『スイカ割り』
夏の暑さが和らぎ、秋の心地よい風が吹き抜ける頃、私は無性にスイカが叩き割りたくなった…
海水浴シーズンも終わり、めっきりスイカを見ることがなくなったこの頃…
なぜスイカ割りなんだ??
自分自身に問うけれどその答えは見つからない…
スイカを叩き割れば答えがみつかるかもしれない!!!!
私は、県内にある青果店、スーパーを必死に探した!!!!!
所持金が136円しかないにもかかわらず探し続けた!!!!!
不安と疑心を振り払うかのように、一輪車を走らせる!!!!
どれぐらい時間がたっただろう…
朝の4時に出発したのだが…
気付けば夕方の6時。
会社帰りのOL、
団塊世代の人々…
団塊世代の人々!!!
団塊世代の人々!!!!
団塊世代の人々で群がる某大型ショッピングセンターについた。
私は一心不乱に果物コーナー、野菜コーナーに向かった。
すると、あの真ん丸な形、他のものを寄せつけないくらい存在感のあるストライプ…
間違いない…
『スイカだ』
当然、ハウス栽培により育てられた為、通常の3倍以上の値段がする代物である。
この時、残金が16円になっていた…
途中、運動不足+一輪車という逆境に立たされていた為、
喉が渇いた…
なぜかホットのおしるこを買った。
今思えば後悔しか残っていないが、その時は飲めれば何でもよかった…
人々が群がる…
いや、団塊世代の人々が群がる青果コーナーで私は今日一日を振り返っていた…
さて、スイカだが…
2500円…
当然買えるわけがない!!
どぉしよぉ…
どぉしよぉ………
どぉしよぉ…………
!!!!!!!!!!!!!
私は閃いた。
もう迷いがなかった…
おもむろに、生活用品コーナーに行き、買う気もないのに、『ほうき』を手にとった…
もちろん向かう先は『スイカ』である…
スイカを手にとると、私はお菓子コーナーに場所を移した…
小さな子供達がおやつを見ている…
私は、スイカを見ている…
私は、スイカを地面に置いた…
スイカ割りには目隠し、日本ではこれが通例である…
しかし今の私にはどうでもよい…
ただ、叩き割りたいだけなんだ…
ほうきを握りしめた。
もう迷いなどはない…
私はほうきを大きく振りかぶり…
スイカ目掛けて一気にほうきを振り降ろした…
固く、大きく、重いスイカはいとも簡単に叩き割れた…
辺り一面に、広がる赤い液体…
泣き叫ぶ子供達…
子供をかばう母親…
まさに、地獄絵図と化したお菓子コーナー。
するとどこからともなく、店員が私の元へ走ってくるではないか…
店員達はみんな、
『どないしてくれるんじゃぁ!!!!!』
『おっさん…やっちまったな』
など、私に対して怒りをあらわにしている…
なぜ私はバカにされなくてはならない???
すると
『ちょっと来い!!!』
肩を掴み、強引に私を3人の男がSTAFF ONLYと書かれた部屋に連れて行く…
別に私は、スタッフではない…
ましてや客でもない…
じゃあ私は誰なんだ???
ただ、スイカを叩き割りたかっただけなんだ…
世間と自分の間にあるギャップに戸惑いを隠せないが…
私は、スイカを叩き割ったことでの開放感に酔いしれていた。
店員の私に対する罵声が遠く聞こえる…
その後、私は刑務所に少しお世話になることになった…
執行猶予もあり、2ヶ月で帰ってくることが出来た…
現在、47歳。
私は、小さな青果店を営んでいる。
そして、毎日スイカを叩き割っている。
もちろん店内がビショビショなのは言うまでもない…