9月10日・箱根町



うらら探偵はとある旅館の露天風呂で日々の疲れを癒していた。


「ふぅー…」


緑に囲まれた露天風呂は、都会の喧騒を忘れさせてくれる。



山々は夕暮れが近づくにつれさらに静けさを増し、気温もぐっと低くなる。
蝉の鳴き声も物悲しく聞こえる、まさに季節は初秋である。


「そろそろ夕食やで」


後輩探偵M子に促され、露天風呂を後にするうらら探偵。


「うむ。いい宿にいい風呂。完璧だ。」


露天風呂を出て寝湯、大浴場を抜け脱衣所へ戻ると、湯上がりの女性たちが頬を上気させながらそれぞれに身仕度を整えていた。



こういった場所は人を大胆にさせるものだが、うらら探偵は(恥ずかしがり屋な為)裸に少し照れながら一番隅の脱衣かごに直行した。



すぐ隣の脱衣かごを誰かが使用するなどという非常に気まずい状況になる前に、急いで作務衣に着替える。



脱衣かごをガサゴソやると、一番先に装着したかったおパンツではなく、ジャーブラが手に絡まってきた。



モタモタはしていられない。
ひとまずジャーブラ装着。



次こそおパンツ。



ガサゴソ……




ん?




さらにガサゴソ……




入れた記憶はないが、バスタオルとフェイスタオルが入った、宿内を移動する際に使用する篭バックの中もガサゴソ……






ない。






いくら探してもないのだ。




確かにジャーブラと一緒にまとめておいたはずの





私のおパンツがない!!!




上だけ作務衣を着て、下半身は何も身に着けずただ茫然とするうらら探偵を見て、後輩探偵M子は腹を抱えて笑うのであった。





つづく






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