幾度となく、私たちの交際は反対されてきた。
今はグループの大事な時期なんだ。
何度も何度も繰り返される言葉。
その言葉の裏にある会社の事情もなんとなく分かっていた。
たしかに、グループとして今が大切であるということは、どんな事情があろうとなかろうと、間違いないことだと思う。
メディアに注目され取り上げてもらう機会も増えたし、CDの売上やライブ動員数も確実に増えて、グループとしての影響力は大きい。
今、私たちの関係が週刊誌に掲載されたとしたら、どうなるかは容易に想像出来た。
好き。それだけの気持ちでどうにか出来た年齢もあった。
だけど、今は社会に出て責任というものを伴い、好き。その気持ちだけでどうにか出来る訳ではなくなった。
AAA宇野実彩子と私、宇野実彩子を考えると、色んな考えと感情でぐちゃぐちゃだった。
そして、2016年を境にグループの今後を考える機会が増えのだ。
私達も30代を迎え、人生を考えるようになった。
このままでいいの?そんな私の気持ちを見透かされていたのかと思うタイミングだった。
グループとして活動してきた10年間で、みんな成長した。
それぞれの持つベクトルが違う方向を指し始めていたのも分かっていた。
特に、あなたはそうだったと思う。
ソロ活動も充実させたいし、グループも大事。
そんなあなたは、睡眠時間を削ってソロ活動に打ち込んでいた。
私とは会えない時間が増えていった。
それが不満だった訳では無い。
あなたの夢を応援して寄り添うことが私の幸せでもあった。
だけど、自分の未来を考えた時、今私のしたいことは何なんだろう。
あなたに寄り添って、不安を我慢することがいい女って思って演じることに疲れてしまったの。
「私たち、別れた方がいいと思う。」
聞かされたのは付き合い始めて5年目のときだった。
「なんで?」
「私と一緒にいるのは違うと思うから」
「…どうして?」
「ごめん…辛いの。元に戻ろう。」
そんな最後だった。
君の辛さを近くにいたはずの自分が気づくことも和らげることも出来なかった。
ずっと隣にいて欲しい。って言ってた君に見合うように、周りに認めてもらえるように、頑張ってたのに、どうやら、僕は頑張り方を間違えてしまったのかもしれない。と気づいた時にはもう遅かった。
それでも、僕はまだ君に隣にいて欲しい。
あの時、迷わずに自分の意思とともに手を取り気持ちを奪えていたら、どんな今だっただろうと、星を見ながら語ったベランダのカーテンが揺れると考えてしまう。
もうそこに居ないと、カーテンが悪質に揺れる。
今夜も夢の中であの頃の君に会えたらと願って眠りにつこうと思う。
君が辛い時、僕はいつでも迎えに行くよ。
「同じ空を見ています。」
「好きになれそうだよ、私の道」
