君が代訴訟:停職判断、2審見直しか 11月28日に弁論

 学校行事で起立して国歌を斉唱しなかったことを理由とした停職処分は不当だとして、東京都立高校の元教諭2人が都を相手取り、処分取り消しなどを求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は、11月28日に弁論を開くことを決めた。最高裁は2審判決を見直す場合に弁論を開くため、「都による停職処分は裁量権の逸脱には当たらない」とした2審判決(今年3月)が見直される可能性が出てきた。
 
 最高裁は5月以降、都の通達に基づく校長の職務命令自体を合憲と判断してきており、この点については新たな判断を出すことはないとみられる。一方で、処分の妥当性が争点になっており、判決の内容によっては、大阪府の橋下徹知事が代表を務める「大阪維新の会」が進める条例制定にも影響を与える可能性がある。
 
 2人は勤務する中学校や養護学校の卒業式などで校長の職務命令に反して起立・斉唱せず、都教委から06年に停職処分(3カ月と1カ月)を受けた。
 1、2審は、校長の職務命令は「憲法が保障する思想良心の自由を侵害しない」としたうえで、停職処分も裁量の範囲内だとして元教諭が全面敗訴している。
 原告の一人、河原井純子さん(61)=八王子市=は「最高裁が、大阪の条例化の動きにブレーキをかけてくれようとしている予感がする。司法の良心に期待したい」と話した。【伊藤一郎】