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( 毎日新聞)
阿武松部屋に家宅捜索に入る捜査員=千葉県習志野市で2010年7月7日午前10時3分、尾籠章裕撮影

警視庁が家宅捜索に入った、時津風部屋が入るビル=東京都墨田区で2010年7月7日午前10時10分、手塚耕一郎撮影 

 大相撲の野球賭博事件で、警視庁組織犯罪対策3課は7日、現役力士らが胴元との仲介役をしていた阿武松(おうのまつ)部屋(千葉県習志野市)のほか、賭博に関与した力士らが所属する相撲部屋、名古屋場所中の宿舎など三十数カ所を賭博場開張等図利容疑で家宅捜索した。同課は押収した資料を分析し、関与した力士らについて常習性や賭け金の額などの裏付け捜査を進め立件の可否を検討するほか、賭け金が暴力団の資金源になった可能性があるとみて、角界を汚染する野球賭博の全容解明を目指す。

 捜索対象は、所属する力士や親方が賭博に関与した相撲部屋13カ所とその名古屋場所の宿舎や、4日に日本相撲協会を解雇された元大関・琴光喜関(34)や前大嶽親方(42)=元関脇・貴闘力=の自宅など。

 同課はこれまで、元琴光喜関や前大嶽親方、協会に野球賭博を自己申告した力士ら30人以上から複数回、任意で事情聴取した。

 力士らの供述から、阿武松部屋の元幕下力士(34)、床山(29)、現役幕下力士(34)の3人が胴元との仲介役をしていたことが判明。元琴光喜関や前大嶽親方も、床山を介して元幕下力士経由で賭けており、同部屋が角界の野球賭博の中心となっていたとみられる。

 このほか、複数の力士と契約するトレーナー(42)も仲介役の一人で、いずれも同じ胴元につながっていたという。捜査関係者によると、この胴元は暴力団関係者の可能性があり、力士らの賭け金が暴力団の資金源になった恐れがある。

 胴元は携帯電話のメールで、仲介役を通じて賭博の賭け率「ハンデ」を力士ら客に送信し、試合の勝敗予想を受け付けていたとみられる。しかし、同課で聴取した力士らはいずれも、メールの履歴を削除していたという。同課は証拠隠滅の恐れがあるとみて一斉捜索に踏み切った。

 野球賭博を巡っては、元琴光喜関から口止め料名目で350万円を脅し取ったとして、元幕下力士、古市満朝容疑者(38)が恐喝容疑で逮捕されている。

 日本相撲協会の特別調査委員会の調査では、力士ら27人が胴元を介した野球賭博をしていたことが判明している。協会は4日、元琴光喜関と前大嶽親方を解雇、時津風親方(36)=元前頭・時津海=を1階級降格の懲戒処分、関与者を出した部屋の親方、力士、床山らを謹慎処分にした。
 
 阿武松部屋については、力士ら9人が謹慎処分、阿武松親方(49)=元関脇・益荒雄(ますらお)=が2階級降格された。

【酒井祥宏、川崎桂吾】

 ◇「推移を見守る」…村山理事長代行

 相撲部屋の一斉捜索について、日本相撲協会の村山弘義・理事長代行は7日、協会を通じ、「捜査の推移を見守りたい。捜査には全面的に協力するよう、改めて協会員全員に指示した。捜査結果を待って、さらに必要な反社会勢力対策など所要の措置を講じる」とのコメントを出した。