国連 社会権規約委員会:日本に対する第3回総括所見 抜粋 2013年5月17日
パラグラフ 7.
(社会権規約)委員会は、締約国(日本政府)が国内法体系において規約の規定を実施していない旨の前回の懸念をあらためて表明する。このような状況が、規約の規定は適用されないという締約国の裁判所の決定につながってきた。
委員会はまた、締約国が、規約上の義務は即時的効力を有しないと解していることを懸念する。(第2条第1項)
委員会は、国内法体系において規約を全面的に実施するために必要な措置をとるよう、締約国に対して促す。
そのための手段には、締約国が規約の規定に自動執行力がないと考える場合に関連の法律を制定することも含まれる。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、規約の国内適用に関する一般的意見9号(1998年)を参照するよう求める。
さらに、締約国の義務の性質に関する一般的意見3号(1990年)を参照しつつ、委員会は、規約上の権利には即時的性質を有する最低限の中核的義務がともなっていること、および、「漸進的実現」の語は、規約上の権利の全面的実現を可能なかぎり迅速かつ効果的に達成する義務を課すものであることを、締約国が想起するよう求める。
委員会はまた、締約国に対し、委員会の先例および一般的意見を念頭に置きながら、司法研修所のカリキュラムならびに司法専門職および弁護士を対象とする研修プログラムにおいて経済的、社会的および文化的権利の裁判適用可能性が十分に取り上げられることを確保するよう求める。
パラグラフ36.
委員会は、社会のあらゆるレベルで、またとくに公務員、司法機関および市民社会組織の間でこの総括所見を広く普及するとともに、総括所見を実施するためにとった措置について、次回の定期報告書で委員会への情報提供を行なうよう、締約国に対して要請する。
委員会はまた、次回の定期報告書の提出前に国内レベルで行なわれる議論において、市民社会組織(今回の報告書審査への関心を示してきた組織を含む)の関与を引き続き得るよう、締約国に対して奨励する。
ー・-・-・-・-・-・-・-・-・
司法試験「合格3000人」を撤回 法曹養成計画見直し
政府は十六日、法曹養成制度の関係閣僚会議を開き、司法試験の合格者を年間三千人とする計画を撤回し、法科大学院に自主的な定員削減や統廃合を求めることを柱とした検討会議の提言を了承した。司法制度改革の看板だった三千人計画の閣議決定から十一年余り。弁護士の就職難や法科大学院の人気低迷が深刻化し、見直しを余儀なくされた格好だ。
谷垣禎一法相は会見で、三千人の数値目標について「評価は難しい」としながらも「弁護士過疎の解消や企業内弁護士の増加など一定の成果もあった」と述べた。
関係閣僚会議では、司法試験の受験回数制限を「五年で三回」から「五年で五回」に緩和したり、司法修習生に条件付きでアルバイトを認めたりする案も確認。法務省は司法試験法の改正手続きに着手し、最高裁も運用の見直しを検討する。
また内閣官房に新たに担当室を設置し、適正な法曹人口を提言するために必要な調査を実施。司法試験合格率の低い法科大学院に、修了しても受験資格を与えないなどの法的措置を取れる制度の導入についても検討する。