[PDF] European Convention on Human Rights Japanese - European Court ...
ヨーロッパ人権条約(日本語 仮訳)
第11議定書および第14議定書,第15議定書による修正 第1議定書および第4議定書,第6議定書,第7議定書,第12議定書,第13議定書,第16議定書による追加
ヨーロッパ人権条約の条文は,2010年6月1日に効力を生じた第14議定書(CTES no. 194)の規定によって修正されたものとして提出された。本条約の条文は,1970年9月21日に効力を生じた第3議定書(ETS no. 45),1971 年12月20日に効力を生じた第5議定書(ETS no. 55),1990年1月1日に効力を生じた第8議定書の規定に従って,前もって修正され,また,同第5条3項に従って,1970年9月21日に効力を生じてから条約の不可欠な部分となっていた第2議定書(ETS no. 44)の条文から構成されている。 これらの議定書によって修正される又は追加されたすべての規定は,1998年11月1日に効力を生じた日から,第11議定書(ETS no. 155)によって取って替えられた。 その日以降,1994年10月1日に効力を生じた第9議定書(ETS no. 140)は廃止され,第10 議定書(ETS no. 146)は,その目的を失った。
当条約およびその議定書の署名ならびに批准に関する現在の状況と同様に,宣言および留保に関する一覧表は,www.conventions.coe.intで入手可能である。
当条約の英語およびフランス語版のみが真正である。
目次 人権および基本的自由の保護のための条約.......................... 5 追加議定書......................................................................... 30 第4議定書.......................................................................33 第6議定書........................................................................... 37 第7議定書........................................................................... 41 第12議定書......................................................................... 46 第13議定書 ........................................................................ 50 第16議定書......................................................................... 54
人権および基本的自由の保護のための条約 (欧州人権条約)
ローマ,1950年11月4日
ヨーロッパ評議会加盟国であるこの条約の署名政府は、1948年12月10日に国際連合総会が宣明した世界人権宣言を考慮し、
この宣言が、その中で宣言された権利の普遍的かつ実効的な承認および遵守を確保することを目的としていることを考慮し、
ヨーロッパ評議会の目的が加盟国間の一層緊密な統一の達成であること、ならびに、その目的を追求する方法の1つが人権および基本的自由の維持および一層の実現であることを考慮し、
世界における正義および平和の基礎であり、かつ、一方では実効的な政治的民主主義により、他方ではそれが依存している人権の共通の理解および遵守によって最もよく維持されるこれらの基本的自由に対する深い信念を改めて確認し、
志を同じくし、かつ政治的伝統、理想、自由および法の支配についての共通の遺産を有するヨーロッパ諸国の政府として、世界人権宣言中に述べられる権利の若干のものを集団的に実施するための最初の措置をとることを決意して、
締約国が、補完性の原則に従って、本条約およびその諸議定書に定義する人権および自由を保障する主要な責任を有すること、ならびに、そうするにあたって、本条約により設立されたヨーロッパ人権裁判所の監督に服しつつ、評価の余地を享受することを確認して、次のとおり協定した。
第1条 人権を尊重する義務
締約国は、その管轄内にあるすべての者に対し、この条約の第1節に定義する権利および自由を保障する。
第1節 権利および自由
第2条 生命に対する権利
1 すべての者の生命に対する権利は、法律によって保護される。何人も、故意にその生命を奪われない。ただし、法律で死刑を定める犯罪について有罪とされ裁判所による刑の宣告を執行する場合は、この限りでない。
2 生命の剥奪は、それが次の目的のために絶対に必要な、力の行使の結果であるときは、本条に違反して行われたものとみなされない。
(a) 不法な暴力から人を守るため (b) 合法的な逮捕を行いまたは合法的に拘禁した者の逃亡を防ぐため (c) 暴動または反乱を鎮圧するために合法的にとった行為のため
第3条 拷問の禁止
何人も、拷問または非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは刑罰を受けない。
第4条 奴隷の状態および強制労働の禁止
1 何人も、奴隷の状態または隷属状態に置かれない。
2 何人も、強制労働に服することを要求されない。
3 この条の適用上、「強制労働」には、次のものを含まない。
