「古代は現代よりモダンである」 デンマーク家具の魅力
インテリアSHOPにふらりと立ち寄るのが好きです。
但し、大型店舗ではなく、オーナー自らが
そのお眼鏡に適ったものだけを輸入するような
ちょっとこだわりのあるSHOPに限ります。
ほんの数年前、
初秋と呼ぶには少し早いその季節に
私は千駄ヶ谷に出向きました。
イタリア、スペイン、北欧を中心とした輸入家具を扱う
はっきり言って万人受けするとはお世辞にも言えない、
かなりコダワリの強いSHOPです。
運よくその日はオーナーだという方自らが
わざわざ奥から出てきて下さり、
いろんなお話を伺うことができました。
「これはね、イタリアの展示会で一目ぼれして
何も考えないで いれちゃったんだけどね・・・」と
指差すほうに目をやると、確かに天井までの高さが
日本とは圧倒的に違うヨーロッパなら、もしくは
贅沢な空間を持たせたコンクリートの打ちっぱなしなら
素晴らしく映えそうなファブリックのGERVASONI社 の
ソファーが・・・
私は思わず、
「これ、売れないでしょ、日本では・・・」と呟いてしまい、
オーナーは暫く押し黙った後、大笑いしながら
「やっぱりだめか・・・・。気に入ってるんだけど。」
その会話の後、
まるで古くから慣れ親しんだ友人のように
SHOPへのこだわりや、例え売れなくても入れたくなる心境、
本当に良いものを紹介したいという熱い思い、そして
デンマークを代表するあの有名なカイ・クリスチャンセン を
口説き落とすためにコペンハーゲンから2時間半もかけて
彼の自宅へ出向き、PAPER KNIFEのシリーズを復刻する
権利を得た話、デンマーク家具の50年代ゴールデンエイジ
の話、その職人の腕の素晴らしさを延々と語りだし、
気がついた時には外は雷雨・・・
雨宿りを通り越して話し込むことになりました。
結局、その時のご縁で、
オーナー自らがこだわって制作したデンマーク家具の流れを
ひくものをダイニングテーブルとしてだけではなく、物を書き、
時に本を読み、考え事をし、とてつもなく長い時間を共に過ごす
大切なパートナーとして我が家に迎え入れたのです。
デンマーク家具は思うに、一緒に歳を重ねてゆける
相棒のような優しさを持っています。
このテーブルの上で、私は全ての喜怒哀楽を
刻んでいくことになるのだと思いながら、オーナーが
「椅子はね、ちょっと頑丈に作りすぎちゃったんだよ・・・」
と恥ずかしそうに呟いた時の顔を思い出し、
こだわり過ぎの細部に埃などたまる暇もないくらい頻繁に
クロスでお手入れする時間をとても大切にしているのです。