勤務の合間にタバコを吸う時間は「休憩時間」か「労働時間」かーー。

居酒屋チェーンの元店長が心臓病で倒れたのは過労による労災と認めた行政訴訟の判決で、大阪高裁は「喫煙時間は労働時間にあたる」との判断を示した。

 原告は大手居酒屋チェーン元店長の男性(44)。大阪の店舗に勤めていた01年、急性心筋梗塞で倒れ、約3週間入院した。労災認定されなかったため、男性側は退職後の07年、「発症前1ヶ月の時間外労働が100時間以上」などとする国の過労死認定基準を超えて働いていたと主張し、国を相手に認定を求めて提訴。

 一審は、男性がタバコを吸っていた時間を休憩時間とみて労働時間から差し引き、発症前1ヶ月の時間外労働は基準以下の78時間あまりにとどまると判断した。

 しかし、大阪高裁の渡辺安一裁判長は、8月25日の判決で、「店舗内で喫煙していたとしても、何かあればすぐ対応できる状態だったから、労働から完全に解放されているとはいえない」との原告側主張を容認し、喫煙時間などを労働時間に算入した結果、1カ月の時間外労働は100時間を超すとして、男性の発病を労災と認めた。

 国は上告せず、判決は確定。