安保理決議1325号=「女性・平和・安全保障に関する行動計画案(第2稿)」についての意見募集:

 外務省人権人道課女性参画室
 
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パブリックコメント:意見募集中案件詳細 外務省HP
 
  • 外事

女性・平和・安全保障に関する行動計画案(第2稿)についての意見募集

案の公示日 2014年09月22日意見・情報受付開始日 2014年09月22日 意見・情報受付締切日 2014年10月14日意見提出が30日未満の場合その理由
 
パブリックコメントの内容について協議予定の第10回少人数グループ会合の開催を10月末に予定しており、事前に内容の取り纏めを行う時間が必要なため、公募期間を短縮する。
関連情報
意見公募要領(提出先を含む)、命令等の案
関連資料、その他

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 言論・表現の自由を守る会事務局 コメント:
 
 現時点において、一体何人の女性が、安保理決議第1325号についてご存知でしょうか?  
 外務省主催の「女性・平和・安全保障に関する行動計画に関する意見交換会」は、まだ福島でも首都圏でも一度も開催されていません。
 
 わずか5か所(沖縄、北九州市、京都、仙台市、札幌市)でしか開催されておらず、しかも参加者は各会場「約30人」、北海道は「約10人」です。
 
 昨年(2013年)9月18日、外務省で開催された女性・平和・安全保障に関する行動計画についての第1回意見交換会に、当会の垣内つね子事務局長が参加し、「この10数年の間に女性の貧困が加速・悪化していることをふまえ、全国47都道府県で(意見交換会を)開催すべきである」「各地で意見交換することは、(行動計画の)各都道府県市町村の行政関係者への周知につながる。その際の会場は立派な会議室でなくても大学等の会場でよい」と提案しました。
 
 しかし、外務省の和田幸浩外務省アジア大洋州局大洋州課長は、予算が少ないことを理由に提案を受け入れませんでした。そして、予算がないと言いながら、昨年11月と今年3月にもにニューヨークの会議に参加しています。その一方で、3月にUNウィメン事務局長を招聘して多額の資金提供を決めています。

 本年2014年4月24日、外務省人権人道課にNGO等から要望もないにもかかわらず、女性参画室を設置し、松川るい室長を配置し、NGOや市民団体の女性を悪用し、8月には個人通報制度批准を担当する条約履行室長を外し、人権人道課長が条約履行室長を兼任しています。
 
 
 第一次安倍政権で、2000年の安保理決議の国内行動計画策定をサボったために福島の過酷事故による被害を拡大し、東日本大震災の甚大な被害を引き起こし、拡大し、その復興にも、まともな対策がとられず被害が拡大しています。
 1979年に自民党政権下の国会で批准した国際人権規約(自由権規約・社会権規約)を踏みにじりつづけ、国連総会で決議された後13年間も安保理決議1325号の国内行動計画策定もサボり続けました。
 
 安倍首相の外遊が激しすぎ、すでに今年度予算が枯渇したため、外務省は来年度概算要求で、首相や外相らの外国出張旅費について、前年度当初比7割増の16億3000万円を計上し、さらに防衛省概算要求では、首相の外遊などで使用する政府専用機を買い替えるため、542億円を計上したと報じられています。
 
 第2次世界大戦の侵略国である日本の政府が、憲法第9条違反の集団的自衛権行使を閣議決定したことも、秘密保護法を強行採決したことも、人権理事国資格をはく奪されるべき重大な国際規約違反であり、人道の罪にあたる違法行為です。
 
 これまでの人道の罪を問われるべき首相が、「女性の活用」などと国連総会でうそぶいて女性を悪用し、専用機で世界中を飛び歩いて武器輸出のトップセールスに莫大な税金の無駄使いを重ね、そのつけを被災者の弱者に押し付けて、さらに放射能をはじめ戦争政策によって甚大な被害を拡大することは国際社会も許しません。
 
 国際人権条約の活用に道を開く個人通報制度批准は、2010年に条約履行室が設置されており、2011年5月には拷問等禁止条約の個人通報制度批准閣議決定の予測記事が報道されており、批准準備はすでに整っています。
 
 現在開かれている臨時国会において、速やかに個人通報制度批准を閣議決定させましょう。 
 
 
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 外務省がこれまでに開催した意見交換会(外務省HP報告内容 下記■)は全国でたった5か所、120人程しか参加していません。 
 
