ママ、ぼくが生まれたあの日のこと、ママ、覚えてる?
ぼくはね、覚えているよ。
ぼくはね、忘れられないんだ。
ぼくの泣き声を聞いてママが幸せそうに涙を流して笑ったあの顔も。
ぼくに羽が生えたのかなって思ったくらい、柔らかい両手でふわふわと抱きしめてもらえた、あの夢みたいな感触も。
ぼくは忘れられないんだ。
ママ。
ぼくはあの日からずっとママに伝え続けていることがあるんだ。
ねぇママ、ママには届いているのかな。
本当はもっとじょうずに伝えたいのになんだかうまくできないんだ。どうしてかな。
なんて言えばいいのかわからなくて、ぼくは、いつも泣いてしまう。
ママには、そんなぼくの泣き声が鬱陶しく思えた日があったことも、ぼくは知ってるよ。
ぼくは、まだ上手にお着替えもできないし、ごはんだって牛乳だってこぼしてしまうし、おしっこもうんちもまだちゃんとできないし、上手におしゃべりもできないから。
そんなぼくに、ママはイライラしてしまうこともぼくは知ってるよ。
でもそれでもぼくは泣くんだ。
だってママに伝えたいことがあるんだ。ママに、どうしても伝えたいことがあるんだ。
うまく言えるかわからないけど、ママ、ここで聞いていてね。
ママ。
ぼくはママのことを世界で1番愛してるよ。
そのままのママを誰よりも愛してるんだ。
ママ。
ぼくはママを愛しにここにきたんだよ。
ママは世界で1番愛されてるんだって、知ってほしくてだからぼくはここにいるんだ。
ぼくが泣くとママ泣かないでって怒るでしょう?
ねぇママ。ママは誰に泣いたらダメって言われちゃったの?
ぼくがワガママ言うと、ママ、我慢しなさいって言うでしょう?
ねぇママ。ママは誰に我慢しなさいって言われてしまったの?
ぼくか甘えると、ママ、甘えるんじゃないって言うでしょう。
ねぇ、ママ。ママは甘えたらダメだって誰に咎められてしまったの。
ねぇママ。
ママ、泣いていいんだよ。
ママ、がまんしなくていいんだよ。
ママ、ママも甘えていいんだよ。
ママ。
ママは、ママでいいんだよ。
ママは、そのままで許されているよ。
抱っこをせがむぼくだけど、ぼくがママの小さな背中をキュッと抱きしめてるの、ママ 気付いてないでしょう?
ママは世界で一番かわいくて。
ママは世界で一番やさしくて。
ママは世界で一番がんばりやさんで。
ママは世界で一番ぼくの大切なんだ。
ママを世界で一番愛してるんだ。
ママ。ぼくは、ママを愛しにここにきたんだよ。
ママは世界で1番愛されてるんだって、知ってほしくて。
泣いていいんだって思い出してほしくて。
だから、ぼくはこうして泣いているんだ。
ママ。ママ。
ぼくがいるよ。ぼくがいるよ。
ママ。ママ。ぼくがずっと、ママのそばにいるよ。
ママ。ママ。ママはずっとずっと、ぼくの大事なんだ。
ママ。ママ。ぼくが生まれた日は、ママが世界で一番、世界に愛された日。
ママが、誰よりも無敵になった日。
だって、ぼくが生まれた日は世界の誰よりも、ママを愛してるぼくがこの世界に生まれた日。