【情報】
監督:ダン・スキャンロン
配給:ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ
製作:PIXAR
公開日:2013/7/6
時間:110分
声優(日本):田中裕二・石塚英彦など
キャッチコピー:
サリーとマイク、怖がらせ学部一年生。
【あらすじ】
小学校の授業でモンスターズ・インクの見学にきたマイケル・ワゾウスキ(マイク)は、"怖がらせ屋"フランク・マッケイの勇姿を目の当たりにし、自分も怖がらせ屋になることを決意する。 月日は流れ、マイクはフランクの出身校・モンスターズ・ユニバーシティ(MU)に入学した。マイクはMUの看板学部で怖がらせ屋を育てる「怖がらせ学部」に入部。しかしそこには巨体の者や迫力のある見た目をした者、など、見るからに怖いモンスターばかり。更に有名な怖がらせ屋の家系であるサリバン家出身のエリート、ジェームズ・P・サリバン(サリー)もマイクと同期で入学していた。小さい体で見た目も怖くない為に周囲から下に見られているマイクは、持ち前の頭の良さを生かして努力して勉強して周囲を追い抜こうと奮闘する。一方サリーは自らの才能に
かまけており、なにかにつけて努力家のマイクを馬鹿にする。そして、怖がらせ学部の期末試験の日。試験に望もうとするマイクだったが、サリーと小競り合いを起こしてしまいハードスクランブル学長の記念悲鳴ボンベを倒してしまう。そして学長に「怖くない」といい放たれてしまったマイクはサリーと共に怖がらせ学部から追放されてしまう。マイクはひどく落ち込んでいたが、部屋に戻った彼の目に飛び込んできたのは、MUのスポーツ行事「怖がらせ大会」のチラシだった…
【感想】
「モンスターズ・インク」の続編。今作は主人公がマイクとなり、彼がモンスターズインクで働く以前の話が描かれている。今作のみでも十分楽しめるが、前作の観客を意識したシーンなども多いため、前作を見てからの鑑賞がお勧め。子供から年配の方までお勧めで、特に夢を持っている人には見てほしい作品。
見所①:前作との比較・繋がり
一番の見所は前作との違いや繋がり。今作ではサリーはエリート風を吹かせた自信過剰なやつで、マイクは自らが怖がらせ屋を目指している。そして二人は犬猿の仲。また前作の悪役ランドールがおとなしく真面目なモンスターだったりと、前作を見て
いる者からすれば新鮮な思いを受ける。そして他にも前作出演のキャラが随所に登場するのも面白い。そしてこれらのキャラがどのように「モンスターズ・インク」でのキャラに変貌していくかという過程を見ることができる。個人的なお気に入りはマイクがコーチとしてサリーにトレーニングするシーン。前作もトレーニングシーンに通じるものがあり、二人の絆を感じ取ることができる。
見所②:モンスターたちの大学生活
登場人物たちのキャンパスライフも見所。ルームメイトと寝食を共にし、昼は勉強、放課後はサークル、夜はパーティーで大騒ぎ。このように充実した大学生活を送る登場人物を見ると自分の大学生活と重ね合わせて懐かしさを感じると共に、観客まで楽しい気分になる。そして、後半の目玉である「怖がらせ大会」にチームで挑む学生たちの姿はまさに青春そのもの。そして夢を追い続ける若者たちに対しては暖かい気持ちになる。
残念な点①:ランドール
この作品では、前作悪役のランドールがマイクの友人として優しく臆病なモンスターとして登場する。彼はエリートサークルに入ってその雰囲気に染まり、周囲を馬鹿にするようになっていく。しかし前作でサリーをひたすらライバル視していた彼が、どのようにサリーを意識するようになったかの過程が少し急な印象を受けた。その点をもっと詳しく描いてほしかった。
残念な点②:3D
私は今回3Dで鑑賞したのだが、あまり3Dの恩恵を感じることができるような作品ではなかった。3Dの為だけに作られた作品ではないので仕方ない面もあるが、もう少し3Dを有効利用した描写があっても良かった。今後増えていく3D映画の為に、こういう有名作品で3Dを宣伝するべきだと思う。
【分析】
テーマは「夢」。周囲から馬鹿にされようが必死にもがき、努力をし続けて諦めずに「夢」へと突き進もうとするマイクの姿は、勇気を与えてくれる。また、作中では「個性の尊重」というものも強いメッセージとして感じ取れる。マイクとサリーは落ちこぼれのチームにしょうがなく入って大会に参加するが、逆に彼らに助けてもらう。彼らは落ちこぼれだが、一人一人得意分野がありそれを上手く利用したのだ。私の好きな言葉に「誰しもが世界の中で5本の指に入る才能を持つ分野がある」というものがある。モンスターたちはまさにこれを体現しているのではないかと感じた。「諦めなければ夢は叶う」、言い古された言葉でこれを信じる人は少ないかもしれない。私もこの言葉を信じてはいないが、この作品における夢に向けてのプロセスは実践する価値があると思う。それは、周囲に何を言われても強い意志を持って「夢」を諦めず、努力をし続ける。そして自分の得意分野を把握し、それを夢のためにどのように利用可能かを考え実行する。ここまでの取り組みが成功の最低条件なのだろう。