   2月28日:浦添市 沖縄県 約30名
   5月31日:北九州市 約30名
   6月23日:京都市 約30名
   7月6日:仙台市 約35名
   7月25日:札幌市 約10名
 
 今年4月、外務省人権人道課の中に女性参画室が急ごしらえされましたが、国連でのロビー活動をしている人権関係のNGO幹部も弁護士達も、このことを知りませんでした。いまだに内閣府男女共同参画局の役割分担・位置づけも不明です。
 
 今年7月の時点で、当会活動拠点である千葉県習志野市の女性団体の幹部も、男女共同参画センターの幹部職員でさえも、安保理決議1325号についてご存知ない為、首都圏のトップで習志野市の大会議室にて意見交換会を開催するよう提案していました。
 
 しかし、首都圏での意見聴取会を開催せず、『奇襲攻撃』のように猛暑のお盆休暇直後・開催からわずか1週間程前、外務省HPに8月26日開催予定の「女性・平和・安全保障に関する行動計画:第9回少人数グループ会合」の案内を掲載し、今回の「行動計画案(第2稿)についての意見募集」パブリックコメント
 
 
 
 
北海道 札幌市
女性・平和・安全保障に関する行動計画:北海道での意見交換会  
  (外務省HP掲載日)平成26年8月12日
 
 7月25日,札幌市(公益社団法人 北海道国際交流・協力総合センター(ハイエック))で開催された女性・平和・安全保障に関する行動計画についての意見交換会の概要は以下のとおりです(外務省・NAP1325北海道共催,(公社)北海道国際交流・協力総合センター協力)。

1.出席者

 関心を有するNGO,有識者の方々など約10名に参加いただきました。

2.議論の概要

 
  • (2)続いて,出席者の方々から御意見・御質問が出され,外務省と出席者との間で,質疑応答が行われました。出席者の方々から出された意見・質問は,取りまとめ以下のとおりです。これらの御意見等に対して,外務省から,政府の基本的な立場や計画案の具体的な検討状況,今後の予定等について説明しました。なお,各御意見・御質問の後に括弧書きがある場合は,外務省からの応答をまとめたものです。また,以下のやり取りのほかにも,戦後処理のあり方や財産・請求権の問題を含め幅広い意見交換がなされました。
    • (ア)「序文」には憲法を直接引用している部分があるが,仮に今後,憲法が改正された場合はどうなるのか。その場合,行動計画の見直し前のタイミングであっても,憲法改正に伴い計画の該当部分を修正する可能性もあるのではないか(実際にそのような状況になった場合に具体的に検討されることになろうが,全くの可能性の話として言えば,見直し前のタイミングでも修正される可能性も排除されないのではないかと考える。)。
    • (イ)行動計画(第1稿)の検討(一読)を終え,二読に向けて第2稿を作成中とのことであるが,第1稿を基にして作業しているのか,市民社会からのコメントを基に作業しているのか(市民社会からのコメントを基に第2稿を作成すべく関係府省庁等との調整を鋭意行っているが,施策や指標を含め,全ての提案が含まれることは難しく,政府等でどうしても対応できないものは削除させていただかざるを得ないことになろう。)。
