言論・表現の自由を守る会の垣内つね子事務局長は、10月28日千葉法務大臣に国際人権(自由権)規約 個人通報制度の早期批准と普及活動の予算化などについての会の要請文と藤田先生を応援する会の手紙などを手渡し、大臣とかたく握手しました。
◎ 国際人権活動日本委員会が政府要請行動
法務省において20日、国際人権活動日本委員会とともに、言論・表現の自由を守る会、日本国民救援会、全国金融産業労働組合、治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟が千葉景子法務大臣に要請を行いました。
千葉法務大臣に、鈴木亜英国際人権活動日本委員会議長が、要請書などを渡し個人通報制度の早期批准、国内人権機関の設置、取調べの可視化を求めました。
当言論・表現の自由を守る会は、要請と提案を持参し資料と共に千葉大臣に手渡しました。
国際人権(自由権)規約個人通報制度の早期批准と規約の具体的な普及啓蒙活動などを提案した下記の大臣宛ての要請文書とともに、当会が規約普及用のパンフレットとして”最適”と提案している日弁連作成の”人権保障システムに関するパンフ”と”個人通報制度早期批准リーフレット”セットなども渡しました。
■ 法務大臣
千葉 景子 様
2009年10月28日
NGO 言論・表現の自由を守る会
要請
このたびは、大臣ご就任大変おめでとうございます。
新政権初の臨時国会開会直後にもかかわらず、要請を受け入れていただいたことに深く感謝いたします。
大臣の就任記者会見での個人通報制度実現や国内人権救済機関設置に向けての積極的なご発言は、当会にとっても、大変心強く大きな励ましをいただきました。当会が団体加盟しております国際人権活動日本委員会として歓迎声明(
http://jwchr.s59.xrea.com)を17日付で発表し送付しています。
当会といたしましては2004年以来、ビラ配布の自由/言論・表現の自由を求めて地域で活動を始め、昨年2月からは個人通報制度早期批准を求める個人署名に取り組み、国連人権理事会や規約人権委員会にもレポートを届け、被害者の人権を守るとともに制度の早期実現を目指して活動しています。
昨年、初めてNGOとして国連規約人権委員会へのロビー活動も行い、昨年10月30日に出された日本政府に対する勧告を力に、国内での国際人権(自由権)規約の普及と活用をめざして、日弁連の先生方とともに学習会や裁判支援などを行い、法務省・外務省・高裁・最高裁など関係機関への要請も10回以上重ねてきました。
当会は、個人通報制度の1日も早い批准を望み様々な取り組みを行う中で、国際人権規約の普及と活用の重要性をますます強く感じるとともに、具体的な課題も見えてきました。
国際人権規約の普及と活用を目指している立場から、当会として主に個人通報制度早期批准とともに、下級上級を問わず全ての裁判所において国際人権規約を遵守した公正な裁判が行われるよう、国際人権規約はもちろん、昨年の規約人権委員会の日本政府に対する勧告を即時、普及・徹底していただきますようよろしくお願いいたします。
とりわけ、民主主義の根幹・基本的人権である言論・表現の自由が脅かされており現時点では、すべてのビラ配布事件が有罪となっています。
先日、最高裁で判決期日が指定された葛飾事件は、検察庁からの指示で取り消されはしましたが、まだ大法廷が開かれる保証がありません。また、国公法弾圧堀越事件では、公安警察による24本もの違法・盗撮ビデオが開示されないまま一審で不当有罪判決を受け、勧告が出た直後から1年を経てようやく22本が先日開示されたところです。次回11月4日の第12回公判において証拠調べせよとの弁護団の主張に、まだ、今回開示された証拠調べを行うという回答がありません。現状では、この事件は12月21日に結審の予定とされています。
公務員の私的な時間の政治的なビラ配布行為やオートロックではないマンションへの市民のビラ配布などが有罪だとされたならば、日本は再び暗黒の社会に突入してしまいます。
当会は、裁判官への国際人権規約と勧告の教育は第一義的、可及的すみやかに行われなければならないと考えます。この1年間、勧告やこの間の国際人権規約の特集なども資料に添えて繰り返し裁判所要請を行いブログも開設して普及に取り組んできました。さらに力を尽くしていく所存です。
大臣におかれましては、当会の要請主旨を汲み取っていただき人権を侵害されている堀越さんたちをすみやかに救済していただきますようよろしくお願いいたします。
以上
■ 法務大臣 千葉景子 様 2009年10月28日
藤田先生を応援する会
花輪紅一郎(国際人権日本委員会会員)
板橋高校卒業式事件は表現の自由を奪う憲法・国際人権規約違反の権力の濫用です
2004年3月11日、どんな「事件」があったかと言えば、卒業生の9割が「君が代」斉唱時に着席したことでした。生徒の意見表明権は『子どもの権利条約』12条に保障された権利です。
ところが、翌日の『産経新聞』は「元教師、卒業式攪乱」と、「事件」を開式前の藤田先生の保護者への呼びかけにすり替えてしまいました。背景には、この年の卒業式に向けて発出された「国旗・国歌への起立斉唱」を懲戒処分で強制する「10・23通達」がありました。
生徒・保護者・教職員の「思想良心の自由」を奪う「10・23通達」の違憲性こそが問われなければならないところを、通達を批判する「言論表現」が都教委・検察当局により「威力業務妨害罪」にすり替えられ刑事事件とされてしまったのです。憲法の名において裁かれなければならないのは、刑事弾圧という手段で正当な権利行使を侵害した都教委の側です。
この意図的な倒錯に、司法まで一審二審とも追随してしまいました。今、最高裁に上告中です。
私たちは、2008年10月ジュネーブで開かれた国連自由権規約委員会第5回日本政府報告審査に「日本からの民の声レポート」で参加しました。『自由権規約委員会勧告』パラグラフ10には、板橋高校卒業式高裁判決文にも誤用されている「公共の福祉」概念について、以下のような勧告が示されました。
「日本政府は"公共の福祉"の概念を立法により定義づけるべきであり、自由権規約で保障されている人権が"公共の福祉"を根拠として制限される場合は、規約で許容される限度を越えてはならないと明記すべきである。」
原判決は「憲法21条は,表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく、公共の福祉のために必要かつ合理的な制限に服することを是認するものであって…他人の財産権、管理権等の権利を不当に害することは許されない」(P50)と、藤田先生の呼びかけ(表現の自由)を、校長の権限(学校管理権)の下に置き、明らかに"公共の福祉"概念を「自由権規約で保障されている人権」を制限する根拠として使い有罪をこじつけています。『国際人権B規約』第2条、第19条違反です。
また、原判決には重大な「事実誤認」があります。実際にはなかった教頭によるコピー配布行為をあったかのように立証するために、裁判長は時系列の分析を行ったのですが、判決文の中で制止した時刻(9時39分44秒)と校長室を出発した時刻(9時40分)が逆転するという初歩的な矛盾を犯しています。その時会場にいた200人余の保護者は誰一人教頭による制止行為を見ていません。事実は一つです。
私たちは、最高裁において口頭弁論が開かれ真実が明らかにされるよう要請行動を続けています。
「言論ないし表現の自由に対する自分たちの憲法上の権利を校門のところで打ち捨ててくる、と主張されることはまずできない。」 (米国連邦最高裁ティンカー事件判決 1969/2/24)
貴職におかれましては、国際人権規約の完全批准をめざし日本国内における国際レベルの人権標準の一刻も早い実現に取り組まれると同時に、学校において憲法の精神を生かした教育活動が生き生きと行われるよう支援して下さるよう要請いたします。