佐賀新聞 2015年03月18日
玄海原発事故時の避難先 伊万里市民9割変更へ
県と調整 基準の室内面積確保
佐賀県は、玄海原発の重大事故に備えた原発から30キロ圏内の住民の避難所を見直す作業を進めている。玄海町、唐津市、伊万里市の避難計画のうち、市域全体が30キロ圏に入る伊万里市では、9割以上の市民の避難先が変更される見通し。国の基準に沿った室内面積を確保し、避難先までの距離を均等化するため。伊万里市の計画変更は4月にも決定し、他2市町も調整を進めていく。24面に関連記事
県消防防災課などによると、現計画は、福島第1原発事故を受け、2011年8月に県が暫定行動計画を策定する際に調べた収容可能人数などを参考に作った。その後、避難所によっては収容可能面積に階段など不適切な部分を含めていた事例が判明した。新たに唐津市民が福岡県経由となる広域避難の考え方なども出たため、県が昨年8月、見直しに着手した。
伊万里市の現計画では、市民約5万6千人の避難先として武雄、嬉野、鹿島、有田、太良の3市2町に学校や公民館など210カ所を確保している。ただ、避難所によっては国が示す1人当たり2平方メートルの面積を確保できないケースや避難所までの距離が地区によって大きな差があった。住民の避難先を入れ替えることで対応した。
県は昨年11月、見直し案を伊万里市に提示し調整を続けてきた。玄海町と唐津市には、まだ示していない。
県消防防災課は「収容面積は暫定で策定した時の調査で不備もあった。よりスムーズに避難できるよう、今後も不断に見直していく」と説明している。