    • (ウ)日本の行動計画だから防災・復興支援を組み入れるということについては,国際的な行動計画のあり方との関係で問題はないのか(UN Women関係者との意見交換などにおいても,日本の行動計画に防災・復興支援の観点が含まれることは,他国にも参考になるとの声が寄せられている。)。
    • (エ)行動計画における国内向けの施策と国外向けの施策との関係いかん。まずは国内施策をしっかりと推進していくべき(いわゆる先進国の行動計画は,国外向けの支援策が中心となっているが,そのような支援策を効果的・効率的に実施していくための体制整備などの国内施策も含まれている。日本の行動計画についても,他の先進国と同じような構成になるのではないかと考える。国内の施策については,男女共同参画基本計画との関係に留意が必要である。)。
    • (オ)慰安婦問題に関連し,多くの女性達は戦争,紛争下で性的暴力を含め様々な被害を被っているので,これらを現在進行中の問題として正面から記述すればどうか。国際的な評価に耐え得るものを作成すべきであり,慰安婦問題を含め性的暴力についての考えを示すべき。慰安婦問題は政治問題,外交問題以前に暴力の問題。行動計画では,慰安婦問題イコール政治問題,外交問題といった認識を越えて,性的暴力の問題として扱うべき。(紛争下の性的暴力が現在進行中の問題であることは指摘のとおりであり,どのような記述が可能か引き続き検討したい。)
    • (カ)平和構築でインフラ建設等多額の支援を行っても紛争が再発すれば破壊されてしまう。紛争予防が重要。人道・復興支援という名の下に利益を得ているのは実はドナー国といった面もある。紛争「後」よりも「前」を重視すべき。
    • (キ)特に北海道では自衛隊の内部でのセクシュアル・ハラスメントの問題に関心が高い。また,自衛隊内には男女格差も存在する。平時でのそのような傾向は,戦時には更に顕在化する。セクシュアル・ハラスメントの問題や男女格差をどのように防ぐかが問題。今後,海外に派遣される機会も増えるとすれば,ジェンダー研修は一層重要になってくる。自衛隊内部での対応にも課題があり,単に外部から講師を招いて話を聞くというだけでなく,外部の関与のあり方を含め対応振りを検討する必要がある。
    • (ク)難民保護の視点も重要。難民を支援する際には,「上から目線」ではなく,適切に対応するための教育が必要。
    • (ケ)行動計画の実施に当たっては国内外での周知徹底が重要。
    • (コ)個々の施策の実施に草の根無償資金協力が果たす役割もあると考えるが,草の根無償とは独立した形でジェンダーに基づく暴力(GBV)予防の基金を創設すればどうか。
    • (サ)「平和構築と紛争予防における女性の参画とリーダーシップ」と「紛争下の性的暴力の予防と対処」という安保理決議から導かれる柱の有機的な連関が重要。
    • (シ)集団的自衛権をめぐる議論にも関連して,憲法第9条を含め,暴力による紛争解決に荷担せず,紛争のない社会の構築に貢献する,といった日本らしさを出す必要がある。
    • (ス)安保理決議1325及び関連決議も完璧なものではなく,それらを実際に実施し,補完する行動計画を作成することには意味がある。他方,国際協力,平和,非暴力といった本来あるべき姿と異なった方向に向かわないようにしなければならない。
 
