原発対策:地震・津波後も鈍い知事の動き

 2011年4月26日


これまで紹介してきた今回の地震・津波後の女川原発の周囲のモニタリングステーションや県原子力センターの状況について、当会の情報を基に、河北新報(3月24日)、TBS(3月24日NEWS23クロス)、NHK仙台(4月19日18時半からの東日本大震災ニュース)が記事やニュース番組で伝えてきています。
しかし、知事以下の県当局は、自ら進んでその実態を県民の前に明らかにしようとはしてきませんでした。

この地震・津波や余震の女川原発への影響についても、手が足りないためもあってか県当局は、東北電力から報告を受けることに積極的であるようには見えません。

それで18日県庁まで足を運び、県の担当者に、このたびのその重要さを訴えながら、地震・津波と余震に関して東北電力が県に報告した女川原発の安全性に関する一切の情報の開示を求めました。

開示を決定するまでの期間は通常2週間ですが、しなければならないことが立て込んでいるので1ヶ月にして欲しいと担当者が強く求めるので、決定期間の延長については受け入れましたが。

それから約1週間後の今日の河北新報のトップ記事によると、知事がきのうの定例記者会見で「(現時点で)再稼動は容認できない。物理的に不可能だ」との認識を示したといいます。

しかし、今回の地震と今月7日の余震で原子炉建屋内の揺れの強さが想定した基準を上回ったことの分析結果を東北電力が国に報告した当日の知事のこの発言の内容には、首を傾げざるをえません。
「再稼動は容認できない」と知事はわざわざ発言していますが、そもそも、現時点で東北電力が女川原発の運転を再開できる状況にはないのですから。

国がこの想定でよしとした以上、そして津波についても国の想定が甘すぎた以上、今後当然国のそのような姿勢も問題となってきます。
いや、今回こそ、これまでとはまったく違う、しかも真の意味での第三者組織で、厳格にそれらが問われなければなりません。

知事はきのう、次のようにも発言しています。
「福島第一原発の事故を踏まえ、国がどんな安全基準を考えるかがポイントだ。新たな基準が付加されれば、専門的知見も取り入れて検討しなければならない」
これも一見もっともらしい発言です。
しかし、女川3号機のプルサーマル問題で、地元の女川町や石巻市を同意に向けて引っ張り、無理矢理去年3月の同意に導いた当人の発言だけに、これまで同様の国頼み・パフォーマンス優先の姿勢だと思わないではいられません。

大事故のあとだけに、これまでの自らの姿勢を反省し、原発を推進してきた歴代政府とは一線を画してほしいものですが・・・

日下郁郎

原子力発電を考える石巻市民の会ブログより
http://shiminnokai.info/cat58/post-12.html