2013年12月18日 

猪瀬知事:前徳洲会理事長が東電病院取得の意向伝える

 東京都の猪瀬直樹知事が医療法人「徳洲会」グループから5千万円を受け取っていた問題で、知事が昨年11月に徳田虎雄前徳洲会理事長(75)と面会した際、売却が決まっていた東京電力病院(東京都新宿区)を取得する意向を伝えられていたことが18日、関係者への取材で分かった。
 
 猪瀬氏は今月6日、都議会一般質問で「東電病院の売却は話題になっていない」と答弁。虚偽だった疑いが浮上したことで、辞任を求める声が強まるのは必至だ。
(共同)
 
 
毎日新聞 2013年12月17日朝刊 
 
猪瀬知事:答弁で目立つ変遷、5000万円の動き
 
 
 東京都の猪瀬直樹知事が医療法人「徳洲会」グループから5000万円を受け取った問題で、都議会は17日、総務委員会で続けてきた集中質疑を打ち切り、週明けの24日にも地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委員会)を設置する方針を決めた。
 
 5000万円授受を巡る猪瀬氏の答弁で、特に変遷が目立つのが5000万円そのものの動きだ。当初は「ずっと手を付けず、貸金庫に置きっ放しだった」と説明していたが、実際は東京都心と自宅のある町田市を2往復するなど、東京地検が捜査過程で発見するまで少なくとも計7カ所を転々としていた。移動距離は直線で約112キロに達する。
 
 猪瀬氏によると、5000万円は昨年11月20日に受け取り、港区の個人事務所に立ち寄った後に町田市の自宅に持ち帰った。翌日に妻(今年7月死去)が都心に出て銀行の貸金庫に保管。さらに今年5月に町田市内の貸金庫に移し、9月に徳洲会側に返却したという。個人事務所に寄ったことや、貸金庫を変えたことは当初の説明になく、公用車や貸金庫の使用記録が明るみに出た時点で訂正した。
 
 不自然なのは、猪瀬氏が5000万円を受け取る前日に港区内の貸金庫を開設し、受け取った後に同区にある個人事務所に立ち寄っていたのに、いったん現金を町田市の自宅まで持ち帰り、翌日になって妻に「電車かタクシー」(猪瀬氏)で自宅から港区まで運ばせた点。都議会総務委員会で猪瀬氏は「妻に現金を見せるため」と釈明したが、なぜ見せる必要があったのか返却前も、5000万円をいったん自宅近くの貸金庫に移していた。
 
 「貸金庫に置きっ放しだった」との説明にも疑問が残る。貸金庫には途中で2回の出入記録がある。猪瀬氏は「妻しか開けられないが、何をしたか知らない」と説明しているが、うち1回は都知事選2日後の昨年12月18日だ本当に現金は手つかずのままだったのだろうか。【清水健二】