22年までの脱原発を決めたドイツでは
-・-・-・-・ 転載記事 毎日新聞 2013年4月4日 ・-・-・-・-・-・-・
核のゴミ:独の最終処分場計画が白紙 選定先送り
【ベルリン篠田航一】ドイツ政府は、原発から出る使用済み核燃料の高レベル放射性廃棄物を地下深くに埋めて処分する最終処分場予定地について、国内唯一の候補地だった北部ニーダーザクセン州ゴアレーベンでの建設計画を白紙に戻し、処分場を選び直す基準を決める調査委員会を設置することを表明した。アルトマイヤー環境相は、委員会が選定基準を明確化する時期について「2015年末まで」と述べた。
22年までの脱原発を決めたドイツでは、原発全廃後も核のゴミは残るため、処分場の早期建設が課題となっている。ゴアレーベンでは地元住民の反対も根強く、選定は先送りされた格好だ。政府は11年、代替地の検討を全土で始めたが、結局はゴアレーベン中心に調査が進んだため、反対派住民から「選定プロセスの透明化を」との声が出ており、今回の委員会設置はこうした意見に一定の配慮を示したものだ。
アルトマイヤー環境相は3月24日の記者会見で、調査委員会は環境団体や政財界、学界の代表ら24人で構成すると発表。人体や地球環境への影響に加え、後世の人類に負の遺産を残す倫理面も問われるため、宗教組織の代表も委員会メンバーに入るという。候補地はゴアレーベンも含め、国内全土で白紙の状態から検討し直す。
ドイツ(旧西独)は1977年、地下に硬い岩塩層が広がる旧東独国境付近のゴアレーベンを候補地に選び、探査を続けてきた。その後、岩塩層の近くに地下水が流れていることが判明。放射性物質が水に混ざって拡散する危険性もあるため、住民の反対運動が激化し、探査は度々中断した。ゴアレーベンには84年、一時的に核のゴミを保管する中間貯蔵施設も設置された。
住民の反対運動に理解を示してきた野党側も、今回の白紙決定を「透明性の高い委員会の設置は前進だ」(緑の党のトリッティン元環境相)とおおむね歓迎している。これに対し、地元住民や環境団体はあくまでも「ゴアレーベン以外」を求めてきたため、一度白紙となった後、再び候補地に浮上する可能性を懸念している。
政府は9月の連邦議会選(総選挙)までに処分場選定に関する法整備を進めたい考えだ。