福島県双葉町:町長が議会解散 役場再移転などに影響か

日新聞 2012年12月26日 19時09分(最終更新 12月26日 19時34分)
 
 東京電力福島第1原発事故で埼玉県加須(かぞ)市に役場ごと避難している福島県双葉町の井戸川克隆町長は26日記者会見し、町議会の不信任決議(20日)に対し「町長の職務は誠実に進めてきた」として議会を解散した。27日から40日以内に町議選がある。町政の空白で、福島県内への役場再移転や、国が町内でも現地調査を目指す中間貯蔵施設などの懸案に影響が出てきそうだ。
 
 井戸川町長は「辞めないでほしいとの声が町民から多く寄せられている」として辞職を否定した。一方、佐々木清一議長は「不安を抱え避難生活を送る町民の声を聞くよう再三申し上げたが、会話することがなかった」と改めて町長を批判した。
 事故後に避難区域が設定された福島県内の市町村で、任期満了前の首長・議会選挙は初めて。町選管は来年1月上旬に町議選(定数8)の日程を決める。選挙後初の町議会で再び不信任されると、町長は自動失職する。
 
 役場のある旧騎西高校に住む矢内進さん(72)は「一生懸命やっているのだから辞める必要はない」と町長を支持し「町長と協力して町のことを考える人に町議になってほしい」と望んだ。福島市飯坂町の仮設住宅で暮らす主婦(57)は「選挙になれば(福島への)役場移転は必ず遅れる。困るのは町民と町職員じゃないの」と不満を漏らした。【大平明日香、神保圭作】
 
 
双葉町議会解散の理由を述べる井戸川町長=埼玉県加須市の旧県立騎西高校で2012年12月26日午後2時58分、神保圭作撮影