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 避難者施設として一部を提供したため、2人部屋で4人の高齢者を介護する特別養護老人ホーム「高寿園」=岩手県陸前高田市で2011年3月31日、久野華代撮影

 東日本大震災の被災地で、避難所になった福祉施設で働く介護職員の疲労がピークに達している。家族や自宅を失い被災者となりながら入所者の介護を続け、避難者の世話もするケースが少なくない。「私たちが頑張らなければ」という使命感が強いが、施設の責任者たちは「各地から専門職員を派遣して支援してほしい」と訴える。【久野華代】

 ◇施設にあふれる被災者

 定員2人の居室に、高齢者の眠るベッド4台がひしめいていた。食堂では、被災した若者が床に毛布を敷いて横になっていた。

 110人が入所する岩手県陸前高田市の特別養護老人ホーム「高寿園」。市指定避難所ではなかったが、高台にあるため、津波から逃げてきた地元住民約200人を受け入れた。

 震災前は入所者と介護職員のおしゃべりでにぎやかだった部屋がひっそりしている。「歩いてトイレに行けた入所者にも、断水のため尿取りパッドをつけた。その影響なのか、気力が低下したように感じます」。介護主任の佐々木衣子さん(54)は入所者の健康状態に不安を募らせる。

 事務職を含め165人いた職員のうち、7人が亡くなり6人が行方不明。家を失い施設で寝泊まりしながら仕事を続ける職員は59人に上る。津波で家を失った佐々木さんもその一人だ。

 震災後しばらくは入所者の介護に加え、避難者が使うトイレの清掃やゴミの分別も引き受けてきた。過労で体調を崩す職員もいたが「私たちが頑張らなければ」との思いから不満は口にしない。避難者の中には家を失い行き場のない高齢者も多いが、佐々木晃・事務主任は「このまま多くの避難者を受け入れ続ければ、職員はパンクしてしまう」と悲鳴を上げる。

 陸前高田市の介護老人保健施設「松原苑」にも震災後、認知症などの入所者190人に加え、家を失った高齢者15人が身を寄せる。一方で、50人いた介護職員は2人が死亡・行方不明になるなどして5人減った。その分1人あたりの夜勤数が増えたという。

 入沢美紀子看護部長は「入所者だけではなく、職員も心身ともにケアが必要。ぜひ介護の資格を持つ人が応援に来て助けてほしい」と訴えている。

毎日新聞4月2日(土)11時18分
http://news.biglobe.ne.jp/domestic/0402/mai_110402_3520781293.html


 ◆たんぱく質・野菜・海藻…避難所で不足の食料◆
 
東日本大震災で中心部が被害を受けた宮城県気仙沼市で、市が避難所の食事事情を調査したところ、1日約4000人分の食料が必要な地域で、3月23〜29日の期間、肉・魚・卵などたんぱく質食品が1回も配送されていないことが分かった。

 同市によると、たんぱく質食品はコメなど主食品に比べ、配給量が十分でないという。

 同市では、約1万3000人が避難所で生活。全国から届く支援の食料を青果市場に一時貯蔵し、1日1〜3回、避難所にトラックで配送している。

 日本栄養士会の西村一弘理事は「現地ではたんぱく質食品のほか、野菜や海藻類も不足している。全体的な栄養が足りないと体の脂肪が減り、高齢者は床ずれが出来やすくなる」と警鐘を鳴らす。同会は2日、避難所での食事内容を調査するため、同市に栄養士を派遣することを決めた。

読売新聞4月2日(土)16時34分
http://news.biglobe.ne.jp/domestic/0402/ym_110402_8212533774.html