国際ガールズ・デー記念イベント
「世界を変えるもう一人のマララたち」 10/5・表参道

世界中の人々が「女の子の権利」を認識し、女の子のエンパワーメントを促すための「国際ガールズ・デー」が2013年10月11日に第2回目を迎え、これに合わせて、2013年10月5日、国連大学にて、世界の女の子への応援を呼びかける国際ガールズ・デー記念イベント「世界を変えるもう一人のマララたち」を国連広報センターとの共催で開催されました。
メインフォーラム「世界を変えるもう一人のマララたち」
フォーラムでは、パキスタンの大学生イルム・ヌールさんが、「世界を変えるもう一人のマララ」の代表として基調講演を行い、パキスタンで女子が教育を受ける上で直面するハードルと、彼女の人生を変えた教育の力、そして将来の夢について語りました。
次にトークセッションが行われ、女の子の権利に関する国際社会の動き、女の子が秘める可能性をテーマに、日本の子どもたちと若い女性たちに激励のメッセージが発信されました。
セッションには、8月に就任した根本かおる国連広報センター所長がモデレーターを務め、大崎麻子関西大学客員教授、加藤俊一中央大学教授・副学長とイルム・ヌールさんが参加しました。
大崎氏は、東日本大震災と災害医療や復興の過程が男性中心であり、女性や妊産婦・ティーンエイジャーの視点が避難所やまちづくりに生かされていない問題を指摘し、復旧・復興において「自分で物事を決めることの大切さ」を強調しました。
また、日本の政治経済分野のジェンダー指数が、2011年は98位、12年は101位とさらに後退しており、政治・経済・健康の意思決定に関わる女性が圧倒的に少ないことから、運動の力点を女性のエンパワーメント:教育を強化し経済力をつけ、政治に参画し声をあげていく事の重要性を強調しました。
フォーラムの最後に、会場から質問を受け、質問に対してパネラーが答えました。
言論・表現の自由を守る会の垣内事務局長は、「先月末に、ポルトガルも子どもの権利条約の個人通報制度(※)を批准し、あと2か国の批准で10か国となり効力を発揮するが、この機会にぜひパキスタンと日本の政府に働きかけて、両国の18歳以下の子どもたちの権利を抜本的に改善する道を開いてはいかがでしょうか?」と発言しました。
※:個人通報制度を批准した国の子どもたちが、国連こどもの権利委員会に人権侵害について訴えることができるようになることから
この質問に対して、イルム・ヌールさんをサポートしているパキスタンの女性が、「パキスタンもこどもの権利条約を批准している」「パキスタンの法律では、18歳以下の結婚を禁止している」しかし「実際は守られていない」実情を報告しました。
「(イルムさんは)どんな教育が大切だと考えているのか?」という質問に対して、イルムさんは「1番目は英語、2番目はIT、三番目はコミュニケーションスキル」と答えました。
「どうしたら、周りの友達にこうした国際活動の問題に関心を持ってもらえるのか?」という女子大生の質問に対して加藤俊一教授は、「視野を、行政や経済まで広げることが大切」と、大学生の学生生活についてアドバイスしました。
フォーラム終了後、Raise Your Hand~世界の女の子のために手を上げよう~の記念写真撮影を行い、さらに参加者同士と登壇者との交流と歓談が行われ、世界の女の子を応援する問題への理解を深め交流を広げました。

インド亜大陸に位置するパキスタンでは、国民の多くが農業で生計を立てており、綿、小麦、米やトウモロコシが主要作物です。人口約1億7,000万人のうち、約4人に1人が国際貧困ライン(1日1.25ドル未満)以下の生活を送っているとされ、周辺国との国境ラインの緊張を抱えるほか、電力など経済インフラの脆弱性やテロなどの治安問題にも直面しています。洪水、地震、サイクロンや干ばつなどの自然災害の発生率が高く、なかでも最も弱い立場にある子どもや女性がその影響を大きく受けています。
パキスタン国が抱える問題:
教育の重要性への理解が不足しており、なかでも女の子がジェンダー(社会的性別)による不平等や差別により教育を受けられず、多くの女の子が初等教育以上に進学できないこと。
- 健康的な生活習慣、性と生殖に関する健康、家族計画、母子保健に関する知識が不足していること。
- 親の収入が限られているため、子どもたち、特に女の子の生活が保障されていないこと。
- 子どもや若者たちが自分自身の生活に関わる意思決定に参加できないこと。
- 洪水、干ばつ、地震などの自然災害が、弱い立場にある子どもたちの命を危険にさらしていること。