育又は医学的治療を受ける権利、雇用を得る権利又は第25条及び規約の他の規定で保障されている権利の行使を制限するなど、同様の意図又は効果を持つ政策又は慣行も同様に第18条第2項と矛盾する。非宗教的な性格のあらゆる信念を有する者にも同じ保護が与えられる。

6 委員会の見解では、 第18条第4項は、 公立学校における一般の宗教史及び倫理等の科目の指導は中立的かつ客観的な方法で行われるのであれば、これを認めている。父母及び法定保護者が第18条第4項に定められるとおり、 自己の信念に従って児童の宗教的及び道徳的教育を確保する自由は、第18条第1項に定められる宗教又は信念を教導する自由の保障に関連している。委員会は、特定の宗教又は信念の指導を含む公教育は、 父母及び保護者の意向と調和するかかる科目の無差別的免除又は代替科目のための措置が設けられない限り、第18条第4項と矛盾すると考える。

7 第20条に従い、 いかなる宗教又は信念の表明も、 戦争のための宣伝又は差別、敵意又は暴力の扇動 となる国民的、 人種的又は宗教的憎悪の唱道となってはならない。委員会がその一般的意見11(19) で述べているとおり、 締約国はかかる行為を禁じる法律を制定する義務を負う。

8 第18条第3項は、 法律で定める制限による場合であって、 公共の安全、 秩序、健康もしくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由を保護するために必要である場合に限って、宗教又は信念を表明する自由の制限を認めている。宗教又は信念を受け入れ又は有することを強制されることからの自由、ならびに父母及び保護者が宗教的及び道徳的教育を確保する自由は制限されない。制限を許容する条項の範囲を解釈するについては、締約国は、 第2条、 第3条及び第26条の、平等及びいかなる理由によっても差別されない権利などの規約によって保障されている権利を保護する必要性から考えを進めなければならない。課される制限は法律によって定められていなければならず、第18条において保障される権利を侵害する方法で適用されてはならない。委員会は、 第18条第3項は厳密に解釈されるべきであると考える:制約は、たとえそれが、国の安全等、 規約で保護されている他の権利の制限の根拠として認められるものであっても、本条項に定められていないものを根拠として認められてはならない。制限は規定された目的のためにのみ適用され、かかる制限の根拠となる特定の必要性事由に直接関連しまたこれと比例していなくてはならない。制約は差別的な目的で課されてはならず、また差別的な方法で適用されてはならない。委員会は、 道徳の概念が多くの社会的、 哲学的及び宗教的伝統に由来すると考える。従って、 道徳を保護するための宗教又は信念を表明する自由に対する制限は、単一の伝統のみに由来しない原則に基づかなければならない。被拘禁者など、 すでに特定の適法な拘束を受けている者は、 かかる拘束に特有の性格と両立する最大限の範囲において自己の宗教又は信念を表明する権利を継続して享有することができる。締約国の報告には、第18条第3項に基づく制限の全ての範囲及び効果について法律がどうなかっているか、また具体的な状況における制限の適用がどうなっているかの情報が含まれるべきである。

9 ある宗教が国教として認められているという事実、 公式に又は伝統的に確立されているという事実、又はその信者が人口の過半数を包含するという事実があるからと言って、第18条及び第27条を含む規約に基づくいかなる権利の享有も侵害してはならず、また他の宗教の信者又は無信仰者に対するいかなる差別も引起こしてはならない。特に、後者を差別する特定の措置、 たとえば国家公務員としての資格を支配的宗教の信者に制限し、経済的な特権をかかる信者に与え又は他の信仰における行為に特別な制限を課す措置などは、第26条に定める宗教又は信念に基づく差別の禁止及び平等の保護の保障と一致しない。規約第20条第2項が意図している措置は、第18条及び第27条で保障される権利を行使する宗教的少数者及びその他の宗教集団の権利の侵害に対し、または、 かかる集団に向けられる暴力行為又は迫害行為に対する、重要な保護措置を含むものである。委員会は、 すべての宗教又は信念による行為をその侵害から保護するため及びその信者達を差別から保護するために、当該締約国が採用した措置について、委員会に報告することが望ましいと考える。同様に、 第27条に基づく宗教的少数者の権利の尊重についての情報は、 締約国が思想、良心、 宗教及び信念の自由をどの程度実施しているかを委員会が評価するために必要である。当該締約国の報告の中には、その法律及び法解釈によって冒とく的なものとして処罰すべきとされる行為に関する情報も含めるべきである。

10 ある信念の体系が憲法、 制定法、 支配政党の公式声明等又は実際の慣行において公的なのイデオロギーとして取扱われている場合、その結果として第18条に基づく自由又は規約に基づいて認められるその他の権利のいかなる侵害も招来してはならず、また公的イデオロギーを受入れない者又はこれに反対する者に対するいかなる差別も引起こしてはならない。

11 多くの個人が兵役につくことを拒絶 (良心的兵役拒否) する権利を、 第18条に定める自由から派生するという根拠によって、主張してきた。かかる主張に対し、 より多くの締約国がその法律において、 兵役につくことを禁じている宗教又はその他の信念を真に有している市民を強制的な兵役義務から免除し、国に対する代替役務につくことを認めるようになっている。規約は良心的兵役拒否の権利に明示的には言及していないが、委員会は、 致命的な武力を使用する義務が良心の自由及び宗教又は信念を表明する権利と深刻に対立する限りにおいて、かかる権利が第18条の規定から派生しうると考える。かかる権利が法律又は慣例によって認められた場合、良心的兵役拒否者の間で特定の信念の性質に基づく区別を設けてはならず、 また良心的兵役拒否者が兵役につかなかったという理由で差別を受けてはならない。委員会は締約国に、第18条に定める権利に基づき兵役義務が免除されうる条件、及び国に対する代替役務の性質及び期間について報告することを求めている。


一般的意見10 (19) (19条・表現の自由) 1983.7.29採択

1 第1項は、 「干渉されることなく意見を持つ権利」 の保護を要求する。 これは、規約がいかなる例外又は制限をも許さない権利である。 委員会は、第1項に関する締約国からの情報を歓迎したい。

2 第2項は、 表現の自由についての権利の保護を要求するが、 その権利は、 「国境とのかかわりなく」、かつ、 いかなる方法によるものであっても、つまり 「口頭、 手書き若しくは印刷、芸術の形態又は」 自ら選択する 「他の方法により」、 「あらゆる種類の情報及び考えを伝える」自由のみでなく、それを 「求め」 そして 「受ける」 自由が含まれる。
 必ずしもすべての締約国が表現の自由のすべての側面に関する情報を提出してきたわけではない。
例えば、現代のマスメディアの発展によって、 第3項で規定されていない形ですべての人の表現の自由についての権利に干渉するようなそれによる管理を阻止するために、効果的な措置をとることが必要であるということに、従来はほとんど注意が払われてこなかった。

3 締約国の多くの報告は、 表現の自由が憲法又は法律保障されていることを述べるにとどめている。しかし委員会は、 法律上及び実行上の表現の自由の正確な制度を知るためには、それに加え、表現の自由の範囲を明確化する規約、 又は、 一定の制限を定める規則及び事際上本権利の行使に影響を与えるその他の何らかの条件を定める規則のいずれかについての関連情報を必要とする。
個人の権利の実際の範囲を決定するものは、表現の自由の原則とそのような制限との間の相互影響なのである。

4 第3項は、 表現の自由についての権利の行使が特別の義務及び責任を伴うことを明示的に強調する。そしてこの理由から、 本権利に対する一定の制限は、他の者の利益又は共同体の全体としての利益のいずれかに関わる場合に許される。しかし、 締約国が表現の自由の行使に対し一定の制限を課する場合、その制限は、権利それ自身を否定するような状況に陥らすことはできない。
 第3項は、 条件を定めており、そして制限が課されうるのはこの条件に服する場合のみである。
つまり、 制限は、「法律によって定められ」 なければならないし、 第3項(a)及び(b)で定める目的の一つのために課することができるのみであるし、そしてこの目的の一つのために当該締約国にとって「必要」 とされるものとして正当化されなければならない。


一般的意見11 (19) (20条・戦争宣伝、差別唱尊の禁止) 1983.7.29採択

1 締約国により提出された報告のすべてが、 規約第20条の実施に関する十分な情報を提供してきたわけではない。本条の性質を考えると、 締約国は、そこで言及された活動を禁止する必要な立法措置をとることを義務づけられる。
しかし、 報告によれば、 いくつかの国においては、 そのような活動が法律により禁止されてもいないし、その禁止を狙いとした又はそれを禁止させる、適切な努力もなされていないのである。
更に、 多くの報告は、 関連する国内法及び国内慣行に関する十分な情報の提出をしていなかった。

2 規約第20条は、 戦争のためのいかなる宣伝も、 そして、 差別、 敵意又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪のいかなる唱道も、法律で禁止する、としている。
委員会の意見では、ここで要求されている禁止は、19条の表現の自由の権利と完全に両立するのであり、表現の自由の権利の行使には特別の義務と責任を伴うのである。

1項の禁止は、国際連合憲章に反する侵略行為又は平和の破壊の威嚇又はこれをもたらすあらゆる形態の宣伝に及ぶのに対し、2項は、差別、敵意又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪のあらゆる唱導にも向けられたものであるが、これらの宣伝又は唱導の目的が関係国にとって対内的なものであるか対外的なものであるかを問わない

20条1項の規定は、憲章に従って、固有の自衛権又は人民の自決及び独立の権利を唱導することを禁止するものではない。
20条が十分実効性を有するようになるためには、そこで規定された宣伝及び唱導が公序に反することを明確にし、かつ、侵害の場合に適切な制裁を定める法律が存在しなくてはならない。

したがって、委員会は、まだこれを行っていない締約国は、20条の義務を履行するために必要な措置を採るとともに、自らそのような宣伝又は唱導を行わないようにすべきであると考える