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 =Los Angeles Times(February 6, 2011)=
 Teachers in Japan fight being forced to sing national anthem

 ★ 国歌斉唱の強制と闘う日本の教員たち

「私は国歌を嫌悪しているのではありません。」と川村佐和さん(写真左、国歌(「君が代」)斉唱の義務づけに対する訴訟についての集会での他の東京都の教員との場面)は言う。「問題は強制ということです。」(2011年2月6日、ロスアンジェルス・タイムズ、永野由紀子)

 多数の公立学校の教員が愛国心の強制に対して東京都と都教育委員会に対して団結して闘っている。

 東京からの報道―
 日本の公立高校の教員川村佐和さんは、以前は仕事に行く途中笑顔を浮かべていたものだった。しかし近年この物静かな女性は教室が怖くなっている。
 川村氏は、長い黒髪のすらりとした体型の50歳くらいの教員で、2004年、「君が代」演奏中に起立して斉唱することを拒否した。彼女は、上司(校長)の命令に反したと公式の警告(戒告処分)を受けた。その処分発令通知は履歴に残り、再雇用に応募する時にもつきまとう。
 「正規の学校の式典(卒・入学式など)で『君が代』斉唱を命じられるのは、年間2回にすぎません」と川村さんは語った。「でもそれが仕事上の関係を変えてしまったのです。」


 石原慎太郎東京都知事は、持ち前のナショナリズムで知られているが、2003年、学校の式典(卒・入学式など)で国旗に向かって起立し国歌「君が代」を斉唱することを拒否する都立高校や他の公立学校の教員は懲戒処分に付すべきだという命令を発した。
 以来、川村さんの上司(校長)は、生徒との触れ合いを制限して学校の式典(卒・入学式など)から完全に彼女を除外する職務を割り当てている。そのため、教員となって20年経つが、彼女は生徒が卒業するのを見ることができないでいる。彼女は排除されているように感じている。
 「私は国歌を嫌悪しているのではありません。問題は強制ということです。」と川村さんは言った。「これは民主主義国では許されないことなのです。」

 土曜日、東京都・東京都教委に対する困難な闘いをすすめる計画を練り上げるために、何十人もの都立学校の教員が都心に集まった。約400人の教員が、愛国心の強制に対して、集団訴訟に加わり、今や最高裁に向けて前進している。
 「式典で『君が代』の斉唱を命令することが、全国に波及しつつあるが、実施指針として明確に処分が書き込まれているのは東京だけであり、その罰則も厳しい。」と教員らの訴訟代理人の加藤文也弁護士は語った。
 東京の教員の処分は先ず戒告処分で始まり、更に減給処分、停職処分、最終的には免職処分へと加重される。
 他にも不服従の教員を厳しく取り締まっている(処分している)地方自治体には広島、大阪、神奈川などがある。

 「日本の国旗・国歌は過去の日本軍国主義のシンボルであり、多くの人にとって戦前の日本の天皇への忠誠を意味する。」と駒村圭吾慶応大学法学部教授は語った。教員に起立・斉唱を要求するのは「思想の自由に対する侵害である。」
 日本の5行の国歌は、天皇を讃えるものである。「君が代」の最初の一節は、「君が代(天皇の治世)は千代に八千代に(続きますように)」となっている。

 愛国心の強制に対する訴訟は、約24件が地裁から最高裁の各段階に係属しており、教員らは起立・斉唱強制の合憲性を問うている。それらの訴訟の大部分は、全ての処分の撤回と損害賠償を求めている。
 これまで裁判所は、教員らではなく、都教委を支持している。法律の専門家は、教員らが有利な判決を得るのは容易ではない、と言う。

 「『強制される行為』は個人が実際に信じるところを根拠に個人を否定しているのではないと裁判所は論じている。」と駒村教授は語った。
 「日本では上司が出す決定には従わなければならないというのはよくあることだ」と西原博史早稲田大学教授は述べた。西原教授はこれまで公立学校の教員らの相談役を務めてきた。被雇用者、特に公務員は上司の命令をきちんと守らねばならない。

 けれどもこの問題を見ている人は、教員らが闘い続けるには理由もあると注目している。
 1996年、日本の最高裁判所は、公立高校のエホバの証人の生徒の信教の自由の権利を守ることを支持する判決を下した。
 「その判決の裁判官は、個人の宗教に反する行為を強制することは誤りであり、権利を侵害しないように学校は代案を探求する必要がある、と判じた。」と駒村教授は語った。「教員らにも勝利のチャンスがある」と。
 (日本語訳:近藤 徹)

 『By Yuriko Nagano, Los Angeles Times February 6, 2011』
 http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-japan-anthem-20110206,0,1148693.story

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