久しぶりの読書モードに入り、ここ最近にないペースで本を読んでいる。




仕事の関係で毎月4冊のビジネス書を読まなければならなかった時に並行して小説やなんやらも読んでいた頃以来だから、かれこれ7~8年振りというところか。その時のような勢いでビジネス書を読むなんてことはなくなったが、小説を中心にさまざまな本を片っ端からっていうのは変わらない。


そんな時に本棚の端っこにあった芹沢光治良作の「神の微笑」という文庫本の小説が目に留まり、かなり久しぶりに読むことにしたのはちょっとした気まぐれ。

ほぼ私小説と言ってもいいこの作品は、芹沢光治良が晩年に書き続けた神シリーズの初作だったはずで、シリーズ最終作の「天の調べ」まで全作読んだ記憶があるが、手元に残っているのはこの「神の微笑」だけなのは、ある時、神とか精神世界を扱ったものから距離を置いたからだろう。



まだ若い頃にスピリチュアルブームの先駆けとなった女優シャーリー・マクレーンの「アウト・オン・ア・リム」を読んだのがきっかけでスピリチュアル系の書物を読みふけるようになり、最後の方で行き着いたのがこの作品だったような気がする。


ロックと少し距離を置いていた時は、輪廻転生だとか、U.F.Oからの流れで高次元の存在だとか、書店のスピリチュアルコーナーとか、精神世界コーナーに置かれている本を片っ端から読んでいたものだが、そんなある日、まだ学生だった長女に「お父さんってそういうの読んでる割には、いっつもイライラしてるよね」と言われ、ハタと我に帰り、それ以降、それ系の本とは少し距離を置くようになったのだ。


まぁ、元来そういうのが嫌いってわけではないので、今に続くまでちょぼちょぼと手に取っては読んでみたりもしないわけではないが、あの頃のように読み漁ることもないし、読んだとしても「ふ~ん、なるほどね」くらい。そんな今の方があの頃より心が穏やかだってのもなんだか不思議だが、日々生きていくってことはそんなもんだろう。

で、「神の微笑」だが、「文学はもの言わぬ神の意志に言葉を与えることだ」という自身の言葉を軸にして始まる神を題材とした物語。読んでしまうと、やはりシリーズ全作品を読み通したくなるのはいつものことだが、昔のように大きく影響されることがないのは、やはりロックを聴き続けてきたからこそだろう。っていうのは、かなりのこじつけだろうか。


この作品を読み進めている最中にミッシェルガンエレファント、ROSSO、ザ・バースデイと数々のロックンロールバンドで活躍したチバユウスケが亡くなった。

それぞれのバンドのアルバムを何枚か持っているだけだからファンってわけではないが、つい先日彼のインタビューが巻頭を飾ったパンクロック雑誌を読んだばかりだったし、今年に入ってやけに続いているロック関連の訃報、まだ55歳のチバユウスケまでもかと、かなりの衝撃だったわけで、久しぶりにザ・バースデイのCDを引っ張り出して聴くことにした。



なぁ、パンクス
グチってばっかいねぇで、愛で
愛でぬりつぶせ


これだ。やっぱり自分にはこっちの方なんだと気付かされる。



どんなに高尚な精神世界の話なんかより、自分の胸に突き刺さるのは、やっぱりパンクロックの、ロックンロールのこんな言葉の数々だ。

あの日、長女に言われたこともこれと同じことだったんだろう。

さて、これから自分は何を愛でぬりつぶそうか。とりあえずはチバの真似をして顎ひげでも伸ばそうか、そんなたわいもないことを考えてる年末の昼下がりでした。

今週も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。