鳥居を押す会 -2ページ目

変形飛行物体を見た話

今夜の点検業務を私は休もうとしていたのである。その訳は近頃未読本が溜まってきたのだから、という理由の睡魔の為である。だが私に休息は許されない、意表をついた友人からの夜遊びの誘いが私を点検業務に駆り立てる!そうである、私の妄想的使命感は膨張する。

そしてお迎えを待つ。私はペーパードライバーであるのだから。そして昨夜の消えてしまった星の辺りを、また、見つめる。我が町の夏の川辺の夜風はくさい。あの一等星並の輝きは何処へ。

そのときである!星屑ガスのような明るさの黒い長方形の物体が上空に居るではないか!

はて、これは何?音もなく、スーッと夜空を飛行しているのである。西へ向かって!

大きさは多分5mくらいであろうか、大きそうだ。

そして、私の頭上辺りに差し掛かったときに確かにその長方形の物体は変形しているのである。

形を変えてゆく。

長方形が菱形に、菱形のまま小型に、やがて村田さんの家の屋根で見えなくなってしまった。

その間、約10秒!

我が町に何かが起ころうとしている。何かが。

俺はこの町を守らねば!あの子の寝顔を守らねば!

星が消えた話

今夜の点検業務、不意のノスタルジイに駆られた私。遠い以前の通学路を点検するのである。

思い出は私の宝である。私は自然にあの日を想うメロディを口ずさむ。うん、良い、そして酔い。点検業務中の私にはあの頃が見えている。以前の通学路には若い私の幻が帰宅している。そうして、夜空を見上げるのは悪戯な涙のせい?そうではない、星がよく光るからで、しかしにじんで見えるは何故。浸る私は詩人である。

しかし、業務に対しての私の熱意の表れであろうか、こんなにもにじんでしまった夜空に異変を発見する!

先程から数ある星の一つが3秒間隔で点滅しているのである。エアプレインであろうか、いや、違う、だってね、飛行機は間隔なく点滅しておりホバリングできぬものであるのだよ。ではUFOであるのか、でもね、ヘリでもない、珍鳥?いやぁ、不思議である。暫らく眺めておると、わっ、消えた!その後、五分ほど待ってみたのであるのだが、消えた。星が消えてしまった。

果たして消えた星の行方は何処に。そうして疑問を抱きつつ帰路についた私の涙は何処に。

本日我が町は星を一つ失ったが、平静を保つ!

怪奇・浴衣アベックの情仮死

本日から私の点検業務の範囲は広がったのである。一歩足を伸ばして見たくなる夜風だ。そして、花金であるのだから、すこし背伸びも必要なのである。そして俺は今夜、川沿いに北東へ!つまりは夜風も優しく、たまには遠くのコンビニへ、と。余談だが、その少し遠くのコンビニで私は以前カブト虫を捕まえたのである。コンビニへ到着、店員は変な丁寧かつ人をいらつかせる人であった。そして豆乳を購入!大好物である。そして帰り道、大手チェーンの薬局の入り口付近に人影を発見!これはいけない!私は恐る恐る点検業務にはいったのであるが、ガイシャは2人、どうやらアベックである。浴衣姿でパンツとパンティは月光の元に!!そして私の気配に気付くことなく眠っておられるのであった。うぅむ、なんと風情の足らぬアベックであろうか、近くには川や田畑があるというのに、、、。私は憤慨して帰路についたのである。まったくもって遺憾である。川辺のドブ臭い風にさらされながらの語らいは将来の宝であるのに。

本日の点検業務は私の気持ち少々荒れながらもこの街、平静!

80’s ビート、我が街

本日も点検業務を行なう、車庫の点検も異常なしだった模様。しかしだ、この街へやって来た頃からの異状地帯がある、本通りのとある家だ。神の悪戯か、その異常な家は車庫の向かいにある。つまりは車庫点検主の隣家。当初の私の勘ではその異常なヴァイブレーションにより隣の家の点検男が生まれてしまったのではないかとの一つの恐ろしい疑念を抱いていたものだ。

その異常とは一昼夜いや、年中無休24時間にわたり80’s ビートが爆音で流れているのである。私は以前地元住民に聞き込みしたことがあるのだがこぞって皆、口を濁すのだ。はたしてこの家の主は一体。しかし1年も暮らしているとそんな異常も日常に変わる。今では私の点検対象からも外れ、街の表情の一つとなっている。再びこの80’s ビートの家が点検対象になるとき、その時は音が止んだ時になるのだろう。

本日の点検業務報告、特に異常なし、我が町は一部を除き平静!

サイキック車庫

私の点検、それは妄想的使命感によるもの。だが、この町には同業者もいるのである。彼もまた使命感による点検であろうか。彼は30代後半のロンサム・ガイだ。夜毎、深夜1時から2時の間に遭遇する点検者である。しかし、彼の点検は主に、おそらく所有の車庫なのだが、これまでの彼の点検業務をまとめてみるとこうなる。

深夜、近隣に配慮無しに大胆かつサイコに車庫のシャッターを開く。点燈、煌々と夜を裂く!そして、一心不乱に点検。車庫の隅々、そして外壁、そして車庫の隅々、これを繰り返すのだ。時間にして15分、車庫は2台分のスペースである。やがて消灯、夜が舞い戻ってきた、物の怪たちの夜。だがこれで彼の点検業務は終わらない。その後懐中電灯を使用しての点検に入る。車庫の隅々へ光を当てる。丸い光が波板を透けて動き回る様はラジオ・シティ。およそ5分から10分の最終点検だ。そしてまた、彼は夜を引き裂く轟音をあげる。彼の顔は安堵に満ちている。妹の顔だ。

このように、今日も町と車庫の平静は我々に守られているのである。

我が町点検・概要

とある東海地方の、アーバンな我が町。この町で起こる些細な出来事を私は記録していくのである。それは不意に妄想的使命感に駆られた私の罪である。私はこの町を点検し、報告せねばならない。例え私の日常に秘密警察的、公安委員会的団体が私を付け狙いはじめたとしてもだ。始まり、私の業務報告第一夜。


本日未明、私はいつもの如く町の点検業務に入る。湿度の高い夜だ。家々の屋根からの視線、光る目、キャッツ!愛くるしいのである。そして私は噂の幽霊屋敷前にて皮膚を鳥肌とする。この幽霊屋敷、新築である。なのに何故に?それはねカボチャくん、新築し、程無くして空家になったのであるのだよ。果たして真相は!と、考える間も与えぬ速度で私は数百㍍先にて自動販売機に集る羽アリになるのである!そして、そして、私が為すべき事は・・・コーヒー・深入りを購入。帰路へ転換、帰路は川沿い回り道。本日の我が町、平静!そう私の影がうなづく。