娘に合うかもしれない


ひょっとしたら、最後の手段かもしれない



でも、待てないだろう

持たないだろう。。。


もし、待てたら


「いい時間」を伸ばしてあげられるかもしれない





ドクターからそう聞いていた新薬「ビダーザ」


3月に認可が下りると聞いたいたのに

いっこうにその気配がない・・・


じりじりした思いで待っていたが

それが震災の少し前に認可が下りた





とおぼろげに覚えていたが


先日、夫が言った



「認可が下りたのは3月11日の午前中だよ

メールもらって

おれは会社でガッツポーズしたんだ

これで大丈夫だって


そしたら午後になって、あの地震だろ?

この先どうなるんだろうって


地震の日、会社に泊って

でもたいしてすることもないから

ずっと調べてたよ、ビダーザについて」





そうだったっけ??



本当に記憶ってあいまいです。





とにかく、新薬の認可が下りて


震災ですこし止まったものの



月末から使えるようになった





この新薬は


いわゆる抗がん剤と違い


ターゲットを認識してやっつける、そんなもの

(いい加減な説明でごめんなさい)



いわゆる抗がん剤、今、多く使われているものは


成長の早い細胞に、その成長サイクルに反応して効果を発揮する

だから、成長の早い髪の毛や皮膚、爪などにも

副作用が及ぶのだ



それに対して

今盛んに研究されているターゲット認識型は


特定のがん細胞がもつたんぱく質や

そのがん細胞のまわりにいる酵素などを識別して

それを持つものだけに効力を発揮する



つまり、

がん細胞そのものにしか効かない

従って、副作用がない



(というのがうたい文句というか理想の姿

そういいつつも、肝臓に負担がかかったり

するものも多いが。。。)




娘が使ったビダーザも

副作用は極端に少ないだろうと言われた


それに

皮下注射でもOKという。。。




抗がん剤を使ったことのある人には

本当に驚きである



もちろん、

抗がん剤だって経口のものもあるくらいだから

いろいろあるのだが



抗がん剤治療って言うと

一般的には


点滴!!!


それ自体は容量が少なくても

隣には水のでっかい点滴ボトルがぶら下がり

患者はずっとベッドに拘束される





「皮下注射でもOKだし

通院でもいいんだよ」

というビダーザは


通学を考える娘には夢のような薬に思えた






「でも初めてのことだから

最初は点滴でゆっくり目に落とそうか?

最初うまくいけば、次からは通院で、ということも考えることにして

今回は入院して治療しましょう」





点滴と言っても

めっちゃ小さい点滴ボトル

滴下時間は15分だったか、30分だったか・・・

毎日1回1週間連続投与して3週間休薬

それを1クールとして

何クールか繰り返してみる


先のことははっきりとは決まっていないし


「これで治る」と思っていたのは

本人と家族だけで

ドクターから明るい言葉はなかったが



新しい武器を得て

新しいチャレンジが始まったのだ