■宮城県 仙台
女性・平和・安全保障に関する行動計画:仙台での意見交換会
 (外務省HP掲載日)平成26年7月23日
 
 7月6日,仙台市(東北大学片平さくらホール)で開催された女性・平和・安全保障に関する行動計画についての意見交換会の概要は以下のとおりです(外務省・みやぎジョネット共催,東北大学法学研究科附属法政実務教育研究センター・国連安保理決議1325号国別行動計画市民連絡会協賛,司会進行:田中雅子上智大学総合グローバル学部准教授)。

1.出席者

 関心を有するNGO,有識者の方々など約35名に参加いただきました。

2.議論の概要

(2)続いて,パネリストのNPO法人参画プランニング・いわての田端八重子副理事長から「政策提言『生活復興』への提言」(PDF)http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000000163.gifについて,
また,NPO法人ウィメンズスペースふくしまの小倉久美子副代表理事から「福島からの提言」(PDF)http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000000163.gifについて,それぞれ概要説明がありました。特に強調されたポイントは以下のとおりです。
なお,当日参加できなかった人権NGO言論・表現の自由を守る会の垣内つね子事務局長からも個人通報についての提言(PDF)http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000000163.gifが提出されました。
    • (ア)(田端副理事長)復興が以前よりも一見落ち着いてきたと思われるようになってきたところで様々な問題が生じてきている。暮らしの面では,目に見えるハード面だけでなく,目に見えないソフト面の支援が重要。住環境,仕事,地域再生,学びと場の提供においても,被災者一人一人の被害状況,環境,性別,年齢,障害等の違いに起因する多様性に着目することが重要。地域再生では,仮設住宅の統廃合,更に復興住宅への移転等,何度も地域づくりに取り組まねばならない状況。また,学びの場を提供し,経験をつないでいくことが重要。
    • (イ)(山内さん)人道・復興支援分野の緊急支援期では,誰でも避難所に来て食料等の支給を受けることができるという「権利広報」が必要。特に初動段階では正確な情報伝達が重要。避難所運営には冷静な視点が不可欠であり,地元よりも外部の人材が避難所代表となった方がよい。被災者が精神的に最も前向きになる復興段階への移行期の取組がその後の活動にも影響を与える。被災者の自立心を失わせないよう,自衛隊などによる公的支援の撤退時期の見極めが重要。以前からジェンダーの視点で物事を見ていれば,当時もっとできたことがあったのではないか。
    • (ウ)(小倉副代表理事)原発事故当時,直ちに健康に影響はないという政府の情報と直ちに避難すべきというインターネット情報が錯綜した。迅速かつ正確な情報伝達が被害の拡大防止に不可欠。親,特に母親の判断が子どもの将来に影響を与えかねないが,放射能という個人では判断できない問題を個々の女性に押しつけている現状がある。「絆」という言葉が女性の役割を固定化し,女性へのストレスにつながっている面もあり,女性のための電話相談は重要。意思決定に参画する女性の数,諸活動での女性リーダーの数を半分に引き上げるべき。震災の中に原発を含めるのではなく,人的災害として独立させるべき。
(3)その後,出席者の方々から御意見・御質問が出され,外務省,パネリストの方々との間で,活発な意見交換が行われました。出席者の方々から出された意見・質問は,取りまとめ以下のとおりです。これらの御意見等に対して,外務省から,政府の基本的な立場や計画案の具体的な検討状況,今後の予定等について説明し,パネリストの方々から,震災・原発事故の経験を行動計画にどのように活かしていくか等について見解が示されました。

  • (ア)安保理決議1325が2000年に採択されて以降,これまで日本が行動計画を策定してこなかったことにつき,外務省はまず反省すべき。
  • (イ)震災復興の時期になって行動計画の策定が開始されたことは相関関係があるのか。
  • (ウ)実施・モニタリング・評価では,市民社会・専門家から成る委員会を立ち上げ,評価と共に,政府の実施状況をしっかり監視すべき。
     行政は,うまくいっていないことを明らかにしない傾向にある。
     同委員会の特に専門家の人選について,推薦に基づく場合には男性が多くなる可能性がある     ので,公募枠を設けるなど工夫が必要
  • (エ)行動計画では,戦争放棄や基本的人権,知る権利といった基本原則に触れるべき
  • (オ)命の尊重,命とは何かをどう伝えるかが重要
  • (カ)避難所での指示のあり方を含め,災害対策においては行政が権力者の責任を自覚すべき。
  • (キ)放射能の問題については,正しい情報が重要
  • (ク)女性の意思の尊重の度合いが,復興状況にも現れている
  • (ケ)行動計画の具体的な施策については,財政措置との関係を考えるべき。
  • (コ)震災復興政策と外務省が実施する安全保障政策とはきちんと切り分けるべき
  • (サ)紛争下の性暴力防止に向けた取組は評価するが,慰安婦問題について,事実を検証して明らかにすべきであり,また,この問題に関する教育をしっかりすべき
  • (シ)最近の集団的自衛権をめぐる動き等は行動計画が実現しようとしていることとかけ離れているのではないか
  • (ス)女性だけでなく,障害者,子ども,高齢者,レズビアンやゲイといった性的マイノリティ等など,多様なニーズを持った人への配慮も必要
  • (セ)災害後,女性は自分の食事を後回しにしてまで家族のために働く傾向があり,疲弊している。女性たちが支援を受けやすいような配慮が必要
     たとえば被災後に同一サイズの紙おむつだけが配布されるなど,きめ細かさに欠けていた。
     防災計画はジェンダー視点が入ったものにすべき。
     女性の参画が進んでいる地域では,意思決定にも女性が関与している。
  • (ソ)女性のリーダーシップの実現がなぜ進んでいないのか,それを妨げる問題についてよく考え,問題を除去すべき。
  • (タ)行動計画の策定に当たっては,現場の実情に詳しい女性リーダーの方々の意見も聞くべき。
  • (チ)2015年3月に仙台市で開催が予定されている国連防災世界会議の関連行事があれば,情報提供してほしい。
  • (ツ)行動計画には地方自治体も関与させるべき自治体の防災会議に女性の声が反映されていないことは問題行政のやり方に問題があるが,その問題を総括して防災計画を作り直すべきであり,ジェンダーの視点を取り入れるべき
 
