● 私への職務命令違反の背景 (練馬・教育問題交流会会報)
N・N

 再任用となってからの5年も満期となり、この3月に40数年にわたる都立高校図書館の現場を退きました。そしてその最後の卒業式で職務命令違反ということでの戒告処分を受けました。
 私への職務命令は
「保護者受付」の業務指定、「但し9時40分までに式場に入ること」、というものでした。
 仕事としての受付業務はずっと行い、最後の片付けまで行ったのですが、
決められた時間までに式場に入らず決められた席に着かなかったため、校長の命令違反をしたというのが処分理由です。
 職務命令のもとでの式実施には、ずっと
もやもやした思いが交錯しており、せめて現役最後に自分のやれる行動をとろうと決意してこういう結果になりました。


 教育の右傾化、管理的統制の強化、
現場はトップダウンでの仕事ばかりが増えて疲弊しきっています。その象徴としての入学・卒業式-これは本来のあり方ではない、という思いの表明です。
 日本が明治以降に
アジアを侵略してきた、その象徴としての「日の丸」への否定感。特に慰安婦問題についての国の対応は、同じ女性として絶対に許せないとの思いも強いのです。

 さらには、
学校司書という職が都教委に蔑ろにされて来たという怒りもありました。
 今、学校司書は新規採用がなく、
民間委託が導入されました。校長の管理外の人員であり、生徒指導も行えないパート職員が配置されています。
 「子どもの読書活動の推進に関する法律」等の法制化以来、都立高校でも
読書教育を教育課程上に位置づけることが指導されています。また今まさに「アクティブ・ラーニング」が叫ばれる中、図書館の重要性は増すばかりですが、人的保障は顧みられていません。

 2014年の
「学校図書館法」改正で「学校司書」の職名が初めて法律上に規定されてもいます(40数年の運動の結果、ようやく入った)。
 私の職務命令違反は
学校司書も教育を支える柱の一つであることを、都教委に訴えることも重要な動機でした。

『練馬・教育問題交流会・会報』2016年7月発行
(練馬区練馬1-16-16土田コーポ101)


パワー・トゥ・ザ・ピープル!! パート2