二週連続の白内障手術もなんなくと終わり、両目ともに1.0を超える視力となって乱視も解消。白濁して霞んでいた視界もくっきりだし、朝目覚めたときに周りが見えるなんてのは50年ぶり以上で逆に落ち着かない。遠くが見えるようになった反動で近くが見えないのは先週同様で、100円ショップで強さが違う老眼鏡を3つほど買ってきてPC作業、物書き、スマホと使い分けている始末。
まぁ、見えづらくて控えていた長距離の運転も大丈夫そうだし、これで1年以上振りに函館への墓参りにも行けそうで安心。というどうでもいい話は横に置いといて、今週はロック関連の書籍の話でも。
先日、ハードコア界を代表するバンドSLANGのボーカルKO氏の自伝的ノンフィクション本を紹介したばかりだが、その後、40年以上も活動を続ける日本のロックバンドに関する書籍が相次いで発行されている。しかもどれも自分の好きなバンド。ということで世間的にそれほどメジャーでもないバンドばかりだからちょっとした驚き。とは言いつつ、自分の好きなバンド関連の書籍が刊行されて嬉しくないわけがなく、なんだかんだと発売と同時に購入したのはいつものこと。
まずは日本のパンクロック界の重鎮ザ・スター・クラブのメジャー40周年を記念して発刊されたヒストリー本「The UnKNowN SoLdieR」
バンド唯一のオリジナルメンバーHIKAGEがバンド結成からの47年もの長い歴史についてはもちろん、幼少期からバンド結成前までも語るというインタビューが冒頭に。相変わらずのクールな語り口ながら、幼少期に観たウルトラマンや漫画のことなんかを聞き出すことができたのは、長きに渡って付き合いがあるパンク雑誌DOLLの編集長も務めた塚本利満氏がインタビュアーだったことが大きいのでは。
ヒストリー本お決まりのバイオグラフィにディスコグラフィはもちろん、パンクバンドSAのボーカリストTAISEIとの対談も充分楽しめたが、元メンバーSC80sのEDDIE、NO-FUN-PIG、LOU、TATSUYAとの座談会がこの書籍一番の収穫。それぞれが在籍していた当時の裏話を知ることができるのはファンとしては嬉しい限りだが、すでに60歳を過ぎた元メンバーと今もこうして笑って語り合える関係性が(周年ライブ毎に集結してもいまいすが)、このバンドのパブリックイメージとは違ってなんだかほっこりとしたり。個人的にはこの座談会にA-KILLERが参加していないことと、そのAKILLERの脱退劇の話がなかったのが残念と言えば残念。
40年以上も前にピストルズ直系のパンクロックの世界に引きずり込んでくれた若き暗殺者たちが2020年代の現在まで活動を続けてきた軌跡はまさに奇跡。
二冊目は日本のゴッド・オブ・モッズバンド、ザ・コレクターズ加藤ひさしの自伝本「イギリスカブレ」。
コレクターズも40年近く活動を続けるバンドではあるが、自分は7年ほど前にかなり遅れて聴き始めたという新参者。それまでこのバンドに手を出さなかったのは、このバンドが注目されるきっかけとなったネオGSブームに当時はあまりいい印象を持っていなかったからだろうが、それは単に見た目の問題だったという、今考えるとなんとも偏見に満ちた狭いものの考え方であったことかは、今こうして熱心にこのバンドの活動を追い続けていることからも明らか。もっと若くして彼らを求めていたら、きっとモッズの世界にどっぷりとハマってもっずぱーかーを羽織ってベスパかランブレッタを乗り回していたことだろう。
さて、肝心の書籍の方だが、幼少期から現在までを語っているのは先のスタークラブのヒストリー本と同様だが、こちらはインタビュー方式ではなく一人語り風の構成。多くのファンには既知の事柄かも知れないが、加藤氏がヒロトとマーシーにブルーハーツのベーシストに勧誘されていた話は驚きだった。ブルーハーツの前身バンドのザ・コーツがモッズバンドだったことを考えると充分にあり得る話ではあるのだが。
加藤氏がイギリスを訪れて様々なおススメスポットをカラー写真で紹介しているイギリス別世界旅行というコンテンツが自伝の前半部分と後半部分に挟まっているのが通常の自伝本とは違った趣きで、この本の仕上がりに花を添えている。アビーロードスタジオではなく元デッカスタジオの建物の前で初めて買ったトムソン(!)のバイオリンベースを持って写真に納まる加藤氏の拘りはまさにモッズとしての矜持といったところだろうか。
1979年19歳の青年が、さらば青春の光を映画館で観た瞬間から現在に至るまでぶれることなくモッズであり続ける歴史は全てのロックフリーク必読と言っていいだろう。
最後は我が愛すべきバンド、ザ・モッズの森山達也と北里晃一のTWO PUNKSがデビュー前の博多時代を赤裸々に語る「Hey!Two Punks 博多疾風編」。
かなり早くにオンラインショップで予約したにも関わらず、手元に届いたのは発売から5日も過ぎた今日の朝。こんなことなら予約なんかせずに書店で買うことにすればよかったと思わないでもないが、そこはクーポンでの割引とポイント還元の高さに目が眩んだ自分の自業自得。ということで、まだ半分も読み終わっていないのでレビューというわけにはいかないが、モリヤンがまえがきに記しているとおり、硬質なイメージで捉えられてきたモッズの若さゆえのバカでどうしようもないアーリーデイズのエピソードが満載。
先の2冊に比べ数は少ないが、モリヤンと浅田孟(元シナロケ、ARB)の二人で結成した開戦前夜、70年代後半の鮎川誠、浦田賢一と一緒に写るモリヤンとキーコなんかの写真は貴重。
初期(THE MOZZ時代)メンバーの白浜久(元ARB)の名がちょくちょくと出てくるのがARBも好きな自分にはなんともいえない感慨があったり。
モリヤンの療養生活で長きに渡って停止状態だったバンド活動も少しずつではあるが復活の兆しが見え始め、来年はちょっと期待してもいいのかな。
この3冊の他、ルースターズのインタビュー本も発売されたようで、明日あたり街のタワレコにでも行って買ってこようかと考えているのだが、どの本も3,000円近い価格で今月の出費はかなりのモノ。まぁ、早めの自分へのクリスマスプレゼントとでも思って堪能することにしましょうか。
今週も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。