SpaceX社のドラゴン宇宙船がISSでの業務を終えて、無事に地球に帰還しましたね。 おめでとう。
メディアはこの快挙に「宇宙開発も民間企業の時代」と囃しているけど、実際、そうでもない。
スペース X社は、2006年 まだロケットエンジン開発の段階から、NASAから長期の輸送契約を勝ち取っていて、 総額1.2Bドルの保証があり、このことが民間企業からの資金調達を可能にしたと言われています。
2006年は正に時代がリーマン・ショックといわれる金融崩壊を迎える時期であり、この契約があったことで、資金を廻すことができた、とイーロン・マスクCEO自身も認めています。
今回のスペースX社の成功も、官民が一体となって推進したからこそ、今回の成功があるのでしょう。 同時に選定されたOrbital Sciences Corporation社は、ミサイル開発などもする上場企業。 官需により技術開発をして来た事が色濃い会社ですね。 まだまだ、こういう先端技術分野では、官の役割は大きいみたいです。
勿論、こういう民間への技術移転プログラムを皆が賛成しているわけではなく、たくさんの反対意見もあったようです。 アポロ計画の有名な、Neil Armstrong氏 や Gene Cernan氏は、議会で民間企業が開発をすることによって、安全がおろそかになり、結局、高額な税負担が必要になる、と証言して、民間への移行を推進するオバマ政権に大きな一石を投じました。
だからと言って、民間の力を信じる、という事や、その民間企業、例えば今回のスペースX社のエグゼクティブにNASAからの天下りがいないところが凄い。
勿論、素人ばかりで、こんな偉業を成し遂げられるはずもなく、ロッキード・マーチン社やボーイング社での経験を買われてエグゼクティブになっている人もいる。 だけど、こういう人は、結局、三菱重工や川崎重工みたいな人だからね。 単なる天下りじゃない。
こういう実業界の人たちや、大学での教授などが、ベンチャー企業に来て、本家のロッキードやボーイング社と競争して勝っちゃうところが凄い。 ベンチャースピリットの旺盛な米国ならでは、という感じでしょうね。
いやいや、米国礼賛ばかりでは、本当は残念なんだけど。
それから、宇宙開発ベンチャーは、IT起業で成功した人が多いね。
Amazon社の創業者、ジェフ・べーゾス氏のBlue Origin社、MicroSoft共同創業者、 ポール・アレン氏が出資しているスペース・シップ・ワンなんて機体もあるぞ。 皆、次の夢に向かって投資するんだな~。