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写真;5月27日 国連 子どもの権利委員会 第3回日本政府報告書審査 / ジュネーブ

【千葉県教委通達 /ジェンダーフリー教育撤廃 「男女混合名簿」推進せず:千葉日報 2010年06月16日付け】

 千葉県教育委員会が、ジェンダーフリー教育の推進を求めた2001年9月の通知文(01年通知)を、「廃止扱い」とするよう県立学校や市町村教委に対し、今年5月に通達していたことが15日明らかになった。01年通知は、堂本暁子前知事時代に、「ジェンダー(社会的性別)意識の払しょくと、ジェンダーフリーな学校生活の環境整備。男女別名簿見直しと、男女混合名簿の積極的な導入」などを掲げ、県内の公立学校に送付されていた。今回の通知で、一部の教育現場で残るジェンダーフリー教育や意識の完全撤廃を目指す。

 県男女共同参画課によると、「ジェンダーフリー」とは、「ジェンダー(社会的性別)に基づく男女間の不平等や抑圧をなくす概念」とも解釈されるが、「男性、女性の区別をなくすという意味で解釈すると誤解を招く恐れもある」という。

 01年通知の通達後、こうした懸念から県教委は05年3月、「誤解や混乱を招く」としてジェンダーフリーという用語を使わないよう求める文書を教育現場に通達。

 さらに07年3月の通知文では「男女同室宿泊や同室での着替え、混合騎馬戦などは児童生徒に羞恥(しゅうち)心やとまどいを感じさせる恐れも大きい」などとして、「心身の発達段階を踏まえた適切な対応」を求めた。また名簿の取り扱いについては「市町村教委や校長が必要に応じて適切に判断する」として、混合、男女別どちらの名簿も導入できるとしていた。




◆ 日本政府は子どもの権利条約を1994年に採択し、すでに国連子どもの権利委員会に対して3回の政府報告書を提出しています。

 子どもの権利委員会第54会期において5月27~28日の2日間、国連人権高等弁務官事務所において第3回日本政府報告書審査が行われ、100人以上の日本の人権NGOと子どもたちが傍聴し、ロビー活動を行い、言論表現の自由を守る会もレポートを持参しロビー活動を行いました。
 審査の前日には、国連子どもの権利委員会の委員に対して、日本の子どもたち自身が体験をもとに語るプレゼンテーションも行われました。

 審査の結果、子どもの権利委員会は、6月11日付で、日本政府に対して、前回の勧告の大部分が十全に実施されていないか、全く対応されていないことに『遺憾の念』を示した上で、前回勧告され今だ実施されていない勧告(国内行動計画・独立した監視機構設置・子どもの定義など)への対応を改めて求め、さらに今回の最終所見に示された懸念に包括的に対応するためのあらゆる努力をなすことを強く勧告しました。

 今回、千葉県教委が、01年通知:ジェンダーフリー教育の推進を求め名簿の取り扱いについては「市町村教委や校長が必要に応じて適切に判断する」とし、混合・男女別どちらの名簿も導入できるとしていた2001年9月の通知文を、「廃止扱い」とした措置と通知は、子どもの権利条約・勧告に反するものです。千葉県教委は、すみやかに対応を改めるべきです。


≪  第3回日本政府報告書審査 懸念と勧告  ≫

パラグラフ31 ・・・本委員会は、また、ジェンダー平等の促進を規定した教育基本法5条が廃止されたことを懸念する.

パラグラフ32 本委員会は締約国(日本)政府に以下を勧告する。
(a)包括的な反差別法を施行することおよび、いかなる理由に基づくものであれ子どもを差別するすべての法を廃止すること。

(b)差別的慣行、特に、女の子、民族的少数者に属する子ども、日本国籍を持たない子ども、および障害を持つ子どもに対する差別的慣行を減少させ、かつ防止するために、意識向上キャンペーンおよび人権教育を含む、必要とされる措置を取ること。

子どもの最善の利益

パラグラフ36 本委員会は、すべての法規定、司法的および行政的決定、ならびに、子どもにインパクトを与えるプロジェクト、計画およびサービスにおいて子どもの最善の利益原則が実行され、遵守されることを確保するための努力を継続し、かつ強化することを締約国政府に勧告する。

子どもの意見の尊璽

パラグラフ41 本委員会は、司法的および行政的手続、学校、児童養護施設、および家庭において子どもの意見が考慮されているとの締約国政府からの憎報に留意するが、公的な規則が年齢を高く設定していること、児童相談所を含む子ども福祉サービスにおいて子どもの意見がほとんど考慮されていないこと、学校においては子どもの意見が考慮される領域が限定されていること、および、政策策定過程においては子どもおよびその意見が省みられることはめったに無いことを引き続き懸念する。本委員会は、子どもを権利を持った人間として尊重しない伝統的な見方が、子どもの意見に対する考慮を著しく制約していることを懸念する。

パラグラフ42 本委員会は、本条約12条及び意見を聞かれる子どもの権利に関する本委員会一般的注釈12号に照らし、学校及び児童養護施設、家庭、地域、裁判所、行政組織、および政策策定過程を含むすべての場面において、子どもに影響を与えるすべての事柄について、子どもがその意見を十分に表明する権利を促進するための措置を強化することを締約国政府に勧告する。

精神的健康

パラグラフ58 本委員会は、驚くべき数の子どもが情緒的充足感の低さを訴えていることを示すデータ、および、その決定要因が子どもと親および子どもと教師との間の関係の貧困さにあることを示すデータに留意する。

パラグラフ59 本委員会は、あらゆる環境における実効的な援助を確保する学際的アプローチにより、子どもおよび思春期にある子どもの情緒的および心理的充足感の問題に対応するための実効的な措置を取ることを締約国に勧告する。本委員会は、また、ADHDの数量的傾向を監視し、薬品産業から独立して
この領域における研究が実行されることを確保することを締約国に勧告する。
フオロ一アツプ

84本委員会は、本勧告が十全に実施されることを確保するためのあらゆる適切な措置を取ること、特に、本勧告を、適切な考慮および更なる行動のために、最高裁判所、内閣、および国会の構成員、ならびに可能な場合には、地方政府に配布することを締約国政府に勧告する。最終所見の広報

85本委員会は、さらに、本条約、その実施および監視に対する意識を向上させるために、第3回政府報告、締約国政府の提出した文書回答、および本最終所見が、公衆一般、市民社会組織、メディア、子どもグループ、専門家団体、および子どもに、国における諸言語において、インターネットも含めて、広く利用可能とされるよう勧告する。