寺垣スピーカーを聴いてきた。 | 喰らうオーディオ!!!

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寺垣スピーカーを聴いてきた。
喰らうオーディオ!!!-寺垣氏

寺垣スピーカーを聴いて来ました。
先日は大学時代の友人と寺垣武氏の講演会に参加しまして、併せて寺垣スピーカーの視聴もあったという格好です。別にオーディオ関連のイベントではないです。

講演会自体は「天才肌の寺垣氏が年を取って若い人に何か残したい」という気持ちと「20代前半の方が頑張って主催しました。」というだけの内容で特に語るべき部分も無いので割愛します。


さて、そもそも寺垣スピーカーって何?ってかたも多いと思います。
詳細はオフィシャルサイトにもあるので、そちらを拝見していただきたいですが一言で言うと無指向性スピーカーの一種です。

元々開発者の寺垣武氏は発明家であってオーディオ技術家ではないです。レコードプレーヤーの開発を初めてオーディオテクニカの社長に売り込み、紆余曲折の末3億円近くの開発費用を飲み込み90年代中ごろセイコーエプソンのΣ5000という伝説的な銘機として世に出ることになったらしいです。
喰らうオーディオ!!!-Σ5000
表面粗さ計或いは物理変換器と形容されるほどらしい。by「趣味の極道」より


恐らくそれと平行してスピーカーの開発も行っており、一部マニアの話題にはなっていたようですが30年近い開発のもと商品化されたのは2000年以降で比較的最近だと思います。


今回視聴した機種はこちらです。

船の帆のようなスピーカーです。
喰らうオーディオ!!!-寺垣スピーカー

喰らうオーディオ!!!-寺垣スピーカー背面

私も技術に疎いので話半分で聴いて欲しいですが、スピーカーの下部にユニットがついており、振動を増幅して帆の部分で360度に放出しているようです。帆の部分は5ミリ厚程度の木材です。上と下の帆でL-Rチャンネルに分かれているとのこと。定価は20万程度と中々の価格です。

ちなみにアンプは自作で大きさ的にデジタルアンプかもですね。
喰らうオーディオ!!!-寺垣アンプ
プレーヤーはデノンのDCD-1650AEでした。


で。肝心の音ですが。

どこかのサイトで寺垣スピーカーの音を「ホヘェ~」という音だと評していたのですが、全く持ってそのとおりですw

オーディオ的には、上下共に全く伸びていない超ナローレンジで中域の響きが強く支配的です。無指向性の音とあいまって定位は曖昧ながら自然で比較的広い音場感と刺激の無い聴き易い音になってます。

上は10kHzも出ていないですし、下に至っては100Hz出てなかったと思います。
訪問した音楽家などが寺垣スピーカーの試作品(私が聴いたものとは別)を購入したとおっしゃってましたが、確かに音楽家にとっては良いスピーカーと言えそう。そんな感じのスピーカーです。


寺垣氏の主張はオーディオ機器はいかに原音を再生するかが命題であり、その点において現代オーディオは元々ある音楽という文化を全く表現していないというのが要項だったと思います。

典型的な技術系の原音原理主義であり、その主張自体は正論だと思います。
オーディオで良く言われる最高の音が「原音再生」or「自分の音」の2つに大きく別れるところだと思います。この手の議論で盲点になっているのは、論理的には「自分の音」の中の一つの形式として「原音再生」があるということだと思います。(この手の話をするとそもそも原音を超える音質が存在するのか?という命題もあるんですけどね。)

「原音再生」の極みとして寺垣氏の開発したレコードプレーヤーは世界的銘機に成り得たのですが、スピーカーはそうはいかなかったと思います。皮肉なほどに寺垣氏の音の好みを体現させたスピーカーであり、特性うんねんは別にしても「自分の音」を表現するために「原音再生」にこだわった典型例だと思います。


まぁとりあえず私が思うのは、このデザインのスピーカーを部屋に置きたくないってことですけどね。

お読みいただきありがとうございました。
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