最近、住宅展示場に足を運んでみると、
表の看板に「C値0.1」とか書いてあるのを
よく見かけます。
ところでこのC値、
初めて聞く人もいるかもしれませんので、
簡単に説明しておきましょう。
C値=相当隙間面積
単位は ㎠/㎡
例えばC値2.0㎠/㎡の場合、
床面積10.0㎡(約6帖)の部屋に
4㎝×5㎝角の隙間しかないという事です。
では、何故C値が必要になったのか、
またどの程度が妥当だったのかを
知る必要が有りますよね。
事の成り行きからお話すると、
1973年と1979年に起こったオイルショックが原因で、
省エネルギー制作が盛んになり、
日本の住宅の断熱化が進みます。
その結果として壁の中で起こる内部結露が
大きな問題になりました。
この内部結露は、
室内の暖かい空気が壁の中に侵入して、
そこで結露を起こす現象で、
木材を腐らせてたり断熱材を湿らせて
断熱性能を低下させる困った問題をひきおこしました。
これまでの日本の住宅は、断熱能力も低く、
隙間風も程よく入ってくれていましたので、
室温もそれほど上がらず、
壁の中に入った湿った空気も程よく抜けて、
結露は起こりませんでした。
それが中途半端な断熱と
程よく入っていた隙間風を防いでしまった為に
壁の中で結露を起こすようになってしまった訳です。
暖房設備もストーブが主流だったので、
石油は水蒸気を発生させますし、
ストーブの上では
ヤカンでお湯を沸かしたりしていたので、
さらに湿度は高くなります。
これを防ぐためにできたのが「C値」です。
国はこのC値に基準を設けて、
部屋に中の暖かい空気が壁の中に
侵入しないようにしようとしたわけです。
その基準を
「寒い地域:C値2.0㎠/㎡」
「暖かい地域:C値5.0㎠/㎡」
というように決めました。
しかしながらこの基準は2009年に撤廃され、
約10年で幕を閉じてしまいます。
この基準が撤廃された背景には、
断熱施工のノウハウの確立や、
建材の進化などで、
普通に家を建ててもC値2.0㎠/㎡程度の
数値が出せるようになったことが大きな要因です。
この要因の一つに、
2003年に施行された
24時間換気の義務化というのが有ります。
これにより第3種換気が必ず設置されるようになり、
その結果として室内の空気が負圧になり、
内部結露が抑制されるようになったことも
大きく関係していると思います。
こうなるともう基準を設ける意味も
なくなってしまいますよね~
ではなぜ今どこのハウスメーカーも
C値C値と掛け声を上げているのでしょうか。
それは、
「営業するのにとっても都合が良かったから」
です。
それまでのハウスメーカーでは
数値として出てくるのは坪単価ぐらいで、
あとは営業マンの人柄や縁故で売る時代でした。
そこにC値という数値を使って
他社と差別化が図れることは、
住宅業界にとっては革命とも呼べる大きな変化でした。
「うちの建物はC値〇〇ですよ~」
と言って数値で性能表示できることは、
営業にとってはとっても都合が良かったわけです。
それに味をしめた住宅業界は、
耐震等級や断熱等級、ZEHなどの名前や数値で
性能を表現する時代になっていくわけです。
話を少し戻して、
この様に数値で判断できるC値は
営業マンにとって画期的な事だったわけです。
更にこのC値、
クリアするのが簡単で費用も大して掛からない、
それにこのC値が低い=技術力が高い
というイメージを作ることが出来たため、
業者にとっては良い事づくめだったんです。
そもそも気密性能を上げること自体は簡単なことで、
内壁の裏側に気密シートを貼って
隙間をテープで止めるだけです。
専門的な技術力も必要としませんし、
材料費もしれています。
ましてや耐震性能や断熱性能にも一切関係ありません。
それなのに、C値が低い=性能が良い住宅、
技術力が高い住宅、高級な住宅という風に
アピール出来てしまうのです。
ハウスメーカーにとって
これほどおいしい話はありませんよね~
そこで発生するのが過剰なC値合戦です。
「うちの住宅はC値0.2㎠/㎡ですよ~」
というと片方で「うちはC値0.1㎠/㎡が標準です」
といった具合に過剰なC値合戦が
繰り広げられています。
確かにC値を0.2とか0.1のレベルにするとなると、
隙間を防ぐための特殊な技術が
必要になる場合も出てきますが、
重要なのはこれが日々の暮らしに
どれぐらい影響するのかという事が
ポイントになって来ます。
何もしなくてもC値2.0や1.0をクリアしている状態で、
それをさらに10分の1にするメリットが
本当にあるのでしょうか。
それとC値が低ければ暖かいと思っている人が
意外に多いという事です。
確かに隙間が多いよりは少ない方が良いですが、
気密性能と断熱性能は全く別のものです。
ではC値1.0とC値0.1で実際の暮らしに
どれぐらい影響するかを考えてみましょう。
例えば20帖の部屋でC値1.0の場合、
隙間は約6㎝×6㎝角となりますが、
これがC値0.1になると隙間は約2㎝×2㎝角となります。
この差をどう考えるかですが、
窓のような風圧が影響する場所ではなく、
壁の中や天井裏などの風圧が影響しない場所に、
6㎝×6㎝角の隙間が有ったところで、
重力換気で移動する空気の量なんてしれています。
それにいくら気密の高い住宅を作ったところで、
部屋の中の空気がそのまま動かなくては
細菌やダニが増えて健康に悪いので、
1時間で部屋の空気の半分を入れ替えなさい
という決まりも出来ました。
これが24時間換気です。
例えば20帖の部屋の空気の半分を
1時間で入れ替えるとなると、
およそ40㎥の空気量になりますが、
この量は大きさで言うと4m×4m×2.5mになります。
これだけの空気を1時間で換気しなければいけないのに、壁や天井裏の隙間が6㎝角なのか2㎝角なのか
なんてどうでも良いレベルの事だとは思いませんか。
おまけに、それだけの空気を入れ替えるために、
換気扇を付けますのでその穴の大きさは10㎝Φ。
換気するのに給気口も必要なので
その穴の大きさも10㎝Φ。
キッチンのレンジフードの排気口も15㎝Φ。
その給気口も10㎝Φ。
その他にもエアコンのスリーブなど
最低でもこれぐらいの穴が家には空いています。
なので実際にはC値が1.0と0.1程度の比較では、
体で感じ取れるほどの差は有りません。
これまでC値の無意味さを書いてきましたが、
最後にC値の唯一のメリットを書いて終わりにします。
それは室内の空気をコントロールしやすくなる
という事です。
例えばコップに入ったジュースを
ストローで飲むときに、
吸った分だけジュースは口に入ってきます。
これが穴だらけのストローだとどうなりますか。
これと同じように過剰な気密住宅は、
空気の流れをコントロールしやすいのです。
実際の家で考えると、
1台のエアコンで家全体を温めたりするときに、
部屋から部屋への空気の流れを管理することで
実現することが出来ます。
24時間エアコンをかけっぱなしの人には
向いているかもしれません。
うちの様に
夏でも冬でもほぼ窓を開けっぱなしにしている家では、C値を下げることは全く無意味なのかもしれませんね~