■京都・関西
女性・平和・安全保障に関する行動計画:関西での意見交換会
(外務省HP掲載日)平成26年7月3日
 
 6月23日,関西(同志社大学)で開催された女性・平和・安全保障に関する行動計画についての意見交換会の概要は以下のとおりです。

1.出席者

 関心を有するNGO,有識者,大学生,大学院生の方々など約30名に参加いただきました。

2.議論の概要

 
(ア)外務省が取り組んでいる女性関連施策の現状いかん。安倍政権が進める女性政策との関連いかん。G8/G7の枠組みの下での紛争下の性的暴力の防止を含む女性関連の議論の現状いかん。
 
(イ)行動計画では,憲法の第9条や人権に関する規定に触れるべき。
 
(ウ)行動計画の策定・実施においては,各国間や国際機関との連携が重要。行動計画を策定済みの国々は先進国が多いが,途上国での計画策定を支援すべき。他国との経験共有も大切。
 
(エ)安保理決議に基づくと言っても,決議内容の全てに法的拘束力があるわけでなく,決議のなかの「決定」とされた文言にしか法的拘束力はない。行動計画の実施を「決定」するよう、国連の加盟国に働きかける余地はあるのか。
 
(オ)ジェンダー問題を取り上げたり,女性が前に出ることに対して,国内には未だ抵抗感が感じられる。この点に対処するためにも,国内での安保理決議と行動計画に関する啓発が重要。

  • (カ)啓発については,このような場に参加しない,関心のない人々への対応が課題。特に性的暴力の根絶のためには,一般的なジェンダー教育や平和教育の枠組みを更に広げ,高校生レベルからは男女を問わず,もう少し突っ込んだ教育を行い,議論を惹起する必要がある。この点,旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所(ICTY)が作成している性暴力のドキュメンタリー映画を上映したり,ICTY判事とビデオ・リンクで対話したりといったことも考えられる。
  • (キ)教育・啓発については,民放との協力が効果的。
  • (ク)慰安婦問題を含め,ジェンダー教育は平時でも重要であり,学校,会社でも教育が必要。
  • (ケ)宗教が紛争や女性差別の要因となっている場合もあり,その視点も行動計画に含めるべきではないか。PKO要員の派遣前研修において,派遣国の宗教や慣習についてしっかり研修すべき。
  • (コ)PKO要員による性暴力については,派遣前の研修と共に加害者の責任追及が重要。また,ゼロ・トレランス政策を含め派遣国間で意識を共有しておく必要がある。
  • (サ)行動計画を通じて,PKO要員と現地の人々との性的関係は同意があったとしても許されないといった,性的搾取・虐待に関する行動規範についての理解が徹底されるようにすることが大切。
  • (シ)日本のODA事業との関連で,現地の警察が住民を抑圧している例もあり,警察支援には注意が必要。
  • (ス)行動計画における暴力には,言葉による暴力,精神的な威圧も含められるべき。
  • (セ)「III.保護」に関するコメントには,ジェンダーに基づく暴力(GBV: gender based violence)の定義が注釈に付されているが,レズビアン,ゲイ,バイセクシュアル,トランスジェンダー(LGBT)への配慮が必要。
  • (ソ)国連から日本に対しても女性のPKO要員の派遣要請があると承知しているが,その背景いかん。
  • (タ)ジェンダー平等の実現を通じて紛争をなくすとは具体的にどういうことか。
 
