指を鍵盤に落とす瞬間の緊張は覚えている。 | sollan 時々 社労士開業に至るまでのdiary

指を鍵盤に落とす瞬間の緊張は覚えている。

鏡の中に映る
乾かしたてのストレートの髪。

あーなんだろ、この懐かしい感じ。

私は11歳だった時の自分を見る。

9歳か10歳、そのくらいの年頃に
私は母にはじめて嘘をついて
酷く叱られた。

もう二度と嘘をついてはダメと
長がった髪を顎くらいのボブに
バッサリと切られた。

意に反して、髪を切ったのは
その時が初めてだ。

わたしの髪は伸びるのが早い。

一年もしないうちに肩を超え、
鎖骨に届く位になる。

その鎖骨を少し超えたくらいの
長さの髪に、記憶が蘇る。

あれは銀座YAMAHAホールで
開催されたピアノの発表会。


私はこの曲のために
ミッドナイトブルーの
ベルベットのドレスを着て、
鎖骨にようやく届いた髪を
纏め、シルバーのリボンを
かなり長めに結んで臨んだ。

ここのところ、お風呂上がりに、
あの当時の髪の長さだなぁと、
やたらと鍵盤が懐かしくなるのだ。


1日休むだけで3日戻ってしまう、
ピアノ無しの日々なんて
考えられなかったあの頃を
私の指は
すっかり忘れてしまっている。