(a) この条約の第5条の規定に基づく拘禁の通常の過程またはその拘禁を条件付きで解かれているときに要求される作業 (b) 軍事的性質の役務、または、良心的兵役拒否が認められている国における良心的兵役拒否者の場合に義務的軍事役務のかわりに要求される役務 (c) 社会の存立または福祉を脅かす緊急事態または災害の場合に要求される役務 (d) 市民としての通常の義務とされる作業または役務
第5条 自由および安全に対する権利
1 すべての者は、身体の自由および安全に対する権利を有する。 何人も、次の場合において、かつ、法律で定める手続に基づく場合を除くほか、その自由を奪われない。
(a) 権限のある裁判所による有罪判決の後の人の合法的な拘禁 (b) 裁判所の合法的な命令に従わないためのまたは法律で定めるいずれかの義務の履行を確保するための人の合法的な逮捕または拘禁 (c) 犯罪を行ったと疑う合理的な理由がある場合または犯罪の実行もしくは犯罪の実行後の逃亡を防ぐために必要であると合理的に考えられる場合に、権限ある司法機関に連れて行くために行う合法的な逮捕または拘禁 (d) 教育上の監督のための合法的な命令による未成年者の拘禁または権限のある司法機関に連れて行くための未成年者の合法的な拘禁 (e) 伝染病の蔓延を防止するための人の合法的な拘禁または精神異常者、アルコール中毒者もしくは麻薬中毒者または浮浪者の合法的な拘禁 (f) 不正規に入国するのを防ぐための人の合法的な逮捕もしくは拘禁または追放もしくは犯罪人引渡しのために手続がとられている人の合法的な逮捕もしくは拘禁
2 逮捕される者は、速やかに、自己の理解する言語で、逮捕の理由および自己に対する被疑事実を告げられる。
3 この条の1項(c)の規定に基づいて逮捕または拘禁された者は、裁判官または司法権を行使することが法律によって認められている他の官憲の面前に速やかに連れて行かれるものとし、合理的な期間内に裁判を受ける権利または司法手続の間釈放される権利を有する。釈放に当たっては、裁判所への出頭の保証を条件とすることができる。
4 逮捕または拘禁によって自由を奪われた者は、裁判所がその拘禁が合法的であるかどうかを迅速に決定するように、および、その拘禁が合法的でない場合には釈放を命ずるように、手続をとる権利を有する。
5 この条の規定に違反して逮捕されまたは拘禁された者は、賠償を受ける権利を有する。
第6条 公正な裁判を受ける権利
1 すべての者は、その民事上の権利義務の決定または刑事上の罪の決定のため、法律で設置された、独立の、かつ、公平な裁判所による合理的な期間内の公正な公開審理を受ける権利を有する。判決は、公開で言い渡される。ただし、報道機関および公衆に対しては、民主的社会における道徳、公の秩序もしくは国の安全のため、また、少年の利益もしくは当事者の私生活の保護のため必要な場合において、またはその公開が司法の利益を害することとなる特別な状況において裁判所が真に必要があると認める限度で、裁判の全部または一部を公開しないことができる。
2 刑事上の罪に問われているすべての者は、法律に従って有罪とされるまでは、無罪と推定される。
3 刑事上の罪に問われているすべての者は、少なくとも次の権利を有する。
(a) 速やかにその理解する言語でかつ詳細にその罪の性質および理由を告げられること。 (b) 防御の準備のために十分な時間および便益を与えられること。 (c) 自らまたは自己が選任する弁護人を通じて、防御すること。弁護人に対する十分な支払手段を有しないときは、司法の利益のために必要な場合には無料で弁護人を付されること。 (d) 自己に不利な証人を尋問しまたはこれに対し尋問させること、および自己に不利な証人と同じ条件で自己のための証人の出席およびこれに対する尋問を求めること。 (e) 裁判所において使用される言語を理解しまたは話すことができない場合には、無料で通訳の援助を受けること。
第7条 法律なくして処罰なし
1 何人も、実行の時に国内法または国際法により犯罪を構成しなかった作為または不作為を理由として有罪とされることはない。何人も、犯罪が行われた時に適用されていた刑罰よりも重い刑罰を科されない。
2 この条は、文明諸国の認める法の一般原則により実行の時に犯罪とされていた作為または不作為を理由として裁判しかつ処罰することを妨げるものではない。
第8条 私生活および家族生活の尊重を受ける権利
1 すべての者は、その私的および家族生活、住居ならびに通信の尊重を受ける権利を有する。 2 この権利の行使に対しては、法律に基づき、かつ、国の安全、公共の安全もしくは国の経済的福利のため、また、無秩序もしくは犯罪の防止のため、健康もしくは道徳の保護のため、または他の者の権利および自由の保護のため、民主的社会において必要なもの以外のいかなる公の機関による介入もあってはならない。
第9条 思想、良心および宗教の自由
1 すべての者は、思想、良心および宗教の自由についての権利を有する。この権利には、自己の宗教または信念を変更する自由ならびに、単独でまたは他の者と共同しておよび公にまたは私的に、礼拝、教導、行事および儀式によってその宗教または信念を表明する自由を含む。
2 宗教または信念を表明する自由については、法律で定める制限であって、公共の安全のため、または公の秩序、健康もしくは道徳の保護のため、または他の者の権利および自由の保護のため、民主的社会において必要なもののみを課す。
第10条 表現の自由
1 すべての者は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、公の機関による介入を受けることなく、かつ、国境とのかかわりなく、意見を持つ自由ならびに情報および考えを受けおよび伝える自由を含む。 この条は、国が放送、テレビまたは映画の諸企業の許可制を要求することを妨げるものではない。