 
北九州市
女性・平和・安全保障に関する行動計画:北九州市での意見交換会
(外務省HP掲載日)平成26年6月12日
 
 5月31日,北九州市(北九州市立男女共同参画センター・ムーブ)で開催された女性・平和・安全保障に関する行動計画についての意見交換会の概要は以下のとおりです。

1.出席者

 関心を有するNGO,有識者の方々など約30名に参加いただきました。

2.議論の概要

  • (1)冒頭,外務省から,女性・平和・安全保障(WPS)に関する安保理決議と「行動計画」の概要(PDF)http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000000163.gif,現在検討作業を進めている行動計画案(第1稿)(PDF)http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000000163.gif及び市民社会から提出された行動計画案(第1稿)序文への修正案・コメント(PDF)http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000000163.gif「I.エンパワーメント・参画」に対するコメント(4月7日付け)(PDF)http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000000163.gif「III.保護」に関するコメント(PDF)http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000000163.gif「IV.人道・復興支援」に関するコメント(PDF)http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000000163.gif「V.モニタリング・評価・見直し」に関するコメント(PDF)http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000000163.gifを配布し,ポイントを説明しました。続いて,市民社会から,「1325 NAP策定に市民社会はどう関わるか?」(PDF)http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000000163.gifが配布され,説明がありました。その後,出席者の方々との間で,活発な意見交換が行われました。
  • (2)出席者の方々から出された意見は,取りまとめ以下のとおりです。
    • (ア)市民社会の代表が参加する形での行動計画の起草作業,作業プロセスの公開を評価。策定後のモニタリング,評価,見直しに当たっても,同様の方式が踏襲されることを要望。
    • (イ)今回の北九州市含め地方都市での意見交換会は重要。今後とも地方を含む市民社会との情報共有,意見交換に期待。特に地方での会合については,周知をより早く,広く行うべき。
    • (ウ)外務省総合外交政策局に女性参画推進室が設置され,今後の外交政策で女性の参画推進とジェンダー平等が実現されることを期待。
    • (エ)ジェンダー平等に基づく女性の人権含む人権尊重に立った平和構築,紛争予防が行動計画の目的であること,平和構築のあらゆる段階の意思決定への女性の参加,日本の安全保障へのジェンダー視点の統合が目的実現の手段であることを計画に明記することを要望。
    • (オ)日本の行動計画では,憲法の平和主義に基づくことを強調し,憲法第9条に言及すべき。
    • (カ)「積極的平和主義」の定義があいまいであり,行動計画で使用すべきではない。
    • (キ)行動計画の意義について,慰安婦などの歴史と経験の反省に立って,戦時下の性暴力といったグローバルな課題に取り組み,世界の平和構築に貢献することを目指している旨明記すべき。「III.保護・救済」の柱で,慰安婦問題の早期解決に言及すべき。この問題を解決した上で行動計画の施策を実施していかないと意味がない。また,この問題の教育が重要であり,教科書にしっかりと記述して教育していくことを具体的に記載すべき。
    • (ク)教育については,女性の視点,ジェンダー視点を含む平和教育が重要。
    • (ケ)ヘイトスピーチへの対応や在日米軍基地周辺での女性に対する暴力など国内における平和構築も中心課題に含めるべき。米軍基地における性暴力は戦時性暴力であり二度と繰り返さないことを明記すべき。
    • (コ)ドメスティック・バイオレンスや被災地での状況等については,よりそいホットライン等の国内の取組の蓄積があり,これを計画に含めるべき。
    • (サ)女性を紛争の被害からの保護対象としてではなく,国内外の平和構築の担い手とすることを前面に出すべき。
    • (シ)グッド・プラクティス(成功例)の蓄積だけでなく,失敗例も明らかにすべき。
    • (ス)東日本大震災の経験から,常日頃の地域社会でのジェンダー平等の取組が最大の防災手段であることを痛感。行動計画においても,男女共同参画社会作りと連携し,ジェンダー平等な社会の実現が最大の紛争防止であることを謳うべき。
    • (セ)行動計画を男女共同参画基本法及び基本計画,地域の条例等,国内の枠組みと連携しながら進めていくことを明記すべき。地方自治体において,各地の実情にあった1325地域行動計画が作成されるよう奨励すべし。
    • (ソ)ODA大綱の見直しにも行動計画が関連づけられるようにすべき。
    • (タ)女子差別撤廃条約等の国際的枠組みとの連携も明記すべき。地方との関係では,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)上の対応も含めるべき。
    • (チ)実施に必要な予算の確保を明記すべき。
    • (ツ)実施主体に政府関係機関のみならず,女性団体始め市民社会,地方自治体を含めるべき。
    • (テ)平和構築を推進する女性人材の育成を掲げるべき。
    • (ト)日本の経験を踏まえ,他国の行動計画策定を支援すべき。
  • (3)これらの御意見に対して,外務省から,慰安婦問題や在日米軍基地等に関する政府の基本的な立場や行動計画の案文の検討状況,今後の予定等について説明しました。
沖縄
女性・平和・安全保障に関する行動計画:沖縄での意見交換会
(外務省HP掲載日)平成26年3月17日
 
