福島汚染水:タンク内にシート置き忘れ 浄化装置停止原因

毎日新聞 2013年09月29日 19時31分
 
 東京電力福島第1原発で、放射性汚染水を浄化する多核種除去装置「ALPS(アルプス)」が試運転を再開したばかりで停止した問題で、東電は29日、不具合の原因は、タンク内に置き忘れたゴム製シートが排水口をふさいだためと発表した。再開のめどは立っていない。
 アルプスは62種類の放射性物質を取り除くことができ、汚染水対策の「切り札」と位置づけられているが、トラブル続きで、チェック体制が問われそうだ。
 東電によると、ゴム製シートは、タンク内部を上り下りする仮設のはしごを固定するために使ったもので、大きさは縦横20センチ、厚さ3ミリ。2枚がテープで固定されており、試運転前に回収することになっていたが、作業員が回収は不要と勘違いしてそのまま残したという。うち1枚がはがれて排水口をふさぎ、流量が低下したとみられる。東電は今後、ほかのタンクも水を抜き、異物がないかどうか調べる。
 アルプスは今年3月に試運転を始めたが、タンクの腐食による水漏れが見つかり、8月に運転を停止。今月27日に約2カ月ぶりに試運転を再開したが、不具合が起きたことから約22時間半後に処理を停止した。【須田桃子】
 
 
 

多核種除去設備が停止 第一原発で1日持たず

福島民報  9月29日(日)9時3分配信
 
 東京電力は28日、福島第一原発で試運転を再開したばかりの新たな汚染水処理設備「多核種除去設備(ALPS)」で不具合が発生し、汚染水の処理を停止したと発表した。27日未明に試運転を始めて約22時間半後に停止。再開のめどは立っておらず、東電が原因を調べている。

 ALPSは汚染水から62種類の放射性物質を取り除くことができるため、政府や東電は汚染水対策の柱の一つに位置付けている。本格稼働に向け中断していた試運転を再開したが、早くもつまずいた。
 東電によると、不具合があったのは3系統のうち、27日午前零時すぎに試運転を再開していた1系統。アルファ線を出す放射性物質を取り除くための液体を排出する前処理設備のタンクで、同日午後10時40分ごろ、薬品による放射性物質の除去に伴い発生する泥の排出量が通常よりも大幅に少なくなり、運転を停止した。
 ポンプに異常は確認されず、東電は配管が何らかの原因で詰まったとみている。今後、不具合があった付近のタンク内をカメラで詳しく調べる方針。試運転再開から停止するまでに処理した汚染水は約100トンという。