5日は3つのシンポジウムが開催され「いま表現の自由と知る権利を考える」~自由で民主的な社会を築くために~をテーマにした第1分科会には全国から弁護士や市民らが620人が参加。政治的なビラを配布しただけで逮捕・起訴・有罪となる状況を厳しく批判しました。
人権擁護大会で表現の自由問題を本格的に取り上げたのは初の試みです。
基調報告では「表現の自由を保障し、自由で民主的な社会のために」と題したビデオ上映が行われ、日本共産党のビラを配布して逮捕・起訴された葛飾ビラ配布弾圧事件、国公法弾圧堀越事件、世田谷国公法弾圧事件や市民団体メンバーが自衛隊感謝へのビラ配布で有罪が確定した立川事件などの事例を紹介。
日弁連は(ビラ配布などへの)制約を見過ごすと、表現の自由に対する制約がより拡大しかねないと危惧している」と警鐘を鳴らしています。
「表現の自由保障の現状と課題」と題して立命館大学法化大学院の市川正人教授が基調講演を行い、簡易で安価なビラの個別配布が市民の表現手段として大きな意義があると指摘し、「裁判所が大衆的宣伝に対する規制にチェックの役割を果たしていない」と批判しました。(写真:中)
事件の当事者として葛飾事件の荒川庸生さんが「私の事件の最高裁での判決は、日本の民主主義の分水嶺になる」と裁判への決意を語りました。
表現の自由や裁判所の現状などを考えるパネルディスカッションも行われました。途中で、立川事件の現場から生中継を行う市民メディアの試みなども行われました。(写真下)
分科会の最後にフロアーからの発言が求められ、言論・表現の自由を守る会の垣内事務局長も発言しました。
「ビラ配布事件は、国際人権規約に照らせば犯罪ではありません」とした上で、会が国公法弾圧堀越事件被害者の堀越明男さんが04年の3月3日に逮捕され、その2日後には起訴されるという戦中を思わせるような弾圧事件を機に、千葉県内で地域から支援の市民運動をはじめたところ、その後次々に弾圧事件が起きたため学習会を繰り返し、支援を決め、07年4月には6事件全てのビラ配布弾圧事件支援を決定したことを紹介。
既に2つの事件の有罪が確定しいる中、個人通報制度早期批准と4事件全て無罪を勝ち取るために4つの署名に取り組んでいること。就任記者会見で個人通報制度の批准について言及した千葉法務大臣とすでに会い、大臣に日弁連のパンフやリーフを活用して全国民規模で国際人権規約と国連の勧告を普及啓蒙し、早期批准めざす取り組みを提案したことを報告。「個人通報制度を批准させ、4事件全て無罪を勝ち取りましょう」と呼びかけるとあたたかい拍手もいただきました。
最後に、二瓶和利第1分科会委員長が「第1選択議定書(個人通報制度)の批准が極めて大切であり、(人権擁護大会で)今回のように表現の自由の問題を正面から取り上げたのは初めてで、さらに大きな果実にするために数年後には必ず報告の機会を持ちたい」と閉会の挨拶を行いました。
会場ロビーで当会の言論弾圧4事件の無罪要請署名と個人通報制度早期実現をめざす団体署名を参加者のみなさんに約350枚配布しました。