「教育で再犯を防ぐ方向になってほしい」
 
 
 
少年法年齢引き下げに反対訴え
 
少年法の対象年齢について法制審議会で議論が始まるのを前に、10日夜、年齢の引き下げに反対するシンポジウムが開かれ、18歳の時に逮捕されたことのある男性が、少年法の対象になったことで立ち直ることができたという経験を語りました。

20歳未満の少年は、罪を犯すと少年法の対象となり、大人とは違う処遇を受けますが、法務省は、選挙権年齢が18歳に引き下げられたことを受けて、来月開かれる予定の法制審議会の総会で、少年法の対象年齢についても議論を始めるよう諮問する方針です。
年齢の引き下げに反対する東京の3つの弁護士会は10日夜、東京・千代田区でシンポジウムを開き、18歳の時に逮捕され少年院に入所したことのある大山一誠さん(37)が、みずからの経験を語りました。
大山さんは、少年法の対象になったことで刑務所ではなく少年院で立ち直りのための指導を受けることができたと説明し、「教育で犯罪を防いでいく社会になってほしい」と訴えました。
シンポジウムを主催した東京弁護士会の杉浦ひとみ弁護士は「18歳や19歳はまだ未熟で、大人が手を差し伸べて指導する必要がある。子どもたちの実態を正しく知ってもらい、冷静に議論を進めてほしい」と話していました。
NHKNEWS 01月11日 06時40分
 
 昨年9月都内で、警視庁の警察らが15歳の障碍者を不当逮捕し、代用監獄に留置し、弁護士の付き添いもなく事情聴取を行い、有罪とした事件がありました。この事件を支援した言論・表現の自由を守る会垣内つね子事務局長も集会に参加し、事件と子どもの権利条約等人権条約に関する情報提供を行いました。
2017年1月10日 18:00 のシンポのご案内
 弁護士会館17階(千代田区霞が関)
  無料、予約不要
少年法の適用年齢引き下げに関するシンポです。
成人の年齢を18歳に引き下げようという動きがありますが、
適用年齢を定めている法律には、例えば飲酒・喫煙でも分かるように、それぞれの立法目的があります。
少年法に関していえば、年齢を引き下げれば、18,19歳を大人と同じような裁判を受けさせることになります。
今でも凶悪な事件については大人と同じ裁判を受けるようになっているのですが、そのことはあまり知られていません。
それよりも、結果はそれほど重大でなくても、家庭環境に問題があるなど、
子どもの力では何ともできないことについて、家庭裁判所が丁寧に関わって、
問題を事前に解決するような機能も失ってしまうことになります。
このところ、排他的で、格差も差別も容認するような社会の動きは日本だけではなく、
世界的な流れにさえなって来ているようで、寛容の気持ちが少なくなってきていることに、殺伐とした思いを感じています。
戦後まもない昭和20年代、日本は、戦時中の不十分な教育と戦後の混乱によって少年犯罪が激増し,悪質化する時期でした。
しかしながら、当時その状況において,昭和23年7月に改正された少年法では、
少年の健全育成の重要性に鑑み、それまでの少年法の適用年齢を、18歳未満から20歳未満に引き上げました。
つまり、18歳、19歳も健全な育成の観点から育て直そうと、あえて、年齢を引きあげたのです。
こういった社会の寛容性が、日本の少年法の良好な成果を導いてきたといえるのではないでしょうか。

新年にあたり、ただでさえ少子化する子どもを、大切に育てるための問題を、一度一緒に考えてみませんか。