狸小路の一本南側の通りに、クラブカウンターアクションというライブハウスがある。
札幌を拠点に国内はもちろん海外でも音源をリリースする等、結成から35年を過ぎた今も積極的に活動を続けるハードコアパンクロックバンドSLANGのボーカリストKO氏が経営するライブハウスとしてパンクロックファンの間では名の知れたハコだ。
入り口のドアを開けるとバーカウンターをしつらえたイギリスのパブを彷彿とさせるバーコーナーがあり、バーコーナー奥の重厚な扉の向こうにライブスペースが設けられていて他とは一線を画す造り。
ライブ前、ライブ終りにこのバーコーナーでアルコールを飲むひと時もこのライブハウスに通うひとつの愉しみになっていると言ってもいいだろう。飲んでる隣のテーブルでKO氏が知り合いの方と談笑している姿もよく目にしたり。
バンドは結成から35年を超え、ライブハウスも来年には30年を迎えようとしているKO氏の自伝的ノンフィクション本「終わらないハードコア」が先日発売された。
予約したわけではないが、このクラブカウンターアクションからほど近い(ほぼはす向かいと言っていいかも)ロックショップの店主から親切にも入荷の知らせを受け、何の迷いもなく取り置きをお願いしたのは、KO氏の、SLANGのファンだからというわけではない。何と言っても、彼らのCDは一枚も持っていないし、パンク好きを標榜する割にはハードコアと呼ばれるバンド群はどちらかという避けていたのだから。
そんな自分がこの本を手に入れようとしたのは、札幌から東京へ拠点を移してメジャーで活躍している怒髪天を始めとした多くの地元出身バンドとKO氏との繋がりや、札幌に拘ってバンドとライブハウスを長く続けてきたその背景を知りたかったから。
二日間であっという間に読破してしまったのは、そんな自分の目論見通りの内容だったからというよりは、想像を超える彼の軌跡の濃密さが本を読み進める自分を止めてはくれなかったというのが正直なところ。その内容をここで明らかにするのは避けることにするが、SLANGの曲タイトルにもなっている言葉がなかなか頭から離れないでいる。
何もしないお前に何がわかる、何もしないお前の何が変わる
パンクロック好きを標榜する自分に向かって吐き捨てられたかのように心の奥底に沈んだまま消えるどころか、徐々に胸の内の全域にアメーバーのように広がり続けている。
何もしないお前に何がわかる、何もしないお前の何が変わる
ブログを始める際に何の気なしに設定したpunks-a-go-goというユーザーネームとブログタイトル。とりあえずは一旦punksの言葉を外して、自分の芯と、核となる部分を見つめ直してみようかと思ってみたり。
これからの自分が何だらけになるのか、少し考えてみる時間があってもいののかも。
終わらないハードコア。
そんなきっかけを作ってくれたことに感謝。
まずはハードコアの聴かず嫌いはやめにして、SLANGの新譜をいつものロックショップで手に入れることにしよう。
今週も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。