児童養護
奪われた幼少期
2017-02-04 11:00
ベルンの政治フォーラム「ケーフィクトゥルム」にて開催中の展覧会で、25人のポートレート写真が展示されている。スイスの写真家ペーター・クラウンツァーさんは、これらの写真を通じて「捨てられた子どもたち」の過去を語るとともに、スイスの暗い歴史の一側面に光を当てる。
スイスでは1970年代まで、児童養護施設などに保護された子どもたちが無償で労働を強いられていた。その多くが虐待を受けた子どもたちだった。スイス政府は昨年9月、生き残った被害者に対して3億フラン(約340億円)の賠償金を支払うと決めた。
同展覧会で展示されている25人の思い出も、こうした児童の強制労働とは無縁ではない。やはり彼らも幼少期に養護施設に保護されたが、農場や工場での労働を強いられたという。そして、多くが身体的虐待や性的虐待の被害者だ。
こうした児童の強制労働に繋がるような行政保護措置は、1981年の欧州人権条約の批准以降、スイスで中止された。
同展覧会は3月17日まで開催されている。
(文・ Christian Raaflaub, swissinfo.ch 英語からの翻訳・説田英香)