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写真上:ABA(米国法曹協会)年次大会/サンフランシスコ
写真下:ドイツ連邦弁護士連合会との朝食会に出席。/サンフランシスコ

8月8日 ABA(米国法曹協会)年次大会/サンフランシスコ)
8月9日 国際分野のセッションでスピーチ。
8月10日 カリフォルニア大学バークレー校ロースクール視察

≪ABA セッションにおける発言のポイント≫
      日本弁護士連合会会長 宇都宮健児

1.過去10年間の弁護士の役割の変化

・ 2001年に戦後最大の司法改革が政府により開始された。

・ 改革の目標は次のようなものであった。

・ 小さな司法から大きな司法へ

・ 身近で使いやすい司法

・ 多様な人材を法曹界へ


これらの目標のため

・ 1年間の司法試験合格者数を2倍に増加させた(2000年には1000人だが、
2009年には2000人)。その結果、弁護士人口総数は50%増加した(20
00年には17126名だが、2009年には26930名)。

・ 裁判員制度及び被疑者国選弁護制度を導入して、刑事司法における法律業務を発
展させた。

・ 民事法律扶助事件数を5倍に増加させた(2000年に2万件だが、2009年
に10万件)。

・ 組織内弁護士を大幅に増加させた

・ 過疎地に弁護士会の資金で法律事務所を設置し、弁護士のいない地域を解消した


まだ残る問題として

・ 司法予算は低いレベルのまま留まり(国家予算の約0.4%のまま変化がない)、その
結果、特に地方で裁判官と検察官が不足している

・ 民事法律扶助に対する公的資金は他の先進諸国に比べて相当少ない。人口一人あ
たりの額は約10分の1である

・ 民事訴訟手続はあまり実効的なものとは言えず、民事訴訟事件の数は予想された
よりも増加していない

・ 若手弁護士は法科大学院の学費のために多額の債務を負っており、本年計画され
ている司法修習生に対する給費の廃止によりその経済状況はさらに悪化する

・ これまでになかった急な弁護士人口の増加により、若手弁護士は就職難となって
おり、その結果、法科大学院の入学者数が激減している


2.これからの10年の展望

・ 日本社会における司法基盤のさらなる強化

・ 民事法律扶助への公的資金の増加と、裁判官・検察官の増加

・ 民事訴訟手続を改革して、紛争解決のためのより実効的な手段とする。例えば、
証拠収集手続の拡充、提訴手数料の大幅引き下げ、クラスアクションの導入など。

・ 中央・地方政府及び民間企業に対し、組織内弁護士の雇用を呼びかける

・ 弁護士の公的役割の強調

・ 貧困問題に取り組むため、貧困者に対して適切なリーガルサービスを提供する

  日弁連HP 宇都宮健児日本弁護士連合会会長の会務活動より
  http://www.nichibenren.or.jp/ja/president_weekly/date/100808_j.pdf