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(「がんばれ東日本」などと書かれたサッカーボールを達増拓也・岩手県知事(左)に手渡す松本龍復興担当相=岩手県庁)
「がんばれ東日本」などと書かれたサッカーボールを達増拓也・岩手県知事めがけて蹴る松本龍復興担当相。達増氏はボールを取り損ねた=3日、岩手県庁

 松本龍復興担当相は3日、東日本大震災の被災地である岩手・宮城両県を訪ね、両県知事と会談した。前日の福島県に続く就任後初めての被災地訪問だが、被災者の感情を逆なでしかねない発言を連発した。週明けの国会で野党が追及する可能性もある。

 最初に訪れた岩手県庁の玄関前では、衛藤征士郎・衆院副議長からもらったというサッカーボールを持ち出し、「キックオフだ」と達増拓也知事に蹴り込んだが、達増氏は取り損ねた。

 会談では、仮設住宅の要望をしようとする達増知事の言葉を遮り、「本当は仮設はあなた方の仕事だ」と指摘。仮設住宅での孤独死対策などの国の施策を挙げ、「国は進んだことをやっている。(被災自治体は)そこに追いついてこないといけない。知恵を出したところは助けるが、知恵を出さないやつは助けない。そのくらいの気持ちを持って」と述べた。また、「九州の人間だから、東北の何市がどこの県とか分からない」と冗談めかして話した。

 午後に訪問した宮城県庁では、応接室に後から入ってきた村井嘉浩知事に「お客さんが来る時は、自分が入ってから呼べ。しっかりやれよ」と語った。被災した漁港を集約するという県独自の計画に対しては「県でコンセンサスをとれよ。そうしないと、我々は何もしないぞ」などと厳しい口調で注文をつけた。

 松本氏は防災相から引き続き震災対応に当たることもあって村井氏は面会後、記者団に「地元のことをよく分かっている方が大臣に就任して喜んでいます」と述べた。しかし、ある県幹部は「被災地に来て、あの言動はない」と憤っていた。(山下剛、高橋昌宏)

asahi.com7月4日
http://www.asahi.com/politics/update/0703/TKY201107030246.html?ref=reca


■松本復興相:就任後、次々物議 周辺は「投げやり」指摘も

(記者の質問に答える松本龍復興担当相(中央)=東京都港区で2011年7月4日午後3時31分、木葉健二撮影) 

 東日本大震災の復興を担う松本龍復興担当相が4日、被災地の岩手、宮城両県知事に対する乱暴な発言で陳謝に追い込まれた。6月28日の就任会見で「民主党も自民党も公明党も嫌い」と発言し、1日に陳謝したばかり。防災担当相として震災の政府対応を担ってきた強い自負が、被災県の知事や国会に対する不満につながったとみられるが、発言は知事を通り越し、被災者自身に不快感を与えてしまった。松本氏は菅直人首相の「延命」にも批判的で、周辺は「本音は復興相をやりたくないのでは」と、松本氏が投げやりになり、不満の矛先を菅首相に向けている可能性を指摘する。

 「3月11日からずっとこの間、5月5日に丸一日休んだことを除いて、ずっと東北の問題にかかわってきた」。松本氏は4日、記者団に対し、被災者への陳謝とともに、震災後の自らの役割も強調した。松本氏は被災地を何回も訪ね、一部の市町村長とは携帯電話で連絡を取り合う関係を築いた。一方、政府内には、仮設住宅の整備などを巡り「県は自助努力をせず、国に責任を押しつけている」(内閣官房幹部)との不満が募っていた。

 3日の村井嘉浩宮城県知事に対する「県でコンセンサスを得ろよ。そうしないと我々、何もしないぞ」という発言の背景には、村井知事が主張する漁港の集約や民間参入に、地元漁協が反対している現状への不満がある。松本氏は4日も「知事との話は真剣勝負」と強調した。

 10年9月の入閣後、目立った発言のなかった松本氏だが、菅首相が震災と原発事故で「一定のめど」をつけた後の退陣を表明した翌日の6月3日の記者会見で「一日も早く退陣した方がいい」と6月中の退陣を要求。復興相就任も2回固辞していた。最終的には受け入れたが、6月28日の就任会見にはサングラス姿で現れるなど、物議を醸した。

 就任会見での「民主も自民も公明も嫌い」との発言は、政局的な駆け引きばかりが目立つ国会への批判として評価する声もあったが、松本氏の周辺は「矛先は菅首相」と指摘する。自民党の谷垣禎一総裁は「松本さんはやる気を失っているのではないか。もう菅さんの下でやっているのは嫌だ、という表現だと思う」との認識を示した。【中井正裕】

毎日新聞 2011年7月4日
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110705k0000m010083000c.html