毎日新聞 2013年11月09日 朝刊

徳洲会事件:母、陣営関係者に2000万円 地元選対費か

 
 医療法人「徳洲会」グループの公職選挙法違反容疑事件で、自民党の徳田毅(たけし)衆院議員(42)=鹿児島2区=の母親(75)が昨年11月の衆院解散直後、陣営関係者に現金約2000万円を渡し、選挙区の鹿児島・奄美地区に届けるよう依頼していたことが分かった。現金の一部は奄美の複数の政界関係者に提供された疑いが持たれ、選挙の「地元対策」に使われた可能性がある。東京地検特捜部もこうした経緯を把握している模様で、親族らから任意で事情聴取し、使途を調べている。
 
 関係者によると、昨年11月16日の解散直後、徳田議員の親族が代表を務める徳洲会グループ企業から数千万円が引き出され、このうち現金約2000万円が、徳田議員の次姉(46)から母親に渡されたという。徳洲会副理事長を務める母親は、現金を奄美に運ぶよう陣営関係者に依頼し、その後、奄美での選挙運動の責任者に渡ったとされる。
 
 特捜部は徳田議員の地元事務所や親族宅などを既に家宅捜索しており、現金の一部が地元の複数の政界関係者に渡ったことを示唆する資料などを押収しているという
 
 陣営関係者は特捜部の事情聴取に「議員の母親から2000万円を受け取り奄美に運んだが、何に使われたかは知らない」と説明しているとされる。親族らは周囲に「お金を準備したが何に使われたかは分からない」などと話しているという。
 
 昨年の衆院選の選挙運動費用収支報告書によると、徳田議員陣営の収入は自民党鹿児島県第2選挙区支部(鹿児島市)からの寄付として2650万円があるだけで、この約2000万円に関する記載はない。
 グループを統括する一般社団法人「徳洲会」は「現時点では確認が取れていないのでコメントできない」としている。