2 前項の自由の行使については、義務および責任を伴うので、法律によって定められた手続、条件、制限または刑罰であって、国の安全、領土保全もしくは公共の安全のため、無秩序もしくは犯罪の防止のため、健康もしくは道徳の保護のため、他の者の名誉もしくは権利の保護のため、秘密に受けた情報の暴露を防止するため、または、司法機関の権威および公平さを維持するため、民主的社会において必要なものを課することができる。
第11条 集会および結社の自由
1 すべての者は、平和的な集会の自由および結社の自由についての権利を有する。この権利には、自己の利益の保護のために労働組合を結成しおよびこれに加入する権利を含む。
2 前項の権利の行使については、法律で定める制限であって、国の安全もしくは公共の安全、無秩序もしくは犯罪の防止のため、健康もしくは道徳の保護のため、または他の者の権利および自由の保護のために、民主的社会において必要なもの以外のいかなる制限も課してはならない。 この条の規定は、国の軍隊、警察または行政機関の構成員による前項の権利の行使に対して合法的な制限を課することを妨げるものではない。
第12条 婚姻についての権利
婚姻することができる年齢の男女は、権利の行使を規制する国内法に従って婚姻しかつ家族を形成する権利を有する。
第13条 実効的救済手段を得る権利
この条約に定める権利および自由を侵害された者は、公的資格で行動する者によりその侵害が行われた場合にも、国の機関の前において実効的な救済手段を得るものとする。
第14条差別の禁止この条約に定める権利および自由の享受は、性、人種、皮膚の色、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的もしくは社会的出身、民族的少数者への所属、財産、出生または他の地位等によるいかなる差別もなしに、保障される。
第15条 緊急時における免脱
1 戦争その他の国民の生存を脅かす公の緊急事態の場合には、いずれの締約国も、事態の緊急性が真に必要とする限度において、この条約に基づく義務を免脱する措置をとることができる。 ただし、その措置は、当該締約国が国際法に基づき負う他の義務に抵触してはならない。
2 前項の規定は、第2条(合法的な戦闘行為から生ずる死亡の場合を除く)、第3条、第4条1項および第7条の規定からのいかなる免脱も認めるものではない。
3 免脱の措置をとる権利を行使する締約国は、とった措置およびその理由をヨーロッパ評議会事務総長に十分に通報する。 締約国はまた、その措置が終了し、かつ、条約の諸規定が再び完全に履行される時点を、ヨーロッパ評議会事務総長に通知する。
第16条 外国人の政治活動に対する制限
第10条、第11条および第14条中のいかなる規定も、締約国が外国人の政治活動に対して制限を課することを妨げるものとみなされない。
第17条 権利の濫用の禁止
この条約のいかなる規定も、国、集団または個人がこの条約において認められる権利および自由を破壊しもしくはこの条約に定める制限の範囲を越えて制限することを目的とする活動に従事しまたはそのようなことを目的とする行為を行う権利を有することを意味するものと解することはできない。
第18条 権利制約事由の使用に対する制限
権利および自由についてこの条約が認める制限は、それを定めた目的以外のいかなる目的のためにも適用してはならない。
第2節 ヨーロッパ人権裁判所
第19条 裁判所の設置
裁判所は、いずれかの締約国による条約または議定書に定める権利の侵害の被害者であると主張する自然人、民間団体または個人の集団からの申立を受理することができる。 締約国は、申立の権利の実効的な行使を決して妨げないことを約束する。
第32条 裁判所の管轄権
1 裁判所の管轄は、第33条、第34条、第46条および第47条に基づいて裁判所に付託される条約およびその諸議定書の解釈および適用に関するすべての事項におよぶ。2 裁判所が管轄権を有するかどうかについて争いがある場合には、裁判所が決定する。
第33条 国家間の事件
いずれの締約国も、他の締約国による条約およびその諸議定書の規定の違反を裁判所に付託することができる。
第34条 個人の申立
裁判所は、いずれかの締約国による条約または議定書に定める権利の侵害の被害者であると主張する自然人、民間団体または個人の集団からの申立を受理することができる。締約国は、申立の権利の実効的な行使を決して妨げないことを約束する。
第35条 受理基準
1 裁判所は、一般的に認められた国際法の原則に従ってすべての国内的な救済手段が尽くされた後で、かつ、最終的な決定がなされた日から4か月の期間内にのみ、事案を取り扱うことができる。
2 裁判所は、第34条に基づいて付託される個人の申立で、次のものは取り扱ってはならない。 ⑴ 匿名のもの、または ⑵ 裁判所がすでに審理したか、またはすでに他の国際的調査もしくは解決の手続に付託された事案と実質的に同一であって、かつ、いかなる新しい関連情報も含んでいないもの
3 裁判所は、次の各号のいずれかに該当すると考える場合には、第34条に基づいて付託された個人の申立を不受理としなければならない。
(a) 申立が、条約または諸議定書の規定と両立しないか、明白に根拠不十分かまたは申立権の濫用である場合。 (b) 申立人が、相当な不利益を被ってはいなかった場合。ただし、条約およびその諸議定書に明定された人権の尊重のために当該申立の本案の審査が求められる場合はこの限りではない。
4 裁判所は、この条に基づいて不受理とするいかなる申立も却下する。裁判所は、手続のいずれの段階でもこの却下を行うことができる。 |