旧社保庁:「分限免職」 処分取り消し3割に 人事院判定

 毎日新聞 2013年06月11日 朝刊
 
 旧社会保険庁の廃止に伴い、多数の職員が民間の「解雇」に当たる「分限免職」処分を受けた問題で、人事院が新たに元職員5人の処分を取り消す判定をしたことが10日、厚生労働省への取材などで分かった。4月にも1人の処分が取り消されている。審査請求した71人のうち、これで20人について判断が示され、3割にあたる6人の処分が取り消される異例の結果となった。
 
 今回、分限免職処分が取り消された5人のうち、北海道の社会保険事務所で働いていた越後敏昭さん(48)と、秋田県の社保事務所で働いていた保坂一寿さん(36)は全厚生労働組合の組合員。他の3人について、厚労省は「個人情報」を理由に地域や性別を明かしていない。5人は本人が希望すれば厚労省に復職できる。
 
 判定や全厚労の弁護団によると、越後さんと保坂さんは厚労省への転任を希望。実際に転任が認められた人と面接で同じ評価を得ながら採用されなかったため、不公平だとして処分取り消しとなった
 人事院は判定で、厚労省が旧社保庁職員を採用したり、他省庁に採用を働きかけたりするような処分回避の努力が足りなかったと指摘した。ただし、面接結果を重視して処分の可否を判定しており、4月に3人、今回も11人の処分は承認された。
 
 弁護団の加藤健次弁護士は「3割も取り消しが出ているのは、処分のずさんさの表れだ。処分を撤回し全員を職場に戻すべきだ」と主張している。
 2009年末に社保庁が解体され日本年金機構に業務が引き継がれた際、懲戒処分歴のある人を含め525人が分限免職を受けている。【東海林智】