一昨日の晩酌のアテは再結成後のARB,1998年から2004年のベストライブを収めたDVD LOCUS visualize。ARBのDVDを引っ張り出すのは久しぶりのこと。

どうも解散してしまった(ARBが正式に解散となっいるかは微妙だけど)バンドのライブDVDにはなかなか手が出ないのが正直なところ。その理由は自分の中でもはっきりしないが、DVDを観て盛り上がってももう二度とこの目でライブを観ることができないという寂しさが、過去のライブDVDを遠ざけているかもしれない。



で、久しぶりに引っ張り出したARBのライブDVDを観て改めて思ったのは、やっぱりARBはいいバンドだったな(石橋凌ではなくあくまでもARB)ということと、自分のロック人生のベースになっているのはめんたいロックなんだなということ。


めんたいロックとは日本のリヴァプールともいわれた福岡博多を中心に1970年代から1980年代にかけて精力的に活動をしていたロックバンド群、九州発のビートロックムーブメントのことを指す。ARBは結成時メンバーの石橋凌と田中一郎が九州出身ではあるものの、ARBとしては福岡で活動していたわけではないが、一般的にめんたいロックとして語られている。この渦中にいたミュージシャンはめんたいロックという呼ばれ方を好んではいないようだが、ここでは便宜上めんたいロックという呼称を使わせていただくことをご容赦願いたい。


高校生の頃、ARB、モッズ、ルースターズ、ロッカーズ、シーナ&ロケッツ等の九州出身のバンドが続々とデビューしていき、そのどのバンドもクラッシュの流れからビートの効いたロックに目覚めていた自分の感性にピタリとはまってしまったのは、今考えると何ともラッキーな出来事だった。

その中でも自分が好んで聴いていたのはモッズ、ARB、ルースターズの3バンド。エッジの効いたサウンドと10代の少年の心を揺さぶるには充分過ぎるほどの歌詞世界、そしてメンバーたちの佇まいはパンクロックムーブメントをちょっとの差でリアルタイム体験できなかった自分をパンクと同じくらいの、否、それ以上の勢いをもって骨太なロックの世界に引きずり込んでくれた。

あの頃夢中になって聴いていたモッズのFIGHT OR FLIGHT、ARBのBAD NEWS、ルースターズのINSANEのアルバムが今でも色褪せることなく自分の耳に、胸に響いてくるのは、単に多感な時期に影響を受けたものだからというだけではないことは間違いない。




この3バンドの他に、先に挙げたロッカーズ、シーナ&ロケッツを始めまだまだ多くのバンドがこのめんたいロックの枠の中で語られていたのを思い出す。


めんたいロックの始祖ともいうべきサンハウスのドラマーを勤めた浦田賢一が白井兄弟とともに結成したショットガン。


フジロックフェスティバルのステージMCなんかでも有名なスマイリー原島がボーカルだったアクシデンツ。


破壊的なキャラクターでも有名な山善こと山部善次郎。


モッズ加入前の苣木寛之と梶浦雅弘が在籍していたことでも有名なMODERN DOLLZ。


モッズシーンの大御所ザ・バッヂも広義の意味ではめんたいロックとして語ってもよいだろうし、アップ・ビート、アンジー、ヒート・ウェイブなんかはめんたいロックのフォロワー的な位置になるのだろうか。

そんな中、全くもってメジャーじゃなく一般的な知名度はほとんどないと言ってもいいマーキーズというバンドが今も強く印象に残っている。

ある日ラジオから流れたゴキゲンなロックンロールナンバー。スカのリズムを刻むギターに、多くのめんたいロックバンドとは違って楽し気なロックン・ロール・パーティを軽やかに歌う女性ボーカル。モッズで例えるとレッツ・ゴー・ガレージ辺りの世界観に近い感じか。これはそのうちメジャーデビューも間違いなと思いながら、エアチェック(死語?)したものを毎日聴いていたが、結局、彼らがデビューを果たすことはなく・・・。


実はベースはロッカーズを脱退した穴井仁吉、ボーカルの女性はその従姉妹だったという事実もなんか面白い。

それにしてもデビューもしていない福岡のロックバンドの曲が、なぜに北海道のローカル放送局で流れていたのか不思議といえば不思議。



ちょっと話が脱線したが、北の大地北海道函館で生まれ育った自分が、同じ港町とはいえ遠く離れた遠い南の地九州福岡で生まれためんたいロックに惹かれ続けているという妙。

こんなのもロックンロールマジックの一つなのかも。



最後にめんたいロックのど真ん中で活躍した4人のドラマーを中心として2000年代に活動していた博多ビートクラブのDVDを紹介して締めよう。


浦田賢一(ex.サンハウス、ショットガン)の呼びかけで集まった、川嶋一秀(シーナ&ロケッツ)、池畑潤二(ex.ルースターズ)、梶浦雅裕(ex.ザ・モッズ)の4人からなるめんたいロック好きにはまさに夢のドラマーズ・バンド。

森山達也、石橋凌、陣内孝則等の豪華ゲスト陣との競演も見どころではあるが、ボーカルなしで浦田、川嶋、梶浦、池端の4人がビートを叩きだす、冒頭のインストナンバーの連続がなんといってもオススメ。


これぞめんたいロックヒストリーの真髄。



今週も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。