線量知らずに除染 被ばく量も通知なし
現場安全管理ずさん 福島の作業員
東京電力福島第1原発事故に伴う国直轄の除染事業で、受注した業者の1部が、
作業員らに現場の放射線量や被ばく線量をきちんと伝えていない実態が、本紙の
作業員らへの取材で分かった。除染作業は被ばくの危険を伴うため、適切な安全
管理が不可欠だが、現場の実情は、国の規則に違反しているだけでなく、作業員
の健康への影響が懸念される。
国の規則では、業者は作業員を雇い入れる時に、放射線の人体への影響などの
講習や健康診断を受けさせるよう義務づけている。作業前には、現場の空間線量
や土に含まれる放射性セシウムなどの濃度を測り、作業員に伝える。作業員の被
ばく線量も測り、本人に速やかに知らせなければならない。
ところが、本紙が福島県田村市や楢葉町、葛尾村で除染に当たる作業員たちに
取材すると、除染講習は受けていたものの、現場の線量などを適切に知らされて
いた人はほとんどいなかった。(中略)
除染事業には、国から危険手当が出ているが、宿泊代や食事代といった名目で
天引きされ、作業員の賃金が大きく目減りする不透明な給与支払いの横行が判明。
新たにずさんな安全管理の実態が明らかになったことについて、所管する福島労
働局の担当者は「違反の情報があれば、規則に沿って対応する」とコメントして
いる。
1月18日 東京新聞