エリザベス・エヴァット元自由権規約委員会副委員長、
豊後高田市内で裁判支援を訴える”大石さんを守る大阪の会”のみなさん
<下>6・27報告集会 )
大石市議弾圧事件 大分地裁 第22回公判 (2005年6月27日)
≪戸別訪問禁止は不当 元国連人権委員が証言≫
一昨年の大分県豊後高田市議選の告示前に後援会ニュースを配布しただけで公選法違反(戸別訪問、法定外文書配布、事前運動)で起訴された日本共産党の大石忠昭豊後高田市議の第22回公判が27日、大分地裁で開かれました。
元国連規約人権委員のエリザベス・エバットさん(71)が弁護側の証人として出廷。エバットさんは、選挙活動は国際人権規約(19条2項)に定められた表現の自由だとして「大石氏が表現の自由を行使したために当選無効など制裁を受けることは、国際人権規約に違反する」と証言。同規約締約国である日本の裁判所が国連人権委員会の見解を認識し尊重すべきであるとのべました。 エバットさんは「表現の自由に対する権利は、民主主義社会にとってもっとも重要。その制約はもっとも制限的なものでなくてはならない」とのべ、公選法が禁止している戸別訪問について「販売や布教などさまざまな訪問活動がある中で、政治的目的による戸別訪問だけを禁止するのは明らかに不当。どこの国でも普通に行われていること」とのべ、文書配布、事前運動の禁止・制限についても制限する根拠がないなど、同規約の解釈を説明しました。 日本の裁判所で国連規約人権委員だった人が証言するのは初めて。エバットさんは、オーストラリアから裁判のために来日し、人権保護の拡大を訴えました。裁判の傍聴には、マスコミ各社、県内外から約200人が詰め掛けました。 エバットさんは1993年から2000年まで国連規約人権委員を務めました。
(6月28日付け「しんぶん赤旗」)
≪救援新聞・2005年7月15日号≫より
元国連規約人権委員エバットさんが証言
日本の選挙制度を批判
「戸別訪問は選挙の重要な手段」公選法は規約に違反
大分・選挙弾圧大石市議事件 支援者に確信与える:大分地裁
大分・選挙弾圧大石市議事件の第22回公判が6月27日、大分地裁で開かれ、元国連規約人権委員のエリザベス・エバットさん(オーストラリア在住)の証人尋問が行われました。エバットさんは、1993年から2000年まで、学識経験者18人で構成される国連自由権規約委員会(略称・規約人権委員会)の委員を務められ、日本政府報告書審査および日本政府に対する勧告作成に携わられた方です。元国連規約人権委員の証言は、日本の裁判史上初めてのこととなりました。
【選挙のときには、十分な情報必要】
公判で通訳人(弁護側2人、検察側2人)につづき宣誓したエバットさんは、はじめに、国際人権規約について総論的に説明を行ったうえで、大石忠昭さんが公選法違反として問われている戸別訪問・法定外文書頒布・事前運動の禁止について、「国際人権規約に適合しない」と述べ、日本の公選法は表現の自由などを定めた国際人権規約に違反していると証言しました。
エバットさんは、国際人権規約19条に定められた表現の自由は、口頭、手紙、印刷物、あらゆるメディアで伝える権利であり、選挙活動の権利も含まれていること、同25条では投票の権利、選挙される権利も保障されていること、十分な情報が与えられなければ真正な選挙とはいえないと解説しました。
戸別訪問については、候補者は選挙人に会って訴えることができ、選挙人は候補者の考えを聞いて人物を理解できるので、選挙にとって重要な手段であると強調。買収を理由に戸別訪問を禁止している公選法について「買収は、一般的に貧困や教育水準の低い国の問題となっているが、戸別訪問を制約するのではなく、選挙民の教育を行うことや貧困を解決することが必要です。戸別訪問を制約するには、抽象的ではなく、非常に強い証拠が提出されなければならない」と述べました。
【規約を適用して、裁判所は判断を】
つぎに、事前運動については、「政党は、支持を得るために活動している。オーストラリアでは、選挙は終わったときから次の選挙が始まっている、と言われている。規約19条に照らして『事前』というのは理解できず、25条にも適合しない」と証言しました。
こうした国際人権規約は、国際条約でありどの国にも同じように適用されなければならず、規約を解釈できる唯一の機関が国連の規約人権委員会であるとしたうえで、その機能は各国の裁判所に委譲されており、裁判所によって人権が確保されると、司法の役割を説き証言を終えました。エバットさんの証人尋問は、人権に対する「国際基準」を学ぶ貴重な場ともなり、傍聴に駆けつけた支援者に確信を与えました。
公判後の報告集会では、バスで24人が参加した宮崎県本部や宣伝カーで参加し公判前後に現地調査と街頭宣伝行動に取り組んだ大阪府本部など、16都府県から250人が駆けつけたことが紹介され、公選法裁判をたたかった中村満吉さんと祝一行さんは、エバットさんとがっちり握手。大石事件の無罪判決を誓い合いました。
【次回は本人尋問、最終局面迎える】
次回7月21日の公判はいよいよ大石さんへの被告人尋問が行われる予定です。
裁判は最終局面を迎えます。「守る会」は無罪判決を求める署名10万筆達成に向け、全国からのいっそうの支援を訴えています。
エリザベス・エバットさん
□現職(2005年7月現在)
世界銀行行政裁判所裁判官(2003年から同裁判所所長)
国際法律家協会理事
ニューサウスウェールズ大学ロースクール名誉客員教授
□主な経歴
1976~1988年 オーストラリア家庭裁判所首席裁判官
1984~1992年 国連女性差別撤廃委員会委員
(89年~91年 委員長)
1988~1993年 オーストラリア法律改正委員会委員長
1988~1994年 ニューキャッスル大学学長
1989~1994年 オーストラリア労使関係委員会副委員長
1993~2000年 国連自由権規約委員会委員
(99年~2000年 副委員長)
●国際人権規約(自由権規約)
第19条 すべての者は、表現の自由についての権利を有する。……あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。
第25条 すべての市民は、……次のことを行う権利及び機会を有する。(a)直接に、又は自由に選んだ代表者を通じて、政治に参与すること。(b)普通かつ平等の選挙権に基づき秘密投票により行われ、選挙人の意思の自由な表明を保障する真正な定期的選挙において、投票し及び選挙されること。(c)略
大石忠昭市議の旧HPより
http://www.d-b.ne.jp/ooisi32/ooisijiken/jiken94-3.htm