ロシアとトルコとの間に交わされた原子力協定によると、トルコは用地をロシアに無償で提供し、提供後もその土地に関して、トルコは何の権利も持っていないという不平等な条約での契約となる。
このアックユ原発は、地中海の海水を冷却水として使う事になるが、”世界中にいる700頭いるオットセイの100頭が地中海に生息しており、植物等も否定的な影響を受ける”と、2007年には165名、2008年には206名の科学者がアックユ原発に反対する理由を発表しているが、原発推進側は計画を強行している。
急速にすすめられるトルコでの原発計画の背景になにがあるのか、トルコで「原発ゼロ」という原子力に関するニュースサイトのプロジェクトコーディネイターで、オンライン新聞「グリーン新聞」で原子力情報編集長を務め、日本や福島のニュースを取りまとめているプナール・デミルジャン氏に聞いた。
「トルコは地震国で、日本と同じように原発建設には向きません。現在日本が原発計画をすすめるシノップ市から、30キロのところに活断層があります。シノップ市のゲルゼ市長も、原発に反対紙、自然エネルギーに賛成と言っています。チェルノブイリ28年目の昨年、シノップ市では脱原発の集会に一万人以上の人が集まり、抗議をしました。」
トルコでは、チェルノブイリの際に、土壌が汚染された。トルコ産の紅茶が、基準値以上に汚染された。その時当時の政治家はチェルノブイリ以前の汚染されていない紅茶と、汚染されたものをあわせ基準値以下にしたものを国内で流通させた。「放射能入りの紅茶は普通のものよりももっと美味しい」と言った政治家もいた。そのせいなのか、因果関係はわからないが、その後トルコではガンなどの病気が増えた。プナールさん自身も甲状腺に異常を抱えながら生活している。原発輸入の計画は、トルコの人々に28年前のチェルノブイリの事を思い出させた。
プナール氏は、シノップに原発が建てられたら、貴重な黒海の自然が壊されると、黒海を3ヶ月かけボートでまわりながら、12の市に対して原発反対のプレスリリースを流す活動も行った。
「トルコでは今,日本と同じような軍事国家化がすすんでいます。2013年にゲジ公園で行われた原発輸入反対を訴える市民も参加した政権への反対を訴えるデモでは、3000人が逮捕され、8000人以上が傷害が残るケガ、12名が視力を失い。11名が命を落としました。トルコ警察がガス銃を乱れ打つなど、ほぼ内戦状態です。日本は民主主義のない国に、原発を輸出するのですか。」