カルメン・マキ & OZの「私は風」。
昭和39年生まれの私と同年代のロック好きの方でこの曲を知らないという方はあまりいないはず。というくらいに日本のロックを代表する曲と言っていいだろう。
この曲が収録されたバンド名がタイトルとなったファーストアルバムは1975年1月にリリースされ10万枚を売り上げたというから、当時の日本のロックアルバムとしてはかなりの大ヒットだったはず。
自分もこの「私は風」という曲をかなり昔から知っていたが、それがアルバムが発売された当時からだったのかどうかは覚えていないが、多分そのあと暫くの時を経てからのことだったと推測できる。なんと言ってもアルバムが発売された当時は小学4年生でまだロックなんか聞き始めていないし、この曲がシングルレコードとしてヒットしたわけではないのだから(その後、1978年にシングルリリースされいるようです)。
それでも高校生になった頃にはこの曲のサビの部分を知っていたのは、当時、地元の楽器屋が定期的に開催していたアマチュアバンドを集めたコンサートイベント(はいからコンサートってイベント名だったはず)に出演するバンドがよくこの曲を演奏していたからだろう。
このアマチュアコンサートはかなり安めのチケットでいろんなバンドを愉しめたのと、友人のバンドがちょくちょく出演してたこともあって足蹴く通っていた。アマチュアながらハイレベルな演奏を聴かせるバンド群。私は風がよく演奏されていたようにほとんどのバンドがハードロック系だったはずで、ユーライア・ヒープの七月の朝という曲を知ったのもこのコンサートのどっかのバンドの演奏で、というくらい自分の好きなパンク系のバンドはほぼ出演していなかったが、それでも学祭バンドとはいえバンド活動をかじり出した高校生にとっては憧れを持ちながら、充分に愉しめるコンサートではあった。(その後、このコンサートには、土屋正巳率いる初期の一風堂や、東京ロッカーズの一角のフリクションなんかがゲストで呼ばれ狂喜したものだが)
話を「私は風」に戻そう。
サビの部分を口ずさめるほどに知っていた割に、オリジナル曲を最後まで通して聴いたことは今の今までなかったのは、そのうちいつかアルバムを買おうと思っているうちに長い年月が過ぎてしまったのはもちろんだが、一曲10分以上もあるハードロックを中心とした60年代後半から70年代中盤にかけてのロックを敬遠しがちだった、ということも少なからずあったはず。
それがつい先日、たまたま近所のブックオフのセールを覗きに行ったときに、状態のいいこの「私は風」を収めたアルバムが500円で売られているのを見つけて迷うことなく購入。何と言ってもその日のセールは500円以下のレコードが半額になるというものだったのだから(他に一緒に買ったのは、柳ジョージとレイニーウッドが2枚に庄野真代。4枚合わせて600円ほどの超お買い得!)
で、家に戻って中身を確認。
歌詞カード裏に写るバンドの演奏シーンはいかにも70年代のハードロックバンド。
収録曲はA・B面各3曲の全6曲中10分超え!が2曲。なんと、目当ての「私は風」も11分39秒の大作だとこの時点で知る。
早速盤をターンテーブルに載せ針を落としてみる。
A面1曲目の「六月の詩」から8分超え。ピアノから静かに始まり壮大なギターサウンドに移っていくところもいかにも70年代のハードロック。
私の心の隙間に
六月の風が吹いても
あの夏はやってこない
歌詞もなんとなく70年代に感じるのはただの気のせいか。でも、なぜかあれほど敬遠していたこの手のサウンドが妙に心地よい。
カルメン・マキの歌声、唄いまわしなんかもあの時代の空気感とでも言っていいほどにいかにも‼︎なものなのに全然嫌な感じはしない。
A面2曲目の「朝の風景」なんて、なんなら最近気に入って聴いている和製キャロルキングなんて呼ばれていた頃の五輪真弓にも近い感じに思えたりして、もしかしたら今頃になって70年代ブームが自分の中で起き出したか?ってくらい、自分にピタッとはまってくる。
この調子がずっと続き、気付くとあっという間にB面ラストの「私は風」
こちらはA面一曲目と正反対。
イントロはいきなり激しいギターサウンドから始まり、途中切り替わるアコースティックギターのカッティングがカッコよすぎ。と思っていたらピアノだけの伴奏に変わり歌が始まるが、またまた激しいギターサウンドに切り替わり、あのチュッチュッチュルチュー♪のコーラスが印象的なサビ。
そしてギターソロ~ハモンドオルガンソロ~ギターソロ。
いやぁ、カッコいい(←語彙が乏しい)
完全にノックアウト状態(←これまた貧困と言っていいくらいのボキャブラリーのなさ)
ちょっと70年代の大作ロック(なんてカテゴリーがあるかどうか・・・)を侮っていたことを反省するくらい、目から鱗なアルバムの素晴らしさに暫し茫然といったところ。近いうちにこの後のセカンド、サードも手にして聴いてみることにしようと思っているほどに今年に入って一番のヒット作(って、発売から約50年過ぎてますが・・・)となっている。
ついでと言っては何だが、あの頃のバンドで敬遠していたフラワー・トラヴェリング・バンドや初期のクリエーション、紫あたりも聴いてみるのもいいかもしれない。
今回CDではなくレコードだったことに依るところも大きいのか、音の飛び出しのレベルがいつも聴くものとは全然違って聞こえる。この手の大作ロックはレコードの方が音がこちらに襲いかかってくるように感じるのは自分の思い込みだけではないように感じるがどうだろう?この辺りはステレオマニアの方のブログやYouTubeなんかで確認できるのかな?今度、時間があるときにでもチェックしてみましょうか。
さてさて、昨日からちょっと遅めのお盆休み(と言っても火曜までの4日間)もすでに半分が過ぎようとしている。明日、明後日は台風の影響もありそうだし、家でロックと映画三昧で過ごすのが無難なところか、それともせっかくなので平日の昼飲みでも出かけようか。と、たいして普段の休日と変わらない過ごし方を考えるところは、相変わらずの怠け者といったところでしょうか。
今週も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。