 2月28日,沖縄(国際協力機構(JICA)沖縄国際センター)で開催された女性・平和・安全保障に関する行動計画についての意見交換会の概要は以下のとおりです。

1.出席者

 関心を有するNGO,有識者の方々など約30名に参加いただきました。

2.議論の概要

  • (1) 冒頭,外務省から,女性・平和・安全保障(WPS)に関する安保理決議と「行動計画」の概要(PDF)http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000000163.gif,現在検討作業を進めている行動計画案(第1稿)(PDF)http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000000163.gif及び市民社会から提出された行動計画案(第1稿)序文への修正案・コメント(PDF)http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000000163.gifの概要を説明し,出席者の方々との間で,活発な意見交換が行われました。その際,沖縄の方々の御意見を取りまとめた要望(PDF)http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000000163.gifが配布され,説明がなされました。 なお,沖縄以外から参加された方からは,沖縄以外の人々が沖縄の現状を実感することは難しいが,今回,それを肌身で感じることができた。各地で意見交換する際にも,沖縄の方々に参加いただくことも一案である,といった御意見も出されました。
  • (2) 上記(1)の要望を含め,出席者の方々から,取りまとめ以下のような意見が出されました。
    • (ア) 行動計画の基本的な考え方について,先進国たる日本が紛争国をいかに支援するかという点のみを計画の中心とするだけでよいのか。在日米軍基地の存在,駐留軍隊による女性に対する暴力といった沖縄の状況を踏まえた計画を策定すべき。これは,沖縄の状況がひどいから何とかしてほしいということではなく,先の大戦の経験も踏まえ,日本として自国全体をどう見るかということ。
     
    • (イ) 沖縄は平和であるとは言えず,日本は紛争下にないとは言えない。基本認識として,日本は紛争状態にあると言ってしまいたい気持ちである。20世紀の戦争の結果として沖縄に軍が駐留し,それが現在も継続している状態であって,紛争が解決されたとは言いがたい。行動計画は日本の「自画像」であり,沖縄を含め,各国から見た日本の姿と合致しているかという視点から検討すべき。その観点から,地位協定の問題や慰安婦問題に触れない計画は,何のための計画かということになる。
     
    • (ウ) 在日米軍関係者による女性に対する暴力は恒常的に発生している。これは,日米地位協定の不平等性に起因する。地位協定の改定も視野に入れるべき。計画案(第1稿)には,法の下の平等を含む憲法の関連規定への言及があるが,地位協定が憲法よりも上位に位置しているがごとき状況下では,憲法に規定される平等を実感できない。
     
    • (エ) 米国は,沖縄を含む海外に派遣される要員に対する教育を徹底すべき。その点も地位協定の中に反映されるべき。日本は受入国として,派遣国の米国に対して教育の徹底をしっかり求めるべき。在日米軍基地から紛争国に派遣された軍人が罪を犯すことは,派遣元の施設提供者たる日本の責任でもあり,米国軍人に対する教育は日本自身の問題でもある。米国軍内部での性暴力が米国内でも問題となっている。これらの点を米国に対して指摘すべき。また,米国の行動計画の中に軍人に対する教育が含まれているか、確認すべき。さらに,日本と同じく駐留外国軍隊を抱える国の行動計画に参考となる施策はないか調べるべき。
     
    • (オ) 「積極的平和主義」は,一時の政策的要請から出てきた言葉であり,経験に基づく練られた考え方ではない。「平和」という言葉は沖縄にとって重要な意味を持つ。憲法第9条,恒久平和を計画に含めるべきであり,また,集団的自衛権は容認しないことを明記すべき。
     
    • (カ) 行動計画の策定及び策定後の実施において,沖縄は重要なステークホルダー。モニタリング等に関して,日米合同の会合を沖縄で開催することができれば有益。
 
(3) これらの御意見に対して,外務省から,在日米軍基地や慰安婦問題等に関する政府の基本的な立場を説明したほか,本年3月末までに外務省の担当者が米国を訪問し,同国の行動計画担当者との間で意見交換する予定であることを紹介するとともに,今回の意見交換会で頂いた御意見,具体的な要望を基に米国との意見交換に臨みたい旨伝えました。