=国歌不起立の教諭=
 ◆ 再任用しないのは「思想の自由侵害」 (毎日新聞)

 卒業式の国歌斉唱時に起立せず、戒告処分を受けたことがある府立高教諭2人が30日に記者会見し、定年後の再任用が認められなかったのは「思想・良心の自由」の侵害だとして、再任用審査のやり直しなどを府教委に求めていることを明らかにした。

 府立高の教諭は60歳で定年だが、年金支給は65歳からで、希望者はほとんど再任用されているという。
 2人は、戒告処分後の研修で、国歌起立斉唱を含む職務命令に従うかどうか意向確認を拒否した。
 再任用選考期間の今年1月、再び意向確認を拒否。


 その後、再任用はないとの内示があった。

 教諭らは情報公開などで、校長が再任用を「適当」と判断したと確認しており、「国歌斉唱時の不起立を理由にした採用差別で、思想・良心の自由の侵害だ」と訴えた。【湯谷茂樹】

『毎日新聞』(2017年3月31日【大阪版】)


◆ 
   「君が代」再任用希望者に意向確認
 (毎日新聞夕刊)


 大阪府立高での再任用を希望する教諭に、卒業式での国歌起立斉唱の職務命令に従うかどうかの意向を選考時期に確認したのは不適切だとして、大阪府商工労働部府教委に口頭で改善要請を行っていたことがわかった。
 就職差別をしないよう企業などを指導している商工労働部がこうした改善要請をしたのは初めてという。

 府立高校教諭は60歳で定年を迎え、年金支給は65歳からのため、多くの教諭が退職後に再任用されている。
 府商工労働部などによると、校長が1月24日、定年を迎える60歳男性教諭に「起立斉唱の命令を含む上司の職務命令に従うかについて『はい』か『いいえ』で答えよ」と質問した。


 教諭は「生徒にも(就職で)そのような違反質問には答えないように指導している私たちが答えることはできない」と回答したという。

 教諭らの相談を受けた商工労働部の照会に、府教委再任用選者のための意向確認ではないと主張した。
 しかし、商工労働部は、再任用選考期に憲向確認すれば、選考のためと考えるのは一般的と判断、「思想・信条に関わること」を質問することは就職差別につながりやすいとして、十分注意するよう2月3日、口頭で要請した。

 教諭によると、国歌起立斉唱の職務命令違反で、戒告処分を2回受けている。2月17日に校長から口頭で不合格の内示を受けたという。 【湯谷茂樹】

 ※ 最高栽判決に反す
   西原博吏・早稠田大学教授(憲法学)の話

 国旗国歌法立時に政府が「強制はしない」とした通り、憲法に保障された思想・良心の自由の問題として、起立斉唱の強制はあってはならない。君が代に対する態度を府商工労働部が「思想・信条に関わる」と捉えたことは、意味がある。再任用は生活のかかった問題で、「思想をとるか、職業をとるかの選択を迫ることは許されない」とした最高裁判決の趣旨にも反する。

『毎日新聞』(2017年3月31日【夕